あざみの気まぐれ日記

備忘録のつもりで書いています。

お墓参り

2018年08月13日 | 

家族4人で実家のお墓参りに行った。

行く途中、今日は何故か「徳尾のばあちゃん」と呼んでいた人の

顔が思いだされた。

 

 

この「徳尾のばあちゃん」は私の曾祖母の妹で私の祖母の母親。

夫と死に別れ、幼い私の祖母を連れて実家に戻り、

幼い子を実家に預けて再び他家へ嫁いだ人・・・

盆正月になると、このばあちゃんが私の実家に帰って来て

数日滞在するのが常だった。

子ども心にこの「徳尾のばあちゃん」が来てくれることが嬉しかった。

穏やかな人だった。

 

お盆の所為か、今日は亡き人のことが次々に浮かんで来た。

 

ずっと以前書いた私の詩

お盆なので、ここに載せて今は亡き父母や曾祖母を偲ぼう。

 

「一枚の写真」

 

セピア色した1枚の家族写真

あがりがまちに腰かけて

明治12年生まれの曾祖母と

30代の父母(ちちはは)と

わたしらきょうだい3人が

妙にすまして写ってる

 

着物姿の曾祖母は

白い足袋などはいていて

学生服の弟は胸に名札を付けている

父はVネックのセーターで

母は4~5歳の妹の肩を抱きしめ写ってる

私はひとり半袖で

ショートカットでうつむき加減

 

この一瞬のひと時

この一瞬のひと時よ

 

少しずつ少しずつ

そしてあっという間に時がながれ

それぞれが、それぞれの人生を

歩いて行った

 

70代の老い母が

ひとり住んでるふる里で

何十年ぶりかに見つけた写真

夜更けにひとりながめていたら

あがりかまちに腰かけた

みんながフワッと動いた気がした。

 


私の好きな詩

2016年01月27日 | 

 

寒い冬の日は自省の気持ちが強くなったりする。

そういう時に私をいましめ、励ましてくれるのが茨木のり子さんの詩。

以前にも書いたことがあると思うが、また今日、書きたい気分だ。

 

「自分の感受性くらい」  茨木のり子

ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志しにすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ

 

 

「汲(く)む ―Y・Yに― 」  茨木のり子

大人になるというのは
すれっからしになるということだと
思い込んでいた少女の頃
立居振舞の美しい
発音の正確な
素敵な女の人と会いました
そのひとは私の背のびを見すかしたように
なにげない話に言いました

初々しさが大切なの
人に対しても世の中に対しても
人を人とも思わなくなったとき
堕落が始まるのね 堕ちてゆくのを
隠そうとしても 隠せなくなった人を何人も見ました

私はどきんとし
そして深く悟りました

大人になってもどぎまぎしたっていいんだな
ぎこちない挨拶 醜く赤くなる
失語症 なめらかでないしぐさ
子どもの悪態にさえ傷ついてしまう
頼りない生牡蠣のような感受性
それらを鍛える必要は少しもなかったのだな
年老いても咲きたての薔薇 柔らかく
外にむかってひらかれるのこそ難しい
あらゆる仕事
すべてのいい仕事の核には
震える弱いアンテナが隠されている きっと……
わたくしもかつてのあの人と同じぐらいの年になりました
たちかえり
今もときどきその意味を
ひっそり汲むことがあるのです

 


感傷的?(父についての詩)

2015年10月05日 | 

 

 

40数年前に書いたもの。 

 

 

「挽歌」

 

雪は歌いながら降りました 

 

知らない街のビルの上にも

小さな里の赤い南天の実にも

 

雪は歌いながら降りました

 

あれは弔いの雪なのです

5歳で養子に貰われ

17歳で子どもの親となり

働いて働いて

子を育て

家を建てた男が

44歳の若さで

この世を去った

 

あれは弔いの雪なのです

雪は挽歌を歌っています

 


懐古的?(祖父について)

2015年10月05日 | 

同級生から貰った「鮎のうるか」、弟夫婦が持ってきた鮎、

それが今回、古い雑記帳を引き出して見るきっかけとなった。

祖父が鮎とりが大好きだった。

その祖父の事を書いた詩が確かあったはず。

それを見ようと古い雑記帳を引き出して見た。

その祖父の事を書いた詩・・・

(30代の頃書いたのかな?) 

 

「特別養護老人ホーム」

 

「あんたはとっと他人じゃない人のような気がする」

孫の顔をじっと見てヒヒと照れて笑う

 

コリッと梅干の種を割っていた歯が

今は前に1本だけ

 

「そろそろ家に帰って釣りに行こうと

思っちょる。簗(やな)も見に行かんといけん」

オムツ交換15年

歩くことを忘れて足細く白い

 

「この間、大水が出て原田橋が

流れてしもうたんよ」と話せば

「わしの簗(やな)は絶対流れん。

ちゃーんと流れんようにしちょるから」

と胸を張る

 

余計なものはすっかり切り捨て

それでも歳は「90」と

ハッキリ答える

酒好きの男がお菓子好きに変わって・・・