ニガイメ記

文章が苦手なので、イメージ写真でお茶をにごす日記
・・・の略。

すし屋

2007年03月24日 | TC-1

墓参り(お寺は文京区本郷に)をしてから、歌舞伎座へ。
「義経千本桜」の通し、夜の部は、「木の実・小金吾討死~すし屋」と「川連法眼館・奥庭」。

仁左衛門の権太が、感動を与えるという点では、最高の出来。情味の厚い、泣かせる権太。かなり細かく心理を見せる演技だが、例えば引っ立てられていく妻子と眼で交わす芝居なども底割れにならず、現代人にもよく伝わる家族愛のリアリティーを上手く表出。悪人ぶりも、手強さ十分、リアルで面白く、しかも決まりの型が実に“粋”である。要所での“悪”を効かせながらも、根は善人、という感じをはっきり出して作り上げていくのが仁左衛門らしいし、それは成功していた。家族愛を希求して満たされず、「いがみ」になってしまった権太像が浮き彫りに。
「木の実」での、秀太郎の小せんがさすが絶品、この場にて権太の“家庭”が明瞭に見えることで、後の「すし屋」での感動がふくらむ。扇雀の小金吾も収穫。
「すし屋」は隙のない配役で稀にみる充実したものとなった。孝太郎のお里は、独特の野暮ったさを活かした熱演で成功、進歩である。他、時蔵(弥助実は維盛)、左團次(弥左衛門)、竹三郎(お米)、我當(景時)、東蔵(若葉内侍)、秀太郎(小せん)、もう全員○印!

「川連館」、忠信は昼の部から通して菊五郎。少しお疲れのご様子も(笑)。本物の人間の忠信に、さすが説得力あり。法眼夫婦に彦三郎・田之助を配し、しっかり「大歌舞伎」を見せてくれて嬉しかった。梅玉の義経、福助の静、ともに良し。
今回は最後に「奥庭」が出て、幸四郎が横川覚範でおつきあい。

終演後、久しぶりに「うまい鮨勘」へ。
本拠地の仙台では回転寿司タイプの店舗も展開する庶民的なチェーン店のようだが、銀座二丁目店は場所柄相応の格。といってもバカみたいに高価なわけではなく、ネタも良いのでかつてはたまに利用していた。
数年ぶりに入ってみたら「塩」や「炙り」といった新系統のメニューも加わっていて、お薦めの旬の物も旨く、チョットつまむつもりがけっこうな満腹に(笑)。


camera: Minolta TC-1  film: Fuji NATURA1600