結婚以来、仲人さんへの盆暮れの挨拶は欠かしたことが無い。
大抵、夫と二人で行く。
しかし、今回、夫にお中元を持って行ってもらった。
「玄関のカギは開いていたけど、留守のようだった。玄関に置いて帰ってきた」と夫。
しばらくして電話がかかってきた。
「家にずっといたのよ。大きい声で呼んでくれればよかったのに。竹の子を冷凍したのがあるからあげたかったのに」と奥さんが残念そうに言った。
私が一緒だったら、もう少し粘り強く玄関で叫んだと思うが、夫の声は低いので届かなかったのかもしれない。
如才なくいつも笑顔で輝いていた奥さんが、86歳になったという。
常に威風堂々とされていたご主人は90歳。
「まだ、運転できるから買い物にも行ったりするのよ」と言う。
「奥さんが運転されるのですか?」と尋ねたら、「私は、腰が悪いから、もうやめたの。主人がするのよ」とのこと。
子どもさんのいないご夫婦。
二人で老後もしっかり頑張って暮らしていらっしゃるようだが、運転はもうそろそろやめた方が良いのではないかと気になった。
眩しいほど存在感のあったご夫妻だが、老化は容赦なく誰をも巻き込んでいくものだなと淋しく思った。