入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’24年「春」(70)

2024年05月19日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 久しぶりに昨日、六兵衛山に登った。この山の名は権兵衛山と同じく勝手に付けた愛称であり、正式な山名はない。まだ七兵衛、八兵衛とあり、これらの山々は入笠山よりも標高が高く、2000㍍を超える。
 前回は秋だったが、その時の好天に負けず劣らず、深く大きな空の下には北アや中アの峰々だけでなく南アの仙丈岳も含めて、遠近(おちこち)の山々が今回は残雪を輝かせながら見えていた。(5月18日記)

 この2000㍍前後の南アの北に位置する山域、多くは落葉松の人工林だが、稜線近くにはモミやシラビソ、それにダケカンバの原生林もある。山腹を穿つ大小の谷は深く、清冽な水は急峻な流れとなって岩を噛み白濁し、あるいは深い瀞を作り魚を泳がせ、下っていく。
 よくぞここまで、と思うほどに先人の手で落葉松が植林され、その後も成長するにつれて間伐、皆伐が行われているのが山肌を見れば一目で分かる。これも大変な作業で、勾配のきつい、灌木やクマササの生い茂る中に入っていくだけでも大変だ。
 国土の7割が山だという列島は、こういう人たちの手で守られているということがこの眺めからもよく分かる。
 
 背を超えるクマササの中を急登したこともあれば、思いがけない湿地帯に出くわし、たくさんの名の知らぬ花が咲くのを見たこともある。しぶきを浴びながら、細い谷を幾つも横切り、あるいは攀ったこともある。
 襲われたわけではないがクマの姿を目撃したり、他の野生動物、鹿やカモシカ、アナグマやキツネ、タヌキとも遭遇したりと、行楽地と隣り合わせで実は野生の世界が拡がっている。

 ある山岳雑誌の口絵に、入笠の写真が掲載されると、それを撮った山岳写真家の三宅氏本人の口から聞いた。後日、その本を目にした人からも教えてもらった。まだ見てないが、里へ下ったら早速入手するつもりだし、どんなふうに紹介されているか興味深々、楽しみだ。
 入笠山へ来る人の大半はゴンドラや山頂からの眺めに満足し、せいぜいヒルデエラ(大阿原)や、テイ沢まで足を延ばせば充分な人たちのようだ。登山というよりこの山も、子供も来ればお年寄りも来る観光地である。困難もなければ、危険もない。
 きっと氏の写真は、そういう人たちをさらに刺激し、多くの人たちをこの山域に誘うことになるだろう。

 先日は、北条時行のことを雑誌に書くという人がここへ来た。以前に紹介したように、神足勝記の本も世に出た。古道・法華道についても、すでに北原のお師匠が存命中に本になっている。
 入笠の捉え方が、より多面的になると考えていいだろう。

 本日はこの辺で。
 なお、お知らせしているように、今月の13日から25日まで、事情により小屋とキャンプ場の営業を中止いたします。ご迷惑をおかけしますが何卒よろしくお願いいたします。
 山小屋&キャンプ場の営業案内は下線部をクリックしてご覧ください。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
«      ’24年「春」(69) | トップ |      ’24年「春」(71) »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

キャンプ場および宿泊施設の案内など」カテゴリの最新記事