さじかげんだと思うわけッ!

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『寧々~おんな太閤記』

2009-01-02 22:12:31 | 
毎年正月の楽しみは、テレビ東京で放送される長時間時代劇です。
今年は橋田壽賀子(1925~)さん原作の『寧々~おんな太閤記』です。
『おんな太閤記』といえば、1981年の大河ドラマでしたね。女性たちの悲哀と葛藤、喜楽を描ききり、男性のみならず女性にも幅広い支持を集めました。
その点で行くと、旧年の『篤姫』も同様のことが言えるかも知れませんね。

まぁ今も絶賛放送中なわけですが、面白いですね。時代的なものは、やはり大河ドラマには適わないところですが、秀吉役の市川亀治郎(1975~)さんが大変いい味を出しておれます。
何より面白いのは、木下家の人間関係です。
秀吉(1537~1598)が百姓の出自であるということは、これは疑いもない事実のようです。あるいは、織田家付きの一足軽の家系だったとも。
だからこそ、出世するに従って手足となるべき部下が必要だった。
一兵卒に過ぎなかった秀吉を取り立てた信長(1534~1582)という主君も変わり者ですが、その機転と政治力でのし上がった秀吉もまた、かなりの変わり者だったというべきでしょう。
秀吉の出世は、木下家の出世でもありました。
秀吉には、のちに秀長(1540~1591)と名乗り、優秀な執政官であった一人の弟と、一人の姉、一人の妹がおりました。
姉妹が嫁いでいた夫もまた、秀吉の出世とともに大身となりました。
また、子宝に恵まれなかった秀吉にとっては、姉妹の子も大事な一族。
姉の子である秀次(1568~1595)は、関白となります。
ドラマ中にはあまり語られていませんが、寧々の養家である浅野家と、その実家である杉原家もまた重用されます。
特に、浅野家はのちに木下の氏を与えられ、関ヶ原後も生き残り、備中足守藩主として実に幕末まで存続します。
また、中には長嘯子の名で知られる木下勝俊(1569~1649)なども出て、繁栄します。
数少ないチャンスを物にしたと言えましょう。
このように大いに繁栄した家は珍しい方です。
結局、秀吉に始まる羽柴家は、大坂夏の陣で秀頼(1593~1615)とその子国松(1608~1615)が死に、秀頼の血を引いた奈阿姫(1609~1645)が没すると、滅亡します。
そのほかの秀吉名残の家らも、関ヶ原や大坂の陣を経て没落していきます。

やはり、元を正せば、秀吉の出自がすべての引き金になっているようにも思えてしまいます。
このドラマの秀逸なところは、寧々の視点から見た戦国活劇のように見えて、実はホームドラマであるところではないでしょうか。
こんな描き方は女性ならではと思いますし、加えて登場人物たちの感情を丁寧に描き出しているように思います。
今年は不景気の一年でしょうから、こういう賢妻賢母がうらやましく思えるかも知れませんね。