この時季、朝は暗いうちに起きて、夜は暗くなってから帰ってくる。片道38キロ、約1時間15分の通勤時間をかけて通った牧場の仕事だが、昨日でひと段落した。不思議な偶然と言うべきか、納金のために立ち寄った東部支所に併設された葬儀場で、その日、前任者のMさんの葬儀が執り行われることを知った。確か80歳で牧場を去り、それから12年、90歳を超えていたはずだ。あの人にとって、牧場を辞めてからの歳月は長かったのか短かったのか、いずれは辿る同じ道だけに感慨深くそんなことを考え、黙礼した。
冬ごもり初日。実はやれやれといった安堵感なぞない。それよりも、人気のない管理棟や山小屋、さらには牧場の風景がやたらに浮かんできて落ち着かない。もう少しすれば里の生活にも慣れるだろうが、今は百姓が漁船にでも乗せられたような心境だ。5か月の"籠り"の間に読もうと用意した本なら充分あるし、フラフラとどこかへ何日かの旅をするだけの用意もしてある。ところがそういうことを考えても、いまひとつ気が乗ってこない。サイベリアはおろか地蔵峠を越えて秋葉神社へ参詣することすらも、天竺のように遠い。
それともう一つ、この独り言だが、もう散々なほど呟いた。昨夜の夢では、正にそれを誰かにたしなめられたくらいで、日々の恥多き饒舌は眠っていても絶えず気になっていたようだ。以前にそんなことをある人に相談したら、入笠の伊那側からの情報発信はあまりに細いから、中断せずに続けろと言われた。加えて昨日、御料林の石票に触れて、それを教えてくれた神足勝記の研究者O里さんからも即通信が届き、読んでくれているとあった。
そんなわけで、呟きは寝言にかわるかも知れないし、情報と言っても雨が降ったとか、雪が降ったとか相も変らぬ徒し事ながら、続けていきたいと思っている。入笠へも、芝平や山室川の谷を通り、できるだけ行くようにしたい。
そういうわけで「冬の営業案内」をご覧ください(下線部を左クリックしてください)。予約は早めに頂ければさいわいです。