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愛された骨だけが残った

2010-02-06 | movie/劇場公開作品
ここ数日、「Abbey Road」の終盤に出てくるメドレーが
頭の中をリフレインして止まらない。

「ゴールデンスランバー」のCMをよく見るからだろうけど、
「Golden~」じゃなくて「Carry That Weight」のメロディーばかり
思い出して歌ってしまう。

 Boy, you gotta carry that weight
 Carry that weight a long time

はいはい、重荷ね重荷。分かった分かった。って感じ。



あまりに脳内再生してるので、
今週は「ゴールデンスランバー」ではなく、
「ラブリーボーン」を鑑賞。
http://www.lovelyb.jp/

ブライアン・イーノが音楽を手掛けてることを思い出して、
俄然見る気になった。
http://www.youtube.com/watch?v=LK8vrBD9SSE

ちなみに「ゴールデン~」はせっちゃんこと斉藤和義が音楽担当。
どちらも大好きです。


冒頭、14歳の女の子、スージーが
冬のトウモロコシ畑の下に作られた秘密の地下室に誘い込まれて殺される。
「地平線と空のあいだ」に意識だけ取り残された彼女が、
犯人の成り行きと、家族が立ち直り希望を見出すようすを見届ける話。


語り手が成仏していない被害者、てのが珍しいけど、
軸はサスペンス・ドラマですよ。

このところ朝から晩まで刑事ドラマか推理ものばっかり
見たり読んだりの私にとっては、ちょうどよかったw
手に汗握るシーンも意外にあって。


現世とリンクする、黄泉の国の不思議な風景も楽しかった。
父親の作った帆船の入った瓶が海岸に打ち上げられるシーンなんか特に。
本物みたいな錯覚を起こすVFXより、
想像力を膨らませる特殊効果の方を支持します、私は。



不謹慎な言い方かもしれないけれど、
犯人が捕まってめでたしめでたし~!
…ではない幕切れであることも好感が持てた。

だいたい…どんな殺人事件でも、
解決したところで死んだ人間は帰らないし、
めでたいわけがない。
現実世界でも、フィクションでも。


残された人も、死んだ人も、
心残りや悲しみ、憎しみを背負うわけだ。
それこそ“長い時間、重荷を背負う”。

そのさまざまな重荷から放たれたときこそ、本当の別れ。
悲しいけれど、ここで語られてることは、
別れも幸せの一つだということですな。

スージーが最後に再会したがったのが、
家族ではなく、恋の相手だったことも、
特に気にならなかった。

家族にとって、彼女と再会することが必ずしも幸せとは言えないことくらい、
彼女にも分かっていたはずだし、
ボーイフレンドのそばに“ミディアム”がいたからこそ出来た再会だったはずだからね。

傑作ではないけど、心の目を開かせるような小品でした。



この作品でアカデミー賞にもノミネートされてる
スタンリー・トゥッチも楽しみの一つだったんだけど、
見てみたら、ノミニー入りの理由が分かったw
「この役かw」
こわかったー。

おばあちゃん役のスーザン・サランドンもいい味だしてた。
焦げたフライパンに花ごと花瓶の水掛けたり、
小さい孫にペディキュア塗らせたり、ファンキーだった。
コメント
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