入笠牧場その日その時

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     ’19年「春」 (4)

2019年03月04日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 時が固まってしまったような一夜を上で過ごし、その余韻の納まらないうちにきょうは雨で、また固まる。上ではこの雨、雪になっているのだろうか。

 一昨年(2017年3月)、那須の茶臼岳で高校生を対象にした春山講習会合宿中に雪崩に襲われ、引率教諭1名を含む8名が亡くなるという大変不運、不幸な山の事故があった。昨日、その事故の責任を問われて「教諭3人書類送検へ」という新聞の記事が目に留まった。
 遭難して生命を落とした本人の無念、その遺族の気持については想像するに尽くせない。特に、登山講習会を信頼して子供を送り出した親にしてみれば、裏切られた怒りや悲しみの想いは今も癒されまい。と、同時にまた、一身にその責任を負わなければならない立場に立たされた教師たちのことも思う。
 尊い生命が8名も失われたのだから当然、警察はその原因を取り調べ、その結果、「業務上過失致死障害」容疑として送検したわけだが、「厳重処分」の意見を添えることになるらしい。検察はそれを受けて起訴すべきかを判断する。起訴されれば裁判が始まるが、そこまでは3人の教師も承服せざるを得まい。裁判になれば、問われる罪の軽重については争うかも知れないが、誰かが責任をとらなければならない以上は恐らく教師らは、内心の葛藤を抑えても責任を認め、判決を受け入れるしかないだろう。
 しかし、遭難死した遺族にも、責任を問われた教師にも、司法の判断で何もかもが終わるわけではない。今なお、子の遭難事故を受け入れることのできない親と同じように、あの雪崩事故を受け入れることのできない「まさか」の思いが、教師らにも痛切にあるだろう。双方にとって悲しみや、口惜しさ、罪の意識が消えるわけではない。
 今注目の人工知能(AI)に判断させれば、「人間は過去は体験できても未来は体験できないから、冬山のような危険予測が難しく、重大事故につながりそうなことはやるな」となるかも知れない。それに「責任を問われるようなことには手を出すな」が加わるだろうか。しかし、さらに(AI)が進化すれば「この男にとっては、生きていることの喜びや、感動が一瞬に集約されるような体験は、何にも代えがたい価値だから、危険ではあるがやれ」となるかも分からない。

 人間には様々な面で能力差がある。行動、判断にもそれが影響する。進化した未来の人工知能(AI)なら、そこまで計算した上で判決が下されるようになる、のだろうか。

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