どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

金色の髪のお姫さま・・チェコ、ハチの女王・・グリム

2013年07月03日 | 昔話(ヨーロッパ)

・金色の髪のお姫さま(チェコの昔話集/カレル・ヤロミール・エルベン・文 アルトゥシ・シャイネル・絵 木村有子・訳/岩波書店/2012年初版)

 作者は、チェコのグリムといわれるているといい、その中から13話がおさめられています。
 多分数多くの中から訳者が厳選したものですが、語りで活動している人の助言もあったとあるように、語りにも適していて楽しめる内容となっています。
 外国の昔話で著名なものは複数の訳があって比較することができますが、これには限りがあって訳しかたで語りやすいものになるのは、やむを得ないところか。

 収録されている話はどれもおもしろいが、とくに「金色の髪のお姫さま」は、昔話のいろいろな要素が詰め込まれていました。


1 ある日、ひとりのお婆さんが年老いた王さまのところにヘビをもってきて、これを食べると動物の言葉がなんでもわかるというので、王さまはお礼をはずんで、ヘビを買います。
 ヘビの調理をまかされた使用人のイジークは、王さまから「少しでも舌の先にのせたらお前の首が飛ぶ」と言われますが、まったく味見をしないで、ごちそうを作るなんてことはあるだろうかとイジークは思い料理を運ぶ時、少しだけ味見をします。するとハエやガチョウの言葉が理解できることに気づききます。

2 王さまとイジークは、食事のあと散歩にいくが、馬が話しているのを聞いたイジークはおもわず笑ってしまう。イジークを疑った王さまは、ワインをもってくるよう命じるが、「ワインが少なくても多くてもお前の首はない」と条件をつける。
 イジークがワインをついでいるとき、二羽の小鳥が窓から入ってきます。逃げている小鳥はくちばしに三本の金色の髪の毛をくわえていたが、お互いに髪の毛を引っ張りあって、一本の髪の毛を床に落として飛んで行ってしまう。
 それに気をとられたイジークはワインをこぼしてしまう。イジークは首を切られそうになるが、金色の髪のお姫さまを探し出してきたら許すという王さまのことばで、あてのない旅に出ます。

3 イジークは旅の途中、アリ、子ガラス、金の魚を助けます。金の魚を捕まえた漁師から金色の髪のお姫さまの居所を知ったイジークは漁師の舟でお姫さまがいる島につく。イジークはお姫さまを自分の王さまの妃にくださるようたのむ。しかし島の王さまは、三つの仕事をこなすことを条件にだします。

4 三つの仕事
・草原に散らばってしまったお姫さまのネックレスの真珠を探す出す。
・お姫さまが海に落とした指輪を探す出す。
・命の水と死の水をもってくる。
イジークは旅の途中で助けたアリ、子ガラス、金の魚の力をかりて三つの仕事をなしとげます。

5 イジークは、ひょうたんに入った命の水と死の水をもって城に帰る途中、クモに食べられそうになったハエを助けます。

6 島の王さまは三つの仕事をやりとげたイジークに12人の姫のなかから本物の金色の髪の姫を選ぶようにいい、助けたハエから本物のお姫さを教えてもらったイジークは、姫を自分の王さまの城につれていきます。

7 城にもどったイジークは、王さまの命令で打ち首になってしまいます。王さまの言い分は「縛り首にしてカラスに食わせようと思っていたが、斧で打ち首にして立派な葬式を出してあげる」というもの

8 金色の髪のお姫さまは亡くなったイジークをくださいと王さまにたのみ、頭と体を寄せて「死の水」をかけると、頭と体がくっつき、さらに命の水をかけると、イジークは生まれ変わったように生きかえり、シカのようにういういしくて若さにあふれて輝きます。

9 年老いた王さまは、イジークが前より若くてりりしくなっているのをみて、自分も若返ろうと自分の首を切らせますが、生きかえることはありません。みんなはイジークを王さまにし、金色の髪のお姫さまをお妃にします。こうして動物の言葉がわかる王さまが誕生する。

 ところで、グリムの「ハチの女王」もこれに似た話

・ハチの女王(グリム童話集下/佐々木田鶴子 訳 出久根 育 絵/岩波少年文庫/2007年初版)

 この話の3,4,6の部分で構成されている。グリムは3人の王子が出てくるが、上の二人が壊したり殺そうとするアリやカモ、ミツバチを末っ子の王子が救い、動物たちの助けをかりてかわいらしい王女と結婚するというもの。

 課題の一つは王女の真珠を杜のこけの中から探す出すということ。
 二つ目の課題は海のなかから、王女の寝室のカギを拾ってくること。
 最後は三人の王女の中から、末の王女を探す出すこと。

 三人の王子が三人の王女と結婚する結末、この中では死ぬ人がでてこない。


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