「小さな政府(小泉構造改革)」=格差社会

格差問題を中心とした考察 ※コメント、トラックバックは受け付けません

GDPプラス転換にみる財政支出の効果

2009年08月18日 | 財政問題


内閣府が17日発表した2009年4~6月期のGDP(国内総生産)速報値によると、アジア向け輸出の伸びや個人消費の持ち直しにより、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.9%増、年率換算で3.7%増となり、5四半期(1年3カ月)ぶりにプラス成長となったという。


内容を見てみると


◎輸出は中国の内需拡大策などを背景に前期比6.3%増で、7年ぶりの大幅増。

○個人消費は定額給付金の支給やエコカー減税、エコポイント制度の導入など経済  
  対策の効果で0.8%増。

◎公共投資は経済対策の効果から8.1%増。

▲住宅投資は将来不安、雇用不安、貸し渋りから9.5%減。

▲設備投資は景気の先行き不安から4.3%減、輸入は5.1%減だった。


プラス成長の大きな理由は結局、財政支出と外需のかさ上げの二点であり、消費・住宅投資・設備投資のいずれもが自律反転したわけでもなく、与謝野大臣が宣言した景気底入れ宣言などは、まるで当てにならない状況といえる。



プラス成長の大きな要因の一つである財政支出に関しては、選挙を前にして麻生総理がしきりに景気対策の大きな効果を訴えているが、現状、雇用が増えたわけでもなく、給与が増えたわけでもない(むしろ減っている)ため、残念ながらこの訴えは国民に伝わらないだろう。

所詮、財政支出というものは国家経済にとって「親のような存在」であり、あって当たり前のもの、そして 亡(失)くなってはじめて、その重要性に気づく性質のものなのである。

GDP(国民の経済水準と言っても良いか)を維持するために財政支出が果した役割は絶大なのだが、こうしたことは国民に理解されないのである。

大変な経済危機の時は誰もが財政支出を唱える。
あの竹中平蔵でさえ、最低限の財政は必要だ!と言うだろう。

しかしながら、危機が通り過ぎ、数年後に日本経済が停滞した時に必ず財政支出不要論が吹き出てくるのである。

バブル崩壊後に竹中平蔵達がマスコミを巧に操って「財政支出は効かない。それどころか財政支出とくに公共事業は悪である。」と国民を煽動したことが記憶に新しい。


もう一つの要因、中国経済の財政支出(外需)による持ち直しは日本にとってラッキーだったといえる。(こちらも中国による財政支出の恩恵を頂戴したわけであるが...)

しかしながら中国も財政支出を絞り出したと報道されており、のんきに株価の上昇を喜んでいる状況ではない。

今後、財政支出による下支え(親の援助)がなくなれば、再び危機がやってくるのである。