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プロバイオティクスはアルツハイマー病患者の認知を改善する

2016-11-17 06:06:02 | 
Probiotics improve cognition in Alzheimer's patients

November 10, 2016

https://www.sciencedaily.com/releases/2016/11/161110162840.htm

カーシャーン医学大学/Kashan University of Medical Sciencesの科学者たちは、プロバイオティクスprobioticsがヒトの認知機能を改善できることを初めて示した
プロバイオティクスはヒトにとって有益な生きた細菌や酵母のことで、サプリメントdietary supplementsとして摂取されている

今回の臨床試験では年老いたアルツハイマー病患者にプロバイオティクスのラクトバチルスLactobacillusとビフィドバクテリウムBifidobacteriumを毎日、12週間だけ摂取させ、それがミニメンタルステート検査という認知障害を測定する標準的な尺度において中程度moderateだが有意significantなスコアの改善を引き起こすのに十分であることが示された

プロバイオティクスは様々な疾患に対して部分的にせよ保護することが知られており、特定の感染性の下痢や、過敏性腸症候群/irritable bowel syndrome、炎症性腸疾患/inflammatory bowel disease、湿疹/eczema、アレルギー/allergies、風邪/colds、虫歯/tooth decay、歯周病/periodontal diseaseなどに有効である

しかし科学者たちは長年の間、プロバイオティクスは認知をも加速するかもしれないという仮説を立てていた
なぜなら、腸の微生物叢microfloraと胃腸管、そして脳との間には、神経系・免疫系・ホルモンなどを通じて継続的に両方向のコミュニケーションが存在するからである(いわゆる『微生物叢-腸-脳の経路/microbiota-gut-brain axis』)

実際、マウスへのプロバイオティクスの投与は学習と記憶を改善することが示されており、しかも不安や鬱、強迫性障害/obsessive-compulsive disorder(OCD)と類似する症状を減少させる
しかし、ヒトに対して何らかの認知的な改善をもたらす利点があるのかどうかについては、今回の研究以前には非常に限られたエビデンスしか存在しなかった


今回、カーシャーン医学大学(カーシャーン)とイスラムアザド大学(テヘラン・イラン)の研究者は、60歳から95歳までの間のアルツハイマー病患者の男女総数52人での『ランダム化二重盲検対照試験/randomized, double-blind, controlled clinical trial』の結果を発表する


この試験では被験者の半数に4種類のプロバイオティック細菌が豊富な200ミリリットルの牛乳を毎日飲んでもらい、もう半分の被験者には普通の牛乳を飲ませた
4種類の細菌は、ラクトバチルス・アシドフィラス/Lactobacillus acidophilus、ラクトバチルス・カゼイ/Lactobacillus casei、ラクトバチルス・ファーメンタム(発酵乳酸桿菌)/Lactobacillus fermentum、ビフィドバクテリウム・ビフィダム/Bifidobacterium bifidumであり、1種あたり約4000億の細菌が含まれていた

12週間の実験期間の初めと終わりに血液サンプルを採取して生化学的な分析を実施し、加えてMMSEの質問表を用いて被験者の認知機能をテストした
MMSEの課題とは例えば、現在の日付を答える、100から7ずつ減らして数える、物の正しい名を言う、語句の復唱、絵画の模写などである

研究を通じてMMSE質問表の平均スコアは、プロバイオティクスを投与されたグループで有意に上昇した(最高30点中、8.7から10.6まで上昇)が、対照グループでは上昇しなかった(8.5から8.0)
この上昇は中程度であり、被験者の全員が依然として重度の認知障害だったものの、これらの結果は重要である
なぜならプロバイオティクスがヒトの認知を改善できるということが初めて示されたからである

将来さらに多くの患者と長い期間の試験を実施して、プロバイオティクスの有益な効果が長期の投与後にもっと強くなるのかどうかをテストすることが必要である


「我々は以前の研究で、糖尿病モデルのラットでの空間的な学習と記憶の障害がプロバイオティックな治療により改善することを示した
しかし、プロバイオティックなサプリメントが認知に障害のあるヒトでも有益であることを示したのは今回が初めてである」
研究の首席著者/senior authorであるカーシャーン大学/Kashan UniversityのMahmoud Salami教授は言う


さらに、プロバイオティクスの投与によりアルツハイマー病患者の血液中のトリグリセリド、超低密度リポタンパク質/Very Low Density Lipoprotein(VLDL)、高感度C-反応性タンパク/high-sensitivity C-Reactive Protein (hs-CRP) という生化学的な指標のレベルが低下する結果になった
加えて、インスリン抵抗性とインスリン産生細胞の活動を示すために広く使われる2つの計測値、HOMA-IRとHOMA-Bが低下した

※HOMA: Homeostatic Model Assessment


「これらの研究結果が示すのは、プロバイオティクスがアルツハイマー病やおそらく他の神経疾患にも影響するメカニズムは『代謝的な調整における変化/change in the metabolic adjustments』であるということだ」
Salamiは言う

「我々は次の研究で、そのメカニズムをさらに詳細に調べようと計画している」


今回の研究をレビューしたルイジアナ州立大学の神経学・神経科学・眼科学/Ophthalmologyの教授、Walter Lukiwは次のように言う
「この初期の研究は興味深く、そして重要だ
なぜなら、胃腸管(GI)の微生物叢/マイクロバイオームmicrobiomeの要素が神経学的な機能に関与するというエビデンスを提供するからだ
そして、原理上、プロバイオティクスがヒトの認知を改善しうることも示す」

「これは我々の最近の研究のいくつかと同一線上にある
我々は以前、アルツハイマー病患者の胃腸管の微生物叢が、年齢をマッチさせた対照群と比較して構成が著しく変化していることを示している
そして(患者の)胃腸管と血液脳関門は両方とも加齢にしたがって著しく漏れやすくなることも示しており、したがって胃腸管の微生物からの滲出物exudates、例えばアミロイド/amyloids、リポ多糖/lipopolysaccharides(LPS)、内毒素/endotoxins、小分子ノンコーディングRNAなどが中枢神経系の区画までアクセス可能になる」


http://dx.doi.org/10.3389/fnagi.2016.00256
Effect of Probiotic Supplementation on Cognitive Function and Metabolic Status in Alzheimer's Disease: A Randomized, Double-Blind and Controlled Trial.
プロバイオティックなサプリメントがアルツハイマー病の認知機能と代謝状態に与える効果: ランダム化二重盲検対照試験

Abstract
12週間の介入後のMMSEスコアは、対照群 (−5.03% ± 3.00) と比較して、プロバイオティック投与群 (+27.90% ± 8.07) は有意な改善を示した (P <0.001)

さらに、プロバイオティック群では対照群と比較して次のような変化が見られた(プロバイオティック群 vs. 対照群)

血漿中の
マロンジアルデヒド/malondialdehyde (−22.01% ± 4.84 vs. +2.67% ± 3.86 μmol/L)

血清中の
高感度C-反応性タンパク (−17.61% ± 3.70 vs. +45.26% ± 3.50 μg/mL)
トリグリセリド (−20.29% ± 4.49 vs. −0.16% ± 5.24 mg/dL)

インスリン抵抗性/HOMA-IR (+28.84% ± 13.34 vs. +76.95% ± 24.60)
β細胞の機能 (+3.45% ± 10.91 vs. +75.62% ± 23.18)
インスリン感受性検査指数/quantitative insulin sensitivity check index(QUICKI) (−1.83 ± 1.26 vs. −4.66 ± 1.70)

プロバイオティックの投与は、酸化ストレスと炎症、空腹時血漿グルコース、ならびに他の脂質プロファイルなど他のバイオマーカーに対しては際立った効果はなかった
全体として、12週間のプロバイオティクスの投与はアルツハイマー病患者の認知機能ならびにいくつかの代謝的ステータスに正の影響を与えることが今回の研究で実証された



関連サイト
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%86%E3%83%AA%E3%83%B3
ロイテリン(Reuterin)は、ラクトバチルス・ロイテリ菌がシアノコバラミン依存ジオールジヒドラーゼによりグリセロールを1,3-プロパンジオールに代謝する際に生成する強い抗生物質である。
抽出されたロイテリンは、腸管出血性大腸菌O157やリステリア・モノサイトゲネスを殺すことができ、乳酸がその効果を高める。



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タウタンパク質と、尿素ureaと、トリメチルアミンオキサイドTMAO
神経系に多いタウは微小管を安定させるが、その3次元の構造が安定しないと立体構造が変化して、塊を形成するか蓄積し、その蓄積はアルツハイマーなどの認知症と関連する
コンピュータシミュレーションでタウと尿素とTMAOとの間の水素結合hydrogen bondsを解析した




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CAMPを投与するとインスリン分泌が2倍になった



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マウスへの長期の抗生物質投与はプラークレベルを低下させてミクログリアの神経炎症活動を促進した


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