昨日、第1牧区の和牛たちに塩を持っていったところ、いつも根城にしている御所平に姿がなかった。頭数確認の必要もあり、4等三角点のある丘の周囲、雷伝様、さらには舞台、ドン底と牛たちの姿を探してみたが、見付からない。
初めは高をくくっていたが、次第に脱柵が現実味を帯びてきて、厄介なことになったと緊張が高まる。牛たちを見回ったら、いつもの森で今秋初のキノコの様子でも見ようとしていた気持ちなど瞬く間に霧散した。
一度管理棟に戻り、牧柵の外の複雑な地形を歩くため山靴に履き替え、ペンチやハンマー、針金、ロープなどを用意して、再び牧区へ戻った。
第1牧区は現在最も主要な放牧地で広い。とにかく、脱柵した場所を探すことから始めねばならないがその目途すら立たず、外周を北から時計回りと反対に歩いてみることにした。
ドン底、舞台の外を歩き、その昔し鎌倉幕府が滅びた後に高時の遺児時行も世話になったはずの無名の沢を渡ると、そこからはきつい登りとなる。ふと1本の落葉松の根元に、顔を出したばかりのヌメリカラマツタケと目が会った。しかしキノコどころではない。採っていかないかと問われたような気がしたが無視する。
急な登りを終えた所で、また見付けた。今度は1本でなく4,5本が「見付かってしまったか」とでも言わんばかりにこっちを見ている。しかしこれも相手にしない、また無視。
外周を約半分も歩いただろうか、御所平の一部が見えてきた。やはりその中に牛の姿はないと思ったその時、草原の遠くで黒い塊が動いた。なんと、1頭の牛だった。しかも、目を凝らせば、その背後の落葉松とダケカンバの混成林の中にも黒い塊が見える。
牛たちは脱柵していたわけではなく、姿が見えなかったのは林の中を流れる沢へ下って水を飲んでいたからだろう。全頭の確認を終えた。安堵した。
となれば、先程目にしたキノコのことが気になってくるが、その続きは明日ということで。
それにしても今年は、牛に関してはいろいろあり過ぎたたから、あんな早とちりをしてしまったのだろう。恥。
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本日はこの辺で。