米国の株価が少し持ち直している。
これらの背景には原油・穀物などの先物取引市場の高騰がある。
つまり、デリバティブ金融過熱の再来が株価を牽引していると言っても良いだろう。
懲りない米国金融マンが再度、一攫千金を狙っている極めて危ない状況である。
しかしながら実体経済が悪いことによる行き場を失ったマネーが、金融業界に滞留し、架空の利益を生んでいるこの異常な状況が長続きすることはない。
実体経済への貸し付けから生まれた利益ではない、デリバティブ金融による利益というものは、投資詐欺と同様にいずれ破綻することが明らかだからである。
こうしたことを考えずに米国は株価や金融業界の回復を基に景気後退は一段落としているが、この判断は全く間違っているといえよう。
米国は資産価格暴落の影響を見誤っており、これでは日本のバブル崩壊を教訓としていないことになる。
私は景気反転の判断は長期金利、失業率、求人倍率を指標としてなければダメだと思っている。
このうち失業率で言えば、クルーグマン教授が指摘しているように、失業率が7%を切るまで景気は底抜けの可能性があり、恐らく3年後くらいまで出口戦略などは検討するべきではないだろう。