どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

やきいもと おにぎり

2020年12月16日 | 絵本(日本)

      やきいもと おにぎり/作絵:みやにし たつや/鈴木出版/2019年

 

 ぶたくんが 泣いています。

 ねずみくんに わけをはなすと、ねずみくんは うさぎくんに はなし、うさぎくんは さるくんに はなし、たぬきくん、かばくんと はなしていきます。

 はじまりは ぶたくんのやきいも。おおかみくんが おにぎりとかえたのです。 おにぎりが焼き芋になって、おにぎりがおおかみになって、ぶたくんが焼き芋になって・・・。

 伝言ゲームのように、いつのまにか 話している内容が かわっていくのですが、みんな 話を聞くと 相手に同情して 走り まわっています。

 焼き芋から はじまるのが、今の時期にぴったりです。


ロージーの ひよこは どこ?

2020年12月15日 | 絵本(外国)

      ロージーの ひよこは どこ?/パット・ハッチンス・さく /こみや ゆう・やく/好学社/2019年

 

 めんどりのロージーが 卵を産みました。

 ところが あかちゃんがいません。

 ロージーは、にわとり小屋のしたをさがし、かごのなかをさがし、手押し車、木の上、干し草のなかをさがしましたが ひよこはいません。

 ロージが「ああ! わたしの あかちゃん! おまえは いったい どこへ いったの?」と、大声で叫ぶと、みんなは「ほらほら! う・し・ろ」と、叫びました。

 赤ちゃんは、殻をかぶって、いつも おかあさんのうしろにいました。

 絵を見ているとすぐに、ひよこがうしろに いるのが わかります。

 「いない いない」と読むと、「うしろ」と、こどもの合唱が聞こえてきそうです。

 はじめから きつねも かくれていて ドキドキしますが どうやら きつねの おかあさんも こどもを さがしていたのかな?

 ほとんどのページに、たわわに実った柿の木がえがかれています。


どろんこ こぶた、ルシールは うま

2020年12月14日 | 絵本(外国)

 どちらも、ほのぼのとしたアーノルド・ローベル作です。

    どろんここぶた/アーノルド・ローベル・作 岸田衿子・/文化出版局/1971年

 

 お百姓さんとのこぶたが何よりも好きだったのは、やわらかーい どろんこの中にすわったまま、沈んでいくことでした。
 ところがある日、お百姓さんのおばさんが家のなかも、うし小屋、うま小屋、とり小屋もおおそうじ。そしてぶた小屋もおおそうじして、こぶたを お風呂に入れてしまいました。 どろんこもなくなり「こんな うち、ぴかぴかすぎて、つまらないよ」と、こぶたは、よるになると とことこ逃げ出します。

 こぶたは、沼を見つけよろこんでいましたが、トンボやカエル、かめ、へびに じゃまものあつかいされて、沼を抜け出し、また、とことこあるいていきます。

 大きな町について、どろんこをみつけ、どろんこのなかに すわったまま ずずずーっと しずんでいくと だんだん かたくなっていきます。こぶたが どろんこだと思ったのはセメントでした。

 町のひとが、どんどんあつまってきて、こぶたを みています。道端でセメントづけになったぶたなんて、だれもみたことがありません。そこへ、こぶたをさがしにきたお百姓の夫婦がとおりかかり、消防夫さんが四人がかりで、こぶたを救出。

 車で家に帰る途中、嵐になって雨がざあざあ。ぶた小屋の前には、どろんこの沼。こぶたはまた、だいすきな どろんこのなかに すわりこんで しずかに、ずずずーっと、しずんでいきました。

 

 おばさんには悪気はありませんでしたが、こぶたくんにとっては、だいすきな どろんこがなくなって、大迷惑。好きな場所にいられるのが一番でした。

 絵も落ち着いた色合いです。

 

    ルシールは うま/アーノルド・ローベル・作 岸田衿子・訳/文化出版局/1974年

 

 うまのルシールは、ときどき、みずたまりに 顔を映してみて、「わたしって、ぱっとしない うまね。どろだらけなんだもの。」と、悲しくなりました。

 お百姓のおくさんも、「すてきな うまだねえ。ルーシーは。だけど、ぱっとしないし、きたないねえ」と、町にいって買い物をします。

 おくさんがルーシーに買ったのは、ピンクのばらのついたぼうし、きれいな赤いくつ、まっしろなかわいいドレス。

 お百姓さんは、「あまり りっぱすぎて、もう 畑で 鋤を ひっぱって もらえないよ」と、かなしそうです。

 ルーシーは、こぶたから「きみ、からだに くっつけて いる、その へんな ものはなんだい」ときかれると「わたしは もう 貴婦人なんだから、そばにちかよらないで。」と、つんと すまして言いました。

 それからは、ルーシーは畑仕事をせず、部屋の中に座って、おくさんと一緒に おちゃをのみながら ラジオを 聞いています。でも、ぼうしは、くすぐったいし、赤いくつで、足は痛くなるし、ドレスは あつくて、ルーシーは外に出て、お百姓さんと いっしょに はたらきたいなあと 思いました。

 ある日、パーティがひらかれ、たくさんの おきゃくさんがやってきますが、一人が差し出した花束をルーシーは食べてしまいます。

 おきゃくさんたちが、お茶を飲んだり、クッキーを食べたり、大声でおしゃべりしていると、ルーシーは、だんだんむしゃくしゃしてきました。ドレスをふんで やぶり、おきゃくさんにぶつかって、たおしてしまいました。おまけに、ぼうしがさがってきて、ティーポットを壊すし、クッキーをこぼしてしまいました。それから「わたしは 貴婦人じゃないわよ。わたしは うまよ!」と、さけぶと、五人ものおきゃくさんを つきとばして かけて、かけて 畑にとびこみました。かけているとき、ドレスはどこかへ。ピンクのばらと、ぼうしをばんごはんに食べました。

 「わたしは、ふつうの うまに なれて うれしいわ。」


 ルーシーは、なにもしなくても、働くことがすきで魅力的な馬。すこしだけ遠回りしますが、もとのままが一番と気がついたようです。


モーっていったの だあれ?

2020年12月13日 | 絵本(外国)

  

      モーっていったの だあれ?/ぶん・ハリエット・ツィーフェルト え・シムズ・ターバック やく・はるみこうへい/童話館出版/1998年

 

 毎日朝早く、おんどりは、屋根にのぼって「コケコッコー」と ときをつげます。

 いつもは、だれもこたえません。でも、ある おてんきのよい朝、だれかがいいました。

 「モー!」。

 おんどりが、ふとったぶた、ぶちのいぬ、はいいろのろば、とらねこ。くろいひつじに きいていきますが、「モーとはいわないわ」と、こたえます。

 そして、しかけのページをめくると、それぞれの鳴き声がとびだします。

 最後のページでは、でてきた動物が いっせいに鳴いています。

 

 あざやかな配色と、シンプルな仕掛。動物の鳴き声がわかりはじめた年齢のころ 楽しめる絵本でしょうか。

 いぬ、ねこはともかく、ろばやひつじ、ぶたの鳴き声を聞くのは、やはり動物園がきっかけでしょうか。


「このかみなあに?」、「しろいかみのサーカス」

2020年12月12日 | 絵本(日本)

       このかみなあに?/谷内つねお・作/福音館書店/2020年

 

 「このかみなあに?」と疑問形ですが、副題に「トイレットペーパーのはなし」とあります。

 毎日お世話になっているトイレットペーパー。緊急事態宣言のとき、なかなか手に入らなかったことで、普通に手に入る有難味がわかりました。

 学校の校庭で、どんどんのばして長さを実感したり、よじって石を吊り下げたり、水を吸って緑や赤に変わる様子、かげがうつる うすさ、などを写真で構成しています。

 トイレットペーパーがテーマらしく横長の絵本。

 さらに巻末にはトイレットペーパーの原料や決まり事も、まとめられています。

 日本で最初のトイレットペーパーは、一般向けでは1963年、1924年に外国汽船におさめるため1924年に発売されたという記録もあるようです。

 ちょっと昔、どんなもので「おしり」をふいたのか、お孫さんたちに話してあげたら、びっくりするかも。

 

      しろいかみのサーカス/谷内つねお・さく いちかわかつひろ・写真/福音館書店/2004年初版


 白い紙がさまざまに変身。
 多分、子どもがみたら自分もやってみたくなる絵本です。

 紙をおっておうち。
 紙をまるめると重い石ものせることができます。
 ドンドン折って、ぱっとはなすとぴょーんとはねます。
 びりびりやぶっておひさま。

 手軽にできるものばかりで、一枚の紙で親子で話し合いながらやってみる楽しみもありそうです。


まほうつかいのおばば・・カナダ・イヌイット

2020年12月11日 | 昔話(北アメリカ)

     世界むかし話20 カナダの昔話/高村博正・篠田知和基:編訳/ほるぷ出版/1991年

 

 ある日、姉と妹が村のはずれで遊んでいると、地面に象牙のサイコロが落ちていました。ふたりがサイコロをひろおうとすると、すこしさきに、もっときれいなボールが落ちています。そこまでいくと、またそのさきには、かわいい木の人形がおちていました。

 つぎつぎとおもちゃを拾いながらを村を離れていくと、石でできた家の前までやってきました。こんどもおもちゃは家のなかにありました。ふたりがおもわず家の中に入ると、中には年とったおばあさんがいて、あっというまに大きな石の戸で、出口をふさいでしまいました。となりの小さな部屋には,人間の骨がたくさんころがっています。ここはまほうつかいのおばばの家で、おばばは、おもちゃで子どもをおびきよせては、食べていたのです。

 しっかり者の姉が「うまくわたしたちをつかまえたものね。おばあさん。でも、ちゃんと戸をしめておかないと、にげちゃうわよ。」といったので、おばばは、戸をしっかりしめかどうか心配し、念のため、もっとしっかりしめなおすことにしました。

 おばばが重い大きな石で戸をしめなおしているうちに、妹は壁に穴をあけ、ふたりとも逃げ出しました。

 ふたりの話をきいた村人は、みんなでまほうつかいの家にでかけ「おばあさん、足の爪が伸びているね。きれいに切ってあげようか」と、声をかけ、その気になったおばばが、窓から足をつきだすと、村人は、おばばの足にロープをしっかり結びつけました。おばばが大暴れすると、村人全員でロープをひっぱり、おばばを石の家からひっぱりだします。

 おばばが、「わしもこれでさいごのようじゃから、いいことをおしえてあげよう。わしの歯は、みんながほしがっている火打ち石でできているし、胃袋は鉄砲玉を作る鉛でできている。膝には宝石の蝶番がついているのさ」というので、村人はおばばをころし、ばらばらにしてみました。するとおばばのいうとおりのものがでてきて、みんなは大よろこびでこの宝物を山わけしました。

 通常の昔話はここで終わりですが、このあと、ほかの話にみられないオチがあります。

 次の朝、宝物は、ただの骨と皮になっていたのです。

 

 おもちゃで、子どもを誘惑するというのは、はじめて。宝物が鉄砲玉というのもカナダ・イヌイット(エスキモー)らしい話です。


ちび魔女さん

2020年12月10日 | 絵本(外国)

      ちび魔女さん/作・ベア・デル・ルナール 絵・エマ・ド・ウート 訳・おおさわちか/ひさかたチャイルド/2011年

 

 コロチルドは 朝から ごきげんななめ。なんだかいじわるで わがままな 魔女になったきぶん。

 おやつをぜんぶたべ、畑の野菜を ぜんぶひっこぬいたり。

 パパとママから、自分の部屋で反省するよういわれると、カーテンにしがみついたり、ドン ドン! 床を ふみならし 大声で わめきたてたり。それでも だれもきてくれないので夜まで姿をけすことに。ゴソゴソと、布団のなかに、もぐると、そこは真っ暗な穴。

 ああっ! 恐ろしいドラゴンを おこしてしまった。でもちっともこわくないと

 「わたしは こわいものしらずの いじわるな 魔女よ。だから いうことを ききなさい。せかいじゅうを こわがらせに いっしょに いくのよ」と、地球一周。

 ほのおの ダンスおどりのあとは、にらめっこ。ドラゴンが、ゲラゲラわらいころげると、コロチルドは「ガオオー! ドラゴンたべちゃうぞ!」と脅かしますが「ぼくは つよくて きみの 十倍も おおきいんだよ!」と、もっと おおわらい。それをみたコロチルドが、突然「あははは!」と、わらいだし、いえにかえっていきました。

 コロチルドの部屋が とつぜん しずかになったので、ふしぎにおもったパパとママが部屋にはってみるとコロチルドがいません。タンスの中を見たり、カーテンのうしろをみても どこにもいません。知らないふりをするママとパパに、コロチルドは布団の中からでて「いかりくるった ドラゴンを おとなしくさせたんだよ。それから、いっしょに あそんで たのしかった」と、こたえました。

 「よかったわね、ちび魔女さん! それにしても ひどい ちらかりようね」と、ママが つぶやき、「いまから お部屋を きれいにする まほうつかいに へんしんしようか!」と、パパがこえをかけ、まほうのじゅもんを いうのですが・・・。

 

 なんとも愛嬌のあるドラゴン。命令口調でやりたい放題のコロチルドですが、とつぜん ころっと態度が豹変。いっぱい遊んだので満足したのでしょう。

 幼児には、こんな時期もありそうです。子育ては大変ですが、この時期を過ぎると、また別の苦労もまっています。


へそとり ごろべえ

2020年12月09日 | 絵本(日本)

      へそとり ごろべえ/赤羽末吉/童心社/2017年(初出1978年)

 

かみなりのごろべえさん、あまくて しょっぱくて こーり こりする おへそが大好き。

おへそをみたら とらずにいられません。

家宝のへそとりきで まずはたぬきどん、ひるねのねずみどん、けもののおうさまライオン、ももたろう、ぞうのぞうごろう、大仏やくじらの おひそまで。

へそとりきの ねいろも へんてこりん

”くりんくりんの シュー

”くりりん ちょぽん ぼしょん とっぽん シュー シュー シュー”

”ぐりりん がっちん こっちん ぽきんの ペソー”

へそをとるときのテンポが絶妙。

へそをとられた ライオンや鬼、大仏さんの顔も見逃せません。

たまったおへそを がっぷがっぷ たべると ごろべえさんの はらがふくれて へそがでて、そのおへそが 気になって・・・。

 

へそとりきは栓抜きでした。

ごろべえさんの さいごは? 


石になった男・・カナダ

2020年12月08日 | 昔話(北アメリカ)

     世界むかし話20 カナダの昔話/高村博正・篠田知和基:編訳/ほるぷ出版/1991年

 

 カナダ・インディアンの昔話。

 魔女が村人を、なんにんもころしてたべているというので、弟が兄たちの反対をおしきって魔女のところにでかけました。弟が魔女の手を引っ張ろうとすると、右手が女の体の中にはいってしまい、いくらひっぱっても抜けず、弟は刀で手を手首のところから切り落とし、やっと魔女からはなれることができました。

 兄たちが弟の右手をとりかえしにいきましたが、魔女にはかないませんでした。さいごに末の妹がでかけ、自分の腕をつけ根のところまで魔女の体の中に入れ、すばやくさっとひきぬくと、その手には弟の右手がにぎられていました。とたんに魔女は死にました。

 このあと急展開。

 兄弟がリロエという湖にやってくると、いまにも赤ちゃんが生まれそうな大きなおなかをした女の人が、小屋の前にいました。岸の近くでは一人の男が二本の木の枝で水面をかきまわしていました。男はいくらやっても魚が逃げてしまうとしょんぼり。

 男は背中に大きな刀をしょっていました。刀で女房の大きくなったはらをきりさいて赤ん坊をだそうとしても、きまって女房は死んでしまうというのです。

 あきれた兄弟は、草の茎で網を作り、網で魚をとる方法と料理の仕方も教え、みんなでおいしく食べました。さらに男の妻に子どもが生まれそうになると、桜の木の皮でひもをつくって、赤ん坊をやさしくそっとひっぱりだしてやりました。子どもも母親も元気です。

 兄弟たちは、こうしていろいろなことを夫婦に教えてやりますが、しかしどう考えても、男がなん人もの妻をころしてきたことをみのがすわけにはいかず、男を石にかえてしまいます。「この石を見て、あとにつづく人間たちが、正しい生き方をまなぶように。」というわけです。

 

 カナダはイギリス、フランス系の移民が多い国ですから、当然昔話にも、ヨーロッパの面影があります。ただこの話は原住民の話です。前段と後段がまったくつながっていない話ですから、どうして収録されたのか疑問が残りました。


ぽっとんころころ どんぐり

2020年12月07日 | 絵本(自然)

    ぽっとんころころ どんぐり/いわさ ゆうこ/童心社/2019年

 

どんぐりには いろいろありますが この絵本ではクヌギです。

ぽとぽと ぽったん ぼっとん ころころ

ばったん ぽっとん ころころ ばったん

どんぐりの落ちる音(手書き文字)がさまざまに表現されていて、それだけで秋を感じます。

家にも十年になるクヌギがあるのですが、これほどではありませんが、ときどき ぽとんという音が聞こえてきます。気がつくと道路いっぱいのどんぐり。

そして、いつのまにか土の表面には小さな芽がいくつも芽吹いています。何年か前に落ちたどんぐりが、いつのまにか芽を出していて、命のつながりを感じます。

描かれたものものですが、何百個ものどんぐりが繊細にえがかれ、木、どんぐりの特徴がでています。

木というと何十年という時間の単位が必要ですが、我が家のクヌギは成長が早く、十年で8mはこえています。

どんぐりは 少し前は、駒ややじろべえにして遊びました。そして落ち葉は肥料に。先人は無駄なく利用していました。


テスの木

2020年12月06日 | 絵本(外国)

    テスの木/ジェス・M・ビロウヤー・文 ピーター・H・レイノルズ・絵 なかがわ ちひろ・訳/主婦の友社/2010年

 

 六歳のテスがブランコしたり、木陰にテントを張ってキャンプしたり、落ち葉のふとんにもぐったりした大好きだった木が、嵐の夜に太い枝も細い枝も折れ、倒れると危険なので切り倒されてしまいました。

 大好きな木と別れ、怒ったり、八つ当たりしたり、切り株によりかかって泣いたテスは、木のお葬式をすることにしました。みんなに案内状を書いたのです。

 お葬式の日、切り株のまわりに人々があつまってきました。

 おむかいの家のおじさんが、はじまりのあいさつをしてくれました。

 テスの先生は、ブランコの詩を よんでくれました。

 木の幹にタイラーとマックスと 名前をほったご夫婦は、両側からキスをしました。

 おとなりのおばあさんは、70年以上もまえに木に登った写真をテスにくれました。

 樹齢170年以上の木は、いまはもう亡くなったここで暮らした人のたくさんの思い出も刻まれていたのでした。

 みんなの思い出を聞いたテスは、木がテスだけのものだったのではないことを知り、もう泣きませんでした。切り株のそばには小さな芽が出ていて、次の思い出を刻みはじめています。

 テスの気持ちを理解し、サポートしてくれるやさしい大人も素敵です。


どうする ジョージ!

2020年12月05日 | 絵本(外国)

      どうする ジョージ!/作・クリス・ホートン 訳・木坂 涼/BL出版/2014年

 

 いぬのジョージは、ひとりでおるすばん。ハリスから「でかけてくるけど、いいこにしていられるかい?」と聞かれ「もちろん!」とこたえます。

 「ぼくは いつでも いいこだよ。いいこじゃなかったことなんて あったかなあ」

 台所でみつけたのはおいしそうなケーキ。

 「ぼくは いいこにしてるって いったな。いったけど、おいしそうだなあ・・」

 どうする ジョージ!

 えーーっ! たべちゃうの~?

 ねこをみつけ おいかけたくなって

 どうする ジョージ!

 えーーっ! おいかけちゃうの~?

 花をみると ねっこを ほりたくなっちゃって

 どうする ジョージ!

 えーーっ! ほっちゃうの~?

 いいこだけど 大好きなことは やめられないジョージ。

 「クスン。ぼくは いいこにしてるっていった。いったけど、いいこじゃなかった」ハリスが帰ってきて、ジョージはポロリと涙。

 しかし、ハリスと散歩しているとケーキも食べないし ねこも おいかけないし 花をみても ねっこほりもせず、やっぱりジョージは いいこ!。

 ゴミ箱をみつけました。ジョージにとって ゴミ箱ほど わくわくするものはありません。

 さて さて どうするジョージ! どうするジョージ! 

 

 なんども繰り返される「どうする ジョージ!」のフレーズ、はまったらやめられません。

 ちょっととぼけた面長ジョージの顔、とっても素敵ですよ。いい子でも、困惑しながらも誘惑に負けてしまうのはわかるなー。いつもいい子ではいられない。期待を裏切らない展開です。


犬ロボ、売ります

2020年12月04日 | 創作(外国)

    犬ロボ、売ります/レベッカ・ライル・作 小栗麗加・絵 松波佐知子・訳/徳間書店/2008年

 

 新米発明家のトムがつくった本物そっくりの犬型お手伝いロボットのロボ・ワン。今日はお偉いさんの前でプレゼンテーション。料理をしたり掃除をする犬といっても、本当にしてもらえません。そこで拭き掃除、窓ふきをして見せますが「ロボ・ワンとやらを家に置いたら、家政婦の仕事がなくなるじゃないか。それに、うちのかみさんだって、ひまになって、どうやって一日をすごしたらいいか、わからなくなる。だめだ、ぜったいにだめだ!」と、却下されてしまいます。

 トムは「犬ロボット、売ります! ロボ・ワンは、奥さまの強い味方! ロボ・ワンがいれば、家じゅうが、いつもぴっかぴか。 アイロンがけよ、さようなら! 料理や皿洗いも、さようなら! ぜひ一家に一ぴき。 あと一ぴきかぎり」という広告をウッカリ雑貨店に張り出しました。

 ロボ・ワンを買ったのは、ヨゴレータ家。ヨゴレータ夫人は食事とよべるようなものはいっさいつくったことがありません。せいぜいできあがっている食べ物を買ってきて、レンジであたためるぐらい。おまけにからになったコップやお皿は積み上げられて、今にも崩れそう。床には、新聞紙やリンゴの芯、よごれた服や靴が、ちらばっています。

 ロボ・ワンは、来る日も来る日も、掃除して、洗い物をして、繕い物をして、いろんなものをピカピカに磨いて、買い物をしました。

 しかしロボ・ワンは、ちゃんと犬の心を持っていて、普通の犬のように散歩や遊ぶのがすきなのです。

 ところがヨゴレータ一家は、やさしく頭をなでたり、散歩にもつれていってくれません。そして食事も、みんなの食べ残しを、ひとりぼっちで食べていました。

 そんなある土曜日、助けてという叫び声をききつけ、川に落としたクマのぬいぐるみを、とろうとしておぼれた女の子をすくいあげました。女の子のお母さんは「いい子ね。ほんとうにありがとう!」と、ロボ・ワンの頭をやさしくなでてくれました。

 「これだよ! ぼくがずっとききたかった、すばらしいことばは!」

 ところが、だきしめられると、耳の中のブンブンという変な音が、ますます激しくなり、頭のなかに、いかりくるった何十ぴきもハチがいるみたいです。ぼく、こわれちゃったのかも。でもすごくいい気分。

 女の子はチェリースといいましたが、ヨダレータ一家にみつからないようにチェリースの家に入ると、ミルクをもってくれたチェリース。動物保護センターに電話をかけても、まいご犬のとどけをだした人はいませんでした。そのままチェリースの家で暮らすことになったロボ・ワンでしたが、体の中に水が入ってしまったせいで、それまでできていた特別なことができなくなっていました。でも、ちらかったおもちゃを片付け、ベッドのシーツをととのえ、服もきれいにたたむこともできました。

 チェリースは、ロボ・コンに<ヒーロー>という名前をつけ、公園に散歩につれていってくれました。

 

 産業用ロボットだけでなく、掃除機が自動になり、ホテルの受付、レストランの配膳などへのロボットの配置も進んできました。これからも進化を続けるロボットは、AIでうれしさや悲しさは表現できそうですが、心をもつことはできるでしょうか。

 人間の勝手さにロボットもあきれているかも知れません。


113びきの ねこの てがみ

2020年12月03日 | 創作(外国)

    113びきのねこのてがみ/ビル・アドラー・文 ポール・ベイコン・絵 掛川恭子・訳/偕成社/1996年

 

 ねこから サンタさんへのお願い。タイトルどおり113びきのお願い。
 
 サンタさんへのアドバイス?、悩みの解決 飼い主への注文 など、ユーモアあり、いじらしさがありと様々です。
 
・煙突からはいってこないでね。すごくきたないよ。ぼく、知ってるんだ。この前、やってみたから。
 
・このへんには、煙突がありませんきたときは、ぼくのうちにきたときは、ベルを押して、ドアマンにいれてもらってください。
 
・ねこむけの美容体操のビデオはないですか? ぼく、みんなから、ふとってるっていわれるんです。おねがいします。
 
・ネコ用のピルがありませんか? あたし、子どもが産めなくなる手術なんかされたくないんです。
 
・うちのいぬを北極につれていって、らいねんのクリスマスまでつれてかえってこないでください。
 
・クリスマスプレゼントに、耳栓をください。生まれたばかりのあかんぼうがひと晩じゅう泣くので眠れないんです。どうかよろしく。
 
・ぼくにねこの辞書をください。ぼくにだって「ニャオー」のほかにいえることがあるはずですから。
 
・ねずみ捕りをください。ねずみどもに手を出すのはやめにして、ベジタリアンになろうかとかんがえているところなんです。
 
・あたくしにつぎのスペースシャトルで、宇宙の旅をさせてください。月面着陸した最初のねこになりたいんです。
 
・おねがいだから、この家のおくさんに、ねこ用料理の本を贈ってください。おくさんのつくる料理は、いぬも食わないようなしろものばかりなんです。
 
・クリスマスには、おもちゃのねずみをくださいませ。ねずみをつかまえる練習をしたいのです。(だって本物のねずみは、わたしがつかまえようとすると逃げちゃって、わたしを指さして笑うんです。)
 
 113もの ねこの名前も 大変。

がたん ごとん がたん ごとん ざぶん ざぶん

2020年12月02日 | 絵本(日本)

      がたん ごとん がたん ごとん ざぶん ざぶん/安西水丸/福音館書店/2012年

 

 「がたんごとん」と走ってくる黒く描かれた汽車に「のせてくださーい」といって乗りこんできたのは、アイスクリームとスプーン。

 がたんごとん、次に乗ってきたのは、麦わら帽子とビーチボール、シャベル。

 がたんごとん、こんどは、スイカとトウモロコシ。

 わんちゃも、カニさんも。

 しゅうてんでーす とおりたのは 砂浜。海水浴です。

 

 お子さんを膝に乗せ、がたんごとんにあわせて、足をゆらしてあげると楽しそうな絵本。あかちゃんの絵本とありました。

 緑、黄色、青の海が はじめから おわりまで つづいています。