もう、とっくに気付いている人もいると思うが、新しい年になってテレビで、入笠牧場を舞台にしたCMが流れている。昨年の12月の頭で撮ったものだ。あれを見れば当然だが、それなりの感慨も湧くし、同時にドッとその時の疲労感も甦ってくる。このCMくらいになると、100人近い人たちが数秒に賭けるのだから、その緊張はまた並の話ではない。いつものことだが、呆れるほど手間のかかる、エライ仕事だと思う。
どんな大型企画でも放牧地内には、外部からの車両は一切入れはないことにしている。機材の搬入に使える車はは走行距離16万キロを超える牧場の軽トラック1台だけだ。この時は、ドローンが活躍してくれたから、クレーンや台車の持ち込みはなかったが、それでも搬入路の整備など牧場としての事前の準備にはかなり手がかかった。このCMとは別に、今年の夏ごろの放映が予定されているのがもう1本あるが、それでは撮影のために櫓を組んだため、カメラに関連する機材だけでも搬入には苦労した。撮影は秋だったが、初夏のシーンにしたいということで、事前に目立った枯草を刈るなどということまでした。
牛の入牧頭数が減って、そのためにこういう仕事も重要視しなければならなくなった。最初のころは、場所の提供だけで搬入などの手伝いはしないつもりでいたが、小柄な若い女の子が重い機材を持ち上げるその懸命な姿を目にして、手を貸さないわけにはいかなくなった。男女共同参画などというが、このごろの女性で、あんな肉体労働に耐えなければならない業界は珍しいだろう。上下関係も歴然とある。それに比べたら、モデルの女優さんなどは全くの特別扱いだが、その辺りのことは別世界のことと考え、目を遠ざけている。
さて、こんなふうにしてCMに使われるようになると、それを見た人の中には現地に行ってみようとする人も当然に出てくる。将来の課題として、そういう対応も考えていないわけではないが、当面は、立入禁止を解除することはできない。今後も、このようなCMや映画の撮影が期待される以上は屋外スタジオという体裁で、それなりの管理を続けていかなければ仕方ないからだ。もちろん、柵外なら構わないし、運がよければ、ということがないわけではない。
日が傾きかけた長い影を引く落葉樹の森や牧場も、やがては雪の中に眠るでしょう。お出掛けください。
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