象のふろおけ/世界むかし話11 東南アジア/光吉夏弥・訳/ほるぷ出版/1979年
「象のふろおけ」? 象を入れる風呂桶というのは相当大きく頑丈なものが必要でしょう。
象の風呂桶をつくることになったのはつぼ作り。
つぼ作りの隣には洗濯屋がいて、つぼ作りは洗濯屋の家が立派なのがしゃくで、ひとあわふかせてやろうとおもっていました。
王さまには、たくさんの象がいましたが、宝物として珍重されている白象は、どうしても手に入りませんでした。
つぼ作りは、王さまの灰色の象を洗わせてごらんになってはいかがでしょうと、進言します。というのは洗濯屋が、どんなうすよごれた布でも夏の雲のように真っ白に洗い上げることができる名人だからというのです。
王さまから象を洗い上げて白象にしてくれといわれて驚いた洗濯屋でしたが、つぼ作りの入れぢえと見抜いた洗濯屋が、それでは象が入れる風呂桶で石鹸をとかしたお湯の中で、洗う必要があるといいだします。
すると、王さまは、つぼ作りに象の風呂桶をつくるように命じます。
何とか作っても、足を入れさせると風呂桶が壊れます。次にうんと分厚い風呂桶をつくりますが、今度は熱すぎてお湯がよくわきません。
何度も何度も作り直しますが、象が入っても大丈夫で、お湯がよくわくようなそんなちょうどいい厚さの風呂桶はできません。
そのうち・・・・。
人をねたむといいことはありません。
結局つぼ作りと洗濯屋は仲良くなるのですが、たぶんそうなったのでしょうと突き放しています。
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