白神山地が世界遺産に登録された際、一般の人の立ち入りできない森がかなりあると知り、軽い反撥を覚えた。それよりももっと昔、中アの千畳敷にロープウェイが開設されて間もないころ行ってみたら、登山道以外には立ち入るなと拡声器を通して注意する大きな声が、終日圏谷に響き渡り辟易した。
あまりに単純過ぎたと今は恥じるが、自然と人の間に高い塀を設けて規制するのには反対だった。今でもそういう気持ちがないわけではないが、牧場の管理を任されるようになって、大分その考えが変わった。野放図を宗旨とするような者でも、少しは学習し、保護ということの重要さを経験の中で痛感した。自然にとって人間は、大切な家屋の土台を齧るシロアリのようなもので、それと比べったら鹿など可愛いものだと分かった。
昨日は主に第1牧区のことを例として呟いたが、第3牧区、第4牧区そして国有林の中にある第5牧区も人間天国化の前に、今ある自然環境を守る、という大前提で考えていくべきだと強く思う。さもなければ、どこにでもある、ありきたりな観光地ができ、早晩廃れていくだけだろう。別荘地、スキー場、温泉地と、例ならあちこちにある。
活性化、振興、開発、さんざんと聞いてきた。実際に成功している観光地もあるようだが、それを良いことにびっくりするような宿泊費に値上げした所もあると聞くと呆れる。観光は産業と呼ばれるくらいだから、経済と不可分な関係にあることは理解する。しかし、後者が勝ち過ぎるのは考え物だ、違和感を覚える。富士山も上高地も夜空も誰かの所有物ではない。にもかかわらず限られた人たちだけが利権を手にし、観光地化を進め、お題目だけは地域振興ではとても賛成できない。
観光振興策についてはいろいろな考えや目的はあろうが、開発する側でなく、あくまで自然を守る側に今後も立っていきたい。それで言いそびれたが、共用林野の第5牧区は、JA上伊那から管理の手が離れたら、ぜひ、伊那市が借り上げるなどして管理を続けていってほしいと願っている。その理由はまだここでは内緒にしておくが、知っている人は知っている。
どのように牧場内に人を受け入れるか、具体的な考えや方法については今後も、折に触れ呟いていくつもりだ。
昨日牧場へ行ったら、昼でもマイナス5度だった。今週末はふたご座流星群がやって来る。金曜が最大級だとか、星の狩人たちは集まれ。
Fさん「源流の記憶」と心尽くしの品、拝受しました。お礼の言葉もありません。感想は越年の夜の話題にしましょう。O里さん、それは残念至極です。かんとさん、了解しました。
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