機械翻訳2

興味のある科学/医学ニュースを適当に翻訳していきます。

パーキンソン病には自己免疫が関与するかもしれない

2016-06-28 06:06:30 | 
Researchers open new path of discovery in Parkinson's disease

Neuron cell death may be caused by overactive immune system

June 27, 2016

https://www.sciencedaily.com/releases/2016/06/160627095043.htm

モントリオール大学(カナダ)の科学者Michel Desjardins博士とマギル大学(カナダ)モントリオール神経学研究所病院/Montreal Neurological Institute and Hospital (MNI) のHeidi McBride博士という2人を中心とする研究チームは、パーキンソン病と関連する2つの遺伝子が免疫系にとっても鍵となる調節因子であることを明らかにした
これはパーキンソン病を自己免疫疾患と関連付ける直接的な証拠evidenceをもたらす
研究チームは細胞モデルとマウスモデルを使い、免疫系によって検出されて攻撃されないよう防ぐためにPINK1とParkinという2つの遺伝子が必要であることを示した

PINK1とParkinはパーキンソン病患者の一部で機能を失っているが、そのような状態の細胞はその表面にミトコンドリアのタンパク質の一部を『抗原』として提示するようになる
細胞表面に抗原が存在すると、T細胞という免疫細胞の活性化が起きる
T細胞は脳に入ることが可能であり、ミトコンドリアに由来する抗原を表面に表示するどんな細胞でも破壊する能力がある

パーキンソン病は脳内でドーパミンを作るニューロンの細胞死によって起きる
PINK1とParkin遺伝子の機能不全によって過剰に活性化した免疫系は、なぜドーパミン作動性ニューロンがパーキンソン病患者で死んでいくのかについての説明となるかもしれない
つまりパーキンソン病が他の多くの自己免疫疾患、多発性硬化症や1型糖尿病、関節リウマチ、全身性エリテマトーデスlupusと同じような疾患である可能性である
自己免疫疾患とは自分自身の免疫系が正常な細胞を攻撃するようになる状態である


これまで多くの研究者がミトコンドリアのパーキンソン病への関与を疑ってきた
パーキンソン病ではミトコンドリアが損傷し、壊れたミトコンドリアが蓄積してその毒性によりニューロンが死ぬことになると広く信じられてきた
しかしながら、動物モデルでそれが実際に起きているという証拠evidenceを提供するのは難しかった

Cell誌で6月23日に発表されたDesjardinsとMcBrideのチームの新たな研究結果は、有害なミトコンドリアの蓄積ではなくむしろ自己免疫的なメカニズムとパーキンソン病とを関連付けるものであり、これはPINK1またはParkinを欠損させたパーキンソン病のマウスモデルで実証された


「これまで臨床家たちはパーキンソン病患者の脳内で免疫系が活性化していることを示してきた」
モントリオール大学でpostdoctoral fellowであり論文の筆頭著者first authorであるDiana Matheoud博士は言う

「我々の研究は、免疫系による攻撃がどのようにしてドーパミン作動性ニューロンの破壊の原因となるかを説明する
今回我々は自己免疫メカニズムがドーパミン作動性ニューロンの喪失につながるかどうかをテストし、我々の研究をヒトのニューロンに拡張するためのシステムを開発した」


「抗原提示antigen presentationは、パーキンソン病に直接関与するとは考えられていない」
McBrideは言う

「研究室のほとんどが『有害なミトコンドリア』というモデルの手がかりtrailを追っているが、
免疫系を中心とするアプローチはパーキンソン病を異なる観点から観察する方向へと我々を導いた
異なる道へと導かれた我々はled us down a different road、自己免疫が疾患の進行において重要な役割を演じるようだということを発見した」


パーキンソン病の病理に関与する2つの鍵となる遺伝子と自己免疫メカニズムとの間のつながりが確認された今、次のステップはミトコンドリアの抗原提示を制限することができる薬剤の開発である

注目すべきことにremarkably、このミトコンドリアの抗原が提示されるメカニズムには小胞形成vesicle formationのプロセスが含まれており、これは元々はMcBrideのグループによって記述されたものである
これはプロセスを阻害する新たな薬剤開発のための分子的な標的を提供する


今回の研究結果は他の疾患の治療の改善にもつながるかもしれない
Desjardinsは言う
「我々はこの研究がパラダイムシフトを起こすと考えている
なぜならパーキンソン病においてミトコンドリアを免疫メカニズムへとつなげる新たな生物学的な経路を突き止めたからであり、これは免疫系の調整をベースとした治療法を使うという可能性を開く
そのような治療法は様々な疾患の治療で既に使われている」

「興味深いことに、ミトコンドリア由来の抗原提示を制限する際にPINK1とParkinが演じる役割はパーキンソン病に影響するプロセスを調節するだけでなく、
他の自己免疫疾患、例えば1型糖尿病やループスlupus、原発性胆汁性肝硬変/primary biliary cirrhosisにも影響する可能性がある
それらの疾患ではミトコンドリア由来の抗原提示へのつながりが観察されている」

原発性胆汁性肝硬変: 肝臓の胆管が炎症を起こして破壊される疾患。血清抗ミトコンドリア抗体(AMA)が患者の85%から95%にみられる


「今回の論文は遺伝によって受け継がれるこれらの劣性recessiveの突然変異がどのようにして神経変性につながるかというまったく新しいメカニズムを提案suggestする」

ブリティッシュコロンビア大学とバンクーバー・コースタルヘルス/Vancouver Coastal Healthの神経学部長headであり、以前はPacific Parkinson's Research Centre(PPRC)のディレクターであったJon Stoessl教授は言う

「パーキンソン病における炎症が潜在的に果たす役割に多くの関心が寄せられている
ParkinとPINK1に関するこれまでの研究は、ミトコンドリアの恒常的な細胞代謝的機能housekeeping functionsの乱れに焦点を合わせてきた
今回の発見は明らかな関連はあるものの、以前とは異なる標的治療targeted therapiesの開発に向けたまったく新しいアプローチを示唆する
しかしこれらはパーキンソン病の原因としてはまれなものであり、優性遺伝dominantly inheritedや散発性sporadicのパーキンソン病との関連については確定していないままであるということを記憶にとどめておかなければならない」


http://dx.doi.org/10.1016/j.cell.2016.05.039
Parkinson’s Disease-Related Proteins PINK1 and Parkin Repress Mitochondrial Antigen Presentation.

(LPSまたは熱ストレス→

『野生型の場合』
PINK1がパーキンをリクルート,リン酸化,ユビキチン化→パーキン活性化→Snx9をプロテオソームで分解

『PINK1/パーキンが機能喪失している場合』
パーキンが活性化しない→Snx9がプロテオソームで分解されない→Snx9/Rab9によるMDVの形成→(Rab7によるMDVの輸送?)→MDVがエンドソームでプロテアーゼにより分解される→MHCクラスIへの抗原の負荷(ERが関与するかもしれない)→抗原提示→T細胞活性化)


Highlights
・パーキンソン病に関与するタンパク質であるPINK1とParkinは、適応免疫adaptive immunityを調節する
・PINK1とParkinは、ミトコンドリアからの抗原提示/mitochondrial antigen presentation (MitAP) をin vitroとin vivoで阻害する
・MitAPはミトコンドリア由来の小胞によって促進drivenされ、マイトファジーmitophagyによるものではない
・自己免疫メカニズムがパーキンソン病に関与しそうであるlikely involved


Summary
抗原提示antigen presentationは、免疫寛容の確立、感染症や癌への免疫応答、どちらにも必要である

抗原提示はオートファジーによって仲介されうるが、
今回我々は
ミトコンドリアからの抗原提示/mitochondrial antigen presentation (MitAP) が
オートファジー/マイトファジーよりもむしろ
ミトコンドリア由来小胞/mitochondrial-derived vesicles (MDVs) の形成と輸送に依存することを実証する

我々はパーキンソン病と関連付けられている2つのミトコンドリアタンパク質、PINK1とParkinが能動的activelyにMDVとMitAPの形成を阻害することを発見した

PINK1またはParkinが欠けていると、
in vitroとin vivoの両方で 炎症状態が免疫細胞におけるMitAPの引き金を引く

MitAPとMDVs形成にはRab9とSorting nexin 9(Snx9)が必要であり、それらのミトコンドリアへのリクルートはParkinによって阻害される

炎症によって引き起こされる『免疫応答を引き出す経路/immune-response-eliciting pathway』の抑制因子としてPINK1とParkinを同定したことは、パーキンソン病の病理への新たな洞察を提供する



関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/316ad3e3c5a33ccc052a826727ddc327
pink1とparkinはマイトフュージンの分解を助け、ERストレスを予防する



関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/c1b52d3af3376503ff68869378ac4b96
古いミトコンドリアの除去が1型糖尿病の予防に重要



関連記事
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/735d3e7de5b11b1efa84ce4c20e84d37
LRRK2キナーゼは特定のRabタンパク質(Rab3、Rab8、Rab10、Rab12)の不活化により細胞内輸送を調節する



関連サイト
http://first.lifesciencedb.jp/archives/6527
Rab7L1とLRRK2は協調してニューロンにおける細胞内輸送を制御するとともにパーキンソン病の発症リスクを決定する
 

最新の画像もっと見る