どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

雪の上のなぞのあしあと

2020年12月25日 | 絵本(日本)

    雪の上のなぞのあしあと/あべ弘士・作/福音館書店/1997年

 

 今では全国的に有名になった旭川市旭山動物園ですが、このきっかけは動物本来の動きを引き出した「行動展示」。この展示方法は1997年といいますから、あべさんが動物園をやめられた時期。そして、出版もこの時期と一緒です。あべさんが行動展示の夢を絵として残したのが、旭山動物園の復活の鍵となったようです。

 1972年からら25年間、旭川市旭山動物園で飼育係として働いたあべさんですが、この絵本では、雪国の動物園の宿直日誌風に進行していきます。

 いまは冬でも動物園をおとずれることもできますが、この当時、冬の間は閉じてしまいます。

 動物園には夏も冬も昼も夜もありません。夜行性の動物にとっては夜が一日のはじまり。部屋を掃除し、病気の心配をし、その上、冬は雪かきをし、運動不足のゾウやキリンの散歩。

 19時20分、最初の見回り、アフリカゾウ。9時45分ゴリラ、20時カバ。

 20時15分、ヨタカにえさやり、20時40分ヤマアラシ。

 21時30分氷点下27度。動物園を巡回しているとき発見した不思議な足跡。今まで見たことも、聞いたこともない足跡。

 だれかが 動物園に 忍び込んだのか?。それとも だれかが 檻から にげたのか?

 応援を頼み、足跡図鑑(こんな図鑑があるんですね)を、調べても ぜんぜんわかりません。

 みんなで、さがしていると、なにかが いて 目が光りました。近づいてみると・・・。

 

 分刻みのスケジュール、たった一人での宿直の大変さがつたわってきました。

 大好きな動物たちに囲まれ、対話できる楽しみなど、作者の動物への愛情がいっぱいでした。