布屋忠次郎日記

布屋忠次郎こと坂井信生の日記

女性天皇

2005-07-27 23:55:00 | ニュース
「皇位継承資格者を将来も確保するためには資格者の拡大が必要」なのはわかる。ここで「女性天皇を念頭に天皇との血縁が近い皇族による継承を優先する」or「男系男子による継承を維持しつつ、養子縁組なども用いて資格者を拡大する」のいずれを優先するかが、「今後の議論の焦点」ということだ。
「象徴として存続すればいいのだから、男系男子にこだわらなくてもいいじゃないか」と「象徴だからこそ、伝統を残して存続しなきゃ意味ないじゃないか」の戦いらしい。

布忠は、後者の立場。

歴史上も「女性天皇」は存在したことだし、女性天皇がいけないとは思わない。皇室の祭祀の点でどうなのだろうと思ったけど、歴史上の女性天皇も祭祀を執行しているようだし。
不敬な仮定だけど、「万世一系」を継ぐのが女性だけになるようなことがあれば、女性天皇を戴かなければならなくもなるだろう。そのような「万一」も想定して仕組みを考えておく必要はある。

ただ、現状では「女系」を認めるまでの必要はないと思う。それ以前にやれることは、たとえば挙げられている養子縁組や、旧宮家の復活など、いくつか考えられるだろう。手を尽くしていった最後の選択肢として、「女性天皇もあってもよい。ただし皇統の継承は男系」ということでなければならないと思う。

「万世一系」は、「万世直系」ではない。王朝が続いてきたということであって、つまり日本的な意味での「家」が続いてきたということだ。養子縁組によって血統がつながらなくなっても、家としての皇室が続けば、伝統は維持されていることになると理解している。

ただ現実的な問題として、「将来の天皇となるべく皇室に養子に入る」などという肝の据わった者が今の日本男児の中にいるだろうかという疑問もある。
けどもし「そんなやつはいない」としたら、「女性天皇の皇配になる」などという肝の据わった者は、さらに見つからないんじゃないだろうか。としたら、女性天皇が登場しても独身のままでは、皇太子をさずかることができないじゃないか。

それにしても、皇室というのはたいへんな家だと思う。たとえるなら一家の統領が天皇という家業を継ぐわけだが、誰が継ぐかは他人(国民とその代表たる政治家)が皇室典範で決定するのであって、皇室典範は法律であって、法律は立法府が決めるのであり、「国民主権」「象徴天皇」の四文字の下では天皇が立法に当事者の天皇も皇太子も他の皇族方も、意見を述べることさえ許されない。

いままでは家業は長男が継いできたのに、ある日突然「これからはこのように変更します」なんて言われるわけだ。
もっとも国民のほうも、かつては長男が家を相続していたのが、法改正で平等に相続するように変更されたりしたわけだけど。


この問題で一番怖いのは、小泉首相にせよ、他の政治家にせよ、他の問題と同じように「将来どうなろうと知ったことではない。自分の在任中に問題が火を噴かなければそれでいい」と思っているんじゃないかということ。
とりあえず、女性天皇も容認し、女系もありにして、それで自分がいる間に皇統が絶えるとことにならなければ、それでいいと。
将来、女性天皇が登場してから少ししたぐらいに、「現在の女系の天皇は天皇ではない。皇室の伝統からはずれた現在の天皇は、天皇ではない。いわばニセモノだ。天皇制はすでに崩壊した」というような論が、天皇「制」に反対する陣営から出てくるかもしれませんが、今の政治家たちは「でもその頃には自分はいないか、少なくとも責任ある立場にはいないから、いいや」と考えていないだろうか。
「皇室典範に関する有識者会議」も小泉首相の『私的諮問機関』なんだよね。

もしかしたら、天皇「制」に反対する人々は、近い将来を見越して現在の論調を歓迎しているかも?
その人々とは、共産党や旧社会党系などの左翼政治家、他宗教に対して非常に排他的な宗教団体を母体とする公明党、そして布忠としては残念なのだけど、日本のプロテスタント教会などもそこに含まれていそうな気がする。

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