狸  森  日  記

                 ムジナnoモリnoクラシカタ

棘が刺さったままの・・・

2008-02-16 04:58:05 | ひとりごと

随分前の事になりますが「どうしても結婚したい」と見合いをし
付き合いが始まる事になり、見合い相手が住む熊本へ泊まりで出
掛けると言う日、僕は彼女を車に乗せて駅に見送りに行きました。


僕は既婚者でしたから、彼女とは結婚出来ません。そういうことを
判った上での付き合いでした。だから彼女が見合いをすることを
賛成もしなかったけれど反対も出来なかったのです。


ホームでの見送りは、まるで映画のワンシーンの如く、今でも記憶に
焼き付いています。人目も憚らず抱き合っていました。それでも僕は
「行くのを止めろ」とは言えませんでした。


結果から申し上げると、その縁談は、理由は分かりませんが「破談」
になりました。僕とは15年の差がある彼女でしたが、見合いした相手
は僕より年上だったのです。そのことは、勿論泊まりのデートに行く
前から、彼女に聞かされて知っていました。



見合いには反対しなかったけれど「僕より年上だけは厭だ」と伝えて
いましたが(僕のエゴで)聞いてはくれませんでした。少なくとも
貧乏な同年代より、豊かな暮らしが出来る年上を選んだと言いました



列車がさり、事務所に帰ってからは何をする気にもなれないで、
二階で酒を飲み、悶々と、夜中まで悶え苦しんでいました。
あの時の、何と表現して良いか判らない苦しみは忘れようにも
忘れられない記憶です。



過去には拘りがない僕でも流石に「ing」となると、堪えました。
遠い昔の、苦しい苦しい、苦い思い出ですが、彼女とは結婚するまで
という条件を提示され、その後も付き合っていましたが、破談になった
1年後に、今度は「年下の彼氏が出来たから」という理由で、結局別れ
ることになりました。本当に結婚したいのだと思ったからです。
修羅場は有りませんでした。



ところが、その彼氏とも直ぐに別れたようで、鍼灸院で会ったとき
には、軽トラックの運転手をしていると言っていましたが、あれから
15年の歳月が流れ、昨年目出度く結婚したと、共通の友人から連絡
が入り、やっと安心した次第。



婚期を遅らせた責任の一端は感じていますが、後悔は有りません。
棘が刺さったままの記憶というのは、不意に痛みを伴って思い出されます。
また同じような思いをする時が近いからかも知れません。2008/03/15