「元祖アテ」と呼ばれ全国の巨樹としてもしばしば取り上げられる県内有数の巨木。
ヒノキ科の大木が二本並んでいる様は見ごたえがあります。
輪島市門前の門前の国道249号線からすぐ、こんな何気ないところにあります。
写真の竹林(黄緑色)の手前の森の中にあり、庭園のような敷地に隣接しています。
俯瞰するとこんな感じ。
この大木の個性はこのアングルにあるかな、と思いました。
説明によると・・・
「この二本のアテの樹高はともに約30メートル、幹周4メートルと3.6メートルと県内でも最大のものである。
また、樹齢は約450年以上と推定され、県内では最古級のアテである。」
由来については12世紀末に奥州藤原家の者が平泉から持ってきたとも、
16世紀後半に泉家の者が東北地方から苗木を持参したともいわれています。
さて、「アテ」とは何か・・・(複雑ですよ)
ヒノキの仲間に「アスナロ」があり、その変種に「ヒノキアスナロ」があります。
これを能登では「アテ」と呼びます。青森では「ヒバ」といいます。
この並び立つ二本の大木は移植されているで明らかに「青森ヒバ」です。
厳密に言うと
「能登ヒバ=アテ」の元祖ではありません。DNA鑑定でも裏付けられました。
能登のアテは5種ありますが、特にマアテ・クサアテが大半を占めています。
宝立山にはマアテの自然林が確認されています。藩政時代から植林が奨励され
能登全域にアテの人工林が広く分布しています。
出実はともかくとして、このアオモリヒバ・通称元祖アテの巨木が数百年の風雪に耐えてきた風格と、
里の人々の畏敬を集めてきた存在感はいささかも損われるものではありません。
一見の価値ある能登の巨木です。