ATSUー歴女(おばさん?)のひとりごとー

見たこと・聞いたこと・ちょっと調べたこと,気ままに「My 日記」として書いています。

寿老人と福禄寿

2018-01-15 11:35:25 | 日記 博物館・美術館...
今,兵庫県立歴史博物館の歴史工房のコーナーでは,
前に書いた「じごくへようこそ」のほかにも,
江戸時代の絵画が専門の,本年度から歴博で学芸員をしている若い先生が担当の展示もあります。

今回の展示は「寿老人」

先週金曜日にその学芸員の先生にお会いした時,
寿老人と福禄寿の違いを尋ねました。

先生がくださったプリントから

板橋区立美術館『御長寿美術展』図録 平成16年

4.七福神の星(スター) 寿老人と福禄寿
「商売繁盛も開運出世も,命なくては無駄というもの。
 長生きを約束する寿老人と福禄寿は,
 現世利益を求める七福神信仰でも,不可欠な存在です。」
とはじまり,
要約すると,

寿老人は,中国の道教において信仰されていました。
一方,福禄寿という名の神様は存在しません。
長い頭の寿老人が描かれると,
それが,福禄寿なる人物と勘違いされ,そのまま七福神にも組み込まれたそうです。

福禄寿とは,
福人,寿人(寿老人),禄人の三人を合わせた,めでたい三人の称なのです。
ただ,福人が蝙蝠(こうもり「ふく」が同音),
禄人は鹿(「ろく」が同音)に象徴され,
寿老人だけが人間の姿で描かれることもあり,
日本人の間では誤解が生じてしまったそうです。
福禄寿という名で勘違いされた頭の長い人物は,
描き方が異なりだけで,実は寿老人・・・!。

二つの姿の寿老人は,はじめ禅宗の中で描かれ,
以来,長寿祝いや誕生日の記念など,
祝い事全般でおびただしい数が注文され,制作されました。

親しみやすいこの神様は,
「江戸時代以降では,長い頭がパロディ化されるなど,
 茶化されて描かれることも少なくありませんでした。」


学芸員の先生にお話を聞いた後,
以前,調べた福禄寿と水頭症の関係についても尋ねてみました。



以前調べたことは,

2016-08-24のブログ
国芳「源頼光公館土蜘作妖怪図」から
の一部のあります。

私が「源頼光公館土蜘作妖怪図」をみて,
「水頭症?」と思ったのは,
実は,福禄寿,七福神の1つで,
もともと福禄寿自体が,水頭症ではないかと言われているようです。(河野憲一「心で学ぶ人間福祉入門: 実践ワーク」より)


もう一度,河野氏の論文(2007年)を見てみると,

「水頭症とも見える頭でっかちの「寿老人」「福禄寿」」と書いています。
また,『柳多留』(川柳の選句集)には
「弁天を 除けばあとは 片輪なり」
という川柳を例に挙げ,
七福神を茶化したうたがあると書いています。


学芸員の先生と話をする中で,
江戸時代に後付けで,
「福禄寿は水頭症ではないか」
というようなことがくっつけられたのだろう,
と思いました。

いい勉強になりました。

姫路の総社は昨日から明日まで「えべっさん」です。(あれ?ほかと日がずれている?)

ちなみに,明日,
下の娘が職場から,淡路島の七福神めぐりに行くそうです。


PS.「じごくへようこそ」で紹介した
「善悪地獄極楽双六」を現在解読中!
『往生要集』に関する図録『源信』も読んでいる途中です。

コメント
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