Circulating small cell lung cancer cells successfully cultivated for the very first time
November 19, 2015
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/11/151119103547.htm
小細胞肺癌/SCLCのほとんどは、腫瘍が既に転移を形成した後で診断される
なぜSCLCがこれほど急速に転移するのかはこれまで不明だったが、その理由は患者から十分な量の腫瘍の素材materialが得られないことにあった
今回の研究でウィーン医科大学外科部のGerhard Hamilton率いる研究チームは組織培養を無制限に増殖させることに成功した
研究成果はOncoImmunology誌に掲載される
オーストリアでは毎年約4000人が肺癌で死亡し、そのほぼ90%が喫煙歴数十年のヘビースモーカーである
この悪性腫瘍は特に女性で増加しつつあり、今では乳癌を抜いて女性の癌での死因1位になった
肺癌の15%は小細胞肺癌/SCLCである
ほとんどの症例で診断時に既に転移が形成されており、相応してcorrespondingly予後は悪い
治療は細胞毒性による化学療法と放射線療法で、転移したステージでは手術は効果がないため実施されない
初めのうちはSCLC患者のほとんどが治療の組み合わせにとてもよく反応するが、ほぼ1年以内に腫瘍は再発し、それらは治療抵抗性であるために生存率は劇的に減少する
なぜこの癌はこれほどまでに悪性なのかを調べることはこれまで不可能だったが、その理由は集められて得られる生検がほんのわずかで、生体分子的分析で利用できるほどの十分な細胞素材が存在しなかったためである
研究の開始時点でわかっていたのはSCLC患者の血中には非常に多数の循環腫瘍細胞/CTCが存在するということだけだった
Gerhard Hamiltonを中心とする研究グループは、分子腫瘍学グループのRobert Zeillinger、オットー・ワーグナー病院のMaximilian Hochmairらと協力して
進行SCLC患者の循環腫瘍細胞を永続的に培養するための手法を確立しようと努力してきた
彼らはその手法を使い、永久に増殖できる4つの細胞系統の開発に成功した
これにより彼らは腫瘍細胞がどのようにして免疫系を操作するのかを説明できるようになった
単球はマクロファージに分化させられ、化学的メッセンジャー物質がその極性polarityを変化させる
このマクロファージは腫瘍細胞と戦う代わりに炎症性の微小環境を作り出し、癌細胞の転移をさらに刺激する
さらに、主なリスク集団には肺癌の発症前に慢性閉塞性肺疾患/COPDが既に存在したという兆候もあり、これも循環腫瘍細胞の形成を促進していた
このまったく新しい発見は一流誌のOncoImmunology誌に発表された
この研究はSCLC腫瘍の転移の説明に役立ちgo a long way towards explaining、おそらく他の悪性腫瘍にも関連性があるだろう
Hamiltonたちの次の目標は、再発したSCLCがなぜ化学療法に抵抗するのかについての理由を明らかにすることである
http://dx.doi.org/10.1080/2162402X.2015.1093277
Small cell lung cancer: recruitment of macrophages by circulating tumor cells.
ABSTRACT
腫瘍関連マクロファージ/TAMは腫瘍の進行ならびに抗腫瘍免疫の抑制、そして播種性転移disseminationにおいて重要な役割を演じる
血液中の単球は腫瘍領域に浸潤し、腫瘍の局所的な微小環境によってプライミングされて腫瘍増殖と浸潤を促進する
腫瘍とマクロファージは多くのサイトカインやファクターによって相互作用することが知られているが、
想定される循環腫瘍細胞/CTCの寄与はこれまで知られていない
CTCの特徴は移動の増加ならびに細胞外マトリックス/ECMを分解して血流に入り二次的な病巣を形成する能力だが、この転移形成が癌患者の大半の主な死因である
我々は進行SCLC患者の血液サンプルからBHGc7とBHGc10という2つの永続的CTC細胞系統を確立し、それによりCTCと免疫細胞の相互作用を調べることが可能になった
末梢血単核球/peripheral blood mononuclear cells (PBMNCs)とCTCとの共培養、またはCTCならし培地conditioned medium/CTC-CMを添加した結果、
単球からマクロファージへの分化 ならびに TAMのマーカーを発現するCD14+ CD163weak CD68+マクロファージを生じた
さらに、CTCによってプライミングされたマクロファージの上清を約100種のサイトカインに関してスクリーニングし、
局所転移性の細胞系統であるSCLC26Aによって誘発されたそれと比較した
SCLC26A-CM(conditioned medium/ならし培地)によってリクルートされたマクロファージは、以下のような発現を示した
オステオポンチン/osteopontin (OPN)、
ケモカインのMCP-1、IL-8、
キチナーゼ様タンパク質のchitinase3-like 1 (CHI3L1)、
血小板因子4 (Pf4)、IL-1ra、マトリックスメタロプロテイナーゼ-9 (MMP-9)
対照的にBHGc7-CMは、
補体因子D (CFD)/アディプシンadipsin、ビタミンD結合タンパク質 (VDBP) の著しい過剰発現を誘導し、
オステオポンチン、リポカリン2 (LCN2)、CHI3L1、uPAR、MIP-1、GDF-15/MIC-1の分泌を増加させた
再発SCLC非依存的に由来するBHGc10は、ENA-78/CXCL5の発現を加えたほぼ同一のパターンを示した
非腫瘍HEK293細胞系統のCMはマクロファージを誘導せず、一方で末梢血単核球/PBMNCsと組み換えCHI3L1はポジティブな結果を生じた
したがって、SCLC患者CTCの特異的な寄与は
CFD/adipsinに影響し(おそらく免疫/悪液質に関与する)、
他にもVD-BP(マクロファージ活性化因子のGc-MAFを生じる)、GDF-15/MIC-1(腫瘍細胞の悪性表現型を促進する)、ENA-78/CXCL5(血管形成性の好中球を引き寄せる)に影響を与える
結論
循環腫瘍細胞/CTCは特に腫瘍関連マクロファージ/TAMを操る能力があり、
侵襲性invasiveness、血管形成angiogenesis、免疫抑制、そしておそらく脂質異化作用lipid catabolismを増大させる
<コメント>
GcMAFを免疫療法と称して使うところもあるようですが。
関連サイト
http://aasj.jp/news/navigator/navi-news/1821
マサチューセッツ総合病院とハーバード大学が転移性乳癌細胞のCTCを培養することに成功
関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/12/141222111651.htm
CHI3L1はメラノーマを肺に転移しやすくする
セマフォリン7aはインテグリンβ1またはプレキシンC1と相互作用することによってCHI3L1を調節する
インテグリンβ1はCHI3L1を促進し、プレキシンC1はCHI3L1を抑制する
関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/f772188fee77e2fb3f738a8b070b6382
Aiolosという転写因子はアノイキスを抑制して肺癌細胞の転移を促進する
November 19, 2015
http://www.sciencedaily.com/releases/2015/11/151119103547.htm
小細胞肺癌/SCLCのほとんどは、腫瘍が既に転移を形成した後で診断される
なぜSCLCがこれほど急速に転移するのかはこれまで不明だったが、その理由は患者から十分な量の腫瘍の素材materialが得られないことにあった
今回の研究でウィーン医科大学外科部のGerhard Hamilton率いる研究チームは組織培養を無制限に増殖させることに成功した
研究成果はOncoImmunology誌に掲載される
オーストリアでは毎年約4000人が肺癌で死亡し、そのほぼ90%が喫煙歴数十年のヘビースモーカーである
この悪性腫瘍は特に女性で増加しつつあり、今では乳癌を抜いて女性の癌での死因1位になった
肺癌の15%は小細胞肺癌/SCLCである
ほとんどの症例で診断時に既に転移が形成されており、相応してcorrespondingly予後は悪い
治療は細胞毒性による化学療法と放射線療法で、転移したステージでは手術は効果がないため実施されない
初めのうちはSCLC患者のほとんどが治療の組み合わせにとてもよく反応するが、ほぼ1年以内に腫瘍は再発し、それらは治療抵抗性であるために生存率は劇的に減少する
なぜこの癌はこれほどまでに悪性なのかを調べることはこれまで不可能だったが、その理由は集められて得られる生検がほんのわずかで、生体分子的分析で利用できるほどの十分な細胞素材が存在しなかったためである
研究の開始時点でわかっていたのはSCLC患者の血中には非常に多数の循環腫瘍細胞/CTCが存在するということだけだった
Gerhard Hamiltonを中心とする研究グループは、分子腫瘍学グループのRobert Zeillinger、オットー・ワーグナー病院のMaximilian Hochmairらと協力して
進行SCLC患者の循環腫瘍細胞を永続的に培養するための手法を確立しようと努力してきた
彼らはその手法を使い、永久に増殖できる4つの細胞系統の開発に成功した
これにより彼らは腫瘍細胞がどのようにして免疫系を操作するのかを説明できるようになった
単球はマクロファージに分化させられ、化学的メッセンジャー物質がその極性polarityを変化させる
このマクロファージは腫瘍細胞と戦う代わりに炎症性の微小環境を作り出し、癌細胞の転移をさらに刺激する
さらに、主なリスク集団には肺癌の発症前に慢性閉塞性肺疾患/COPDが既に存在したという兆候もあり、これも循環腫瘍細胞の形成を促進していた
このまったく新しい発見は一流誌のOncoImmunology誌に発表された
この研究はSCLC腫瘍の転移の説明に役立ちgo a long way towards explaining、おそらく他の悪性腫瘍にも関連性があるだろう
Hamiltonたちの次の目標は、再発したSCLCがなぜ化学療法に抵抗するのかについての理由を明らかにすることである
http://dx.doi.org/10.1080/2162402X.2015.1093277
Small cell lung cancer: recruitment of macrophages by circulating tumor cells.
ABSTRACT
腫瘍関連マクロファージ/TAMは腫瘍の進行ならびに抗腫瘍免疫の抑制、そして播種性転移disseminationにおいて重要な役割を演じる
血液中の単球は腫瘍領域に浸潤し、腫瘍の局所的な微小環境によってプライミングされて腫瘍増殖と浸潤を促進する
腫瘍とマクロファージは多くのサイトカインやファクターによって相互作用することが知られているが、
想定される循環腫瘍細胞/CTCの寄与はこれまで知られていない
CTCの特徴は移動の増加ならびに細胞外マトリックス/ECMを分解して血流に入り二次的な病巣を形成する能力だが、この転移形成が癌患者の大半の主な死因である
我々は進行SCLC患者の血液サンプルからBHGc7とBHGc10という2つの永続的CTC細胞系統を確立し、それによりCTCと免疫細胞の相互作用を調べることが可能になった
末梢血単核球/peripheral blood mononuclear cells (PBMNCs)とCTCとの共培養、またはCTCならし培地conditioned medium/CTC-CMを添加した結果、
単球からマクロファージへの分化 ならびに TAMのマーカーを発現するCD14+ CD163weak CD68+マクロファージを生じた
さらに、CTCによってプライミングされたマクロファージの上清を約100種のサイトカインに関してスクリーニングし、
局所転移性の細胞系統であるSCLC26Aによって誘発されたそれと比較した
SCLC26A-CM(conditioned medium/ならし培地)によってリクルートされたマクロファージは、以下のような発現を示した
オステオポンチン/osteopontin (OPN)、
ケモカインのMCP-1、IL-8、
キチナーゼ様タンパク質のchitinase3-like 1 (CHI3L1)、
血小板因子4 (Pf4)、IL-1ra、マトリックスメタロプロテイナーゼ-9 (MMP-9)
対照的にBHGc7-CMは、
補体因子D (CFD)/アディプシンadipsin、ビタミンD結合タンパク質 (VDBP) の著しい過剰発現を誘導し、
オステオポンチン、リポカリン2 (LCN2)、CHI3L1、uPAR、MIP-1、GDF-15/MIC-1の分泌を増加させた
再発SCLC非依存的に由来するBHGc10は、ENA-78/CXCL5の発現を加えたほぼ同一のパターンを示した
非腫瘍HEK293細胞系統のCMはマクロファージを誘導せず、一方で末梢血単核球/PBMNCsと組み換えCHI3L1はポジティブな結果を生じた
したがって、SCLC患者CTCの特異的な寄与は
CFD/adipsinに影響し(おそらく免疫/悪液質に関与する)、
他にもVD-BP(マクロファージ活性化因子のGc-MAFを生じる)、GDF-15/MIC-1(腫瘍細胞の悪性表現型を促進する)、ENA-78/CXCL5(血管形成性の好中球を引き寄せる)に影響を与える
結論
循環腫瘍細胞/CTCは特に腫瘍関連マクロファージ/TAMを操る能力があり、
侵襲性invasiveness、血管形成angiogenesis、免疫抑制、そしておそらく脂質異化作用lipid catabolismを増大させる
<コメント>
GcMAFを免疫療法と称して使うところもあるようですが。
関連サイト
http://aasj.jp/news/navigator/navi-news/1821
マサチューセッツ総合病院とハーバード大学が転移性乳癌細胞のCTCを培養することに成功
関連記事
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/12/141222111651.htm
CHI3L1はメラノーマを肺に転移しやすくする
セマフォリン7aはインテグリンβ1またはプレキシンC1と相互作用することによってCHI3L1を調節する
インテグリンβ1はCHI3L1を促進し、プレキシンC1はCHI3L1を抑制する
関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/f772188fee77e2fb3f738a8b070b6382
Aiolosという転写因子はアノイキスを抑制して肺癌細胞の転移を促進する