入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

        Ume氏の入笠 「初夏」 (2)

2015年05月20日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

                                                             Photo by Ume氏

  最悪を覚悟していたJAXAの観測所の裏にある牧柵の修理が、思いがけず進んだ。と言っても100メートルほどだが、それでも予想外の成果だ。初めてここを修理した9年前は、2日かけても終わらなかった。古いバラ線が幾重にももつれ、支柱は何本も折れ、それこそ荒れ放題の状態でなんともかんともなかった場所だ。それらを整理して、支柱を打ち直し、随所で切断したバラ線を繋ぎ、張り直した。
 ここは、昔から多数の鹿が移動する所であり、また雪の吹き溜まりともなるため、牧柵の被害は以後も例年続いた。昨年は入牧頭数が少なくこの牧区に牛を出さなかったため、牧柵が相当傷んでいることは知っていたが放置しておいた。牧場の存続自体すら不確定な時に、どこまで手を出したらよいか分からなかったからだが、さりとて今年になって、牧場の状況が好転したというわけではない。ただ今年は、牛をこの大沢山の第3牧区に出すことについては、ほぼ決まっている。
 
 作業をしながらつくづく、この仕事は岩登りに似ていると思ったものだ。だれも関心など払ってくれない、なんの評価もされないことを、ただささやかな自己満足を得るためにする。バラ線がズタズタに切れ、支柱の折れたややこしい箇所は、難しい困難なピッチに似ているし、1日をかけて3本のバラ線がピンと張り終えられた牧柵を見たときは、あるルートを攀り終えた後の達成感に似たものがある。
 だれかが来て見るわけでもないし、よくやったと労ってくれるわけでもない。ないのは、岩登りにはある危険と、それに対する緊張感だろうが、今さら神経にヤスリをかけるようなことなどしたくもないから、それで物足りないということはない。ここにも美しい風景はあるし、いい風も吹く。

 今日はUme氏と昼を一緒に食べ、先日持ち上げた屈折望遠鏡の調整をしてもらった。JAXAのK君とも久しぶりに会って話した。晴れたら今夜は下に帰らず、ここで星の観察でもしようかと考えているが、サテ?

 入笠牧場内の山小屋「農協ハウス」及びキャンプ場の営業に関しましては、4月26日のブログをご覧ください(日付をクリック)。
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