歌舞伎座夜の部へ。
一昨年7月、「夜叉ヶ池」「海神別荘」「山吹」「天守物語」と、泉鏡花作品だけで歌舞伎座の演目を組むという画期的挑戦的な企画を成功させた玉三郎が、再び鏡花の世界を。
再演の「夜叉ヶ池」と、新たに「高野聖」。
やはり演劇としての骨格があってテーマの伝わる「夜叉ヶ池」の方が、見ていて面白い。春猿、段治郎、市川右近、笑三郎ら沢瀉屋一門を主とした配役も充実。
対して「高野聖」は、玉三郎&海老蔵という役者の華々しさや舞台装置の作りの良さの効果で、作品独特のムードはそれなりに現せていたが、ストーリーを上手に絵解きにして見せた、という以上のものが感じられるかどうか。ちょいと微妙。原作が戯曲か小説かの違いはけっこう大きいようだ。まだまだ練り上げる余地あり。昭和29年に<中村扇雀主演、吉井勇脚色/久保田万太郎演出>にて上演されたものはいったいどんな感じだったのだろう、ちょっと興味あり。
ま、今後も、数年に一度くらいの頻度で、鏡花物を特集的に扱う歌舞伎興行があっても良いとは思う。鏡花の世界は私も好きだし。
camera: Olympus μ2 film: Agfa VISTA400
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