能登でココロもどる旅

ぶなの森エコツアーのスタッフブログです。
能登の海・山・里で日本の原風景に帰る旅を楽しみましょう。

竹取物語 人が関わる意義

2009年11月06日 | ― 竹取物語
「人の手による自然本来の植生の回復」といった言葉に
疑問を感じる人がいるかもしれません。
そもそも自然とは人が手を加えないことなのではないか、と。

答えはこうです。
人の利用によって維持されてきた山は人が手を加え続ける必要があるのです。
縄文時代から石斧で森林伐採が始まり、日本にはほとんど原始の自然は残っていません。
薪炭需要をはじめ様々に人が手を入れてきたのが日本の山の自然です。

それではなぜササ(ネマガリタケ)を刈るのか。
ササは日本の自然、特に寒さに適応した種族です。
常緑のササは本来明るい光が必要で森の外側を縁取る役割の植物です。
原生林のような暗い森ならばササは森の中に入ってこれません。

ところが実際には木の生育を阻害(更新妨害)するほど森の中に入って繁茂しています。
それは森が明るくなったから、つまり人が木を切ったからです。
よってブナを含む多くの木々がササに対して有効な防衛戦略を持っていません。
(刈る前)

それでも炭焼きが行われていた頃は枝拾い・落葉掻き・下草刈りなどでササの勢いは
抑えられていました。ところが熱源が石油に置き換わった昭和40年代以降、山は放置され、
今やササの天下となりました。森の時間単位ではまさに一瞬の変化です。

ブナなどの木の更新妨害の遠因に人が関わっているのだとしたら、
人の手によってササを抑えてやる義務があるのです。
(刈った後)

人と自然(山や森)の関わりを今日的なテーマで取り戻すこと、
それが「竹取物語」の本当の意義です。(更に続く)


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