鼻試験でクロイツフェルト・ヤコブ病を診断する
アメリカ国立衛生研究所とイタリアの科学者は、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)を迅速かつ正確に診断することができる鼻ブラシ試験を開発した。
これまでのCJD診断は、死後または患者の生検で採取された脳組織が必要だった。
様々なプリオン病(家族性、散発性、バリアントCJD)を特定する試験は、プリオン病が拡散するのを予防できる可能性がある。
例えば、ヒトのプリオン病は輸血、移植、外科用器具の汚染などで伝染し得ることが知られている。
国立アレルギー・感染症研究所(National Institute of Allergy and Infectious Diseases; NIAID)の研究では、CJD患者31人の鼻サンプルと、他の神経疾患または神経疾患ではない43人の鼻サンプルを分析した。
これらのサンプルは主にジャンルイージZanusso博士とイタリアベロナ大学の同僚たちによって採取された。彼らは脳につながる嗅覚ニューロンを採取するための鼻内部ブラッシング技術を開発した。
それからモンタナのCaughey博士の実験により、31例のCJD患者のうち30例を正しく特定して(97パーセントの感受性)、非CJD患者の43例ではすべてネガティブな結果を示した(100パーセントの特異性)。
対照的に、標準的な脳脊髄液テストでは、感受性は77パーセント、特異性は100パーセントだった。そして、結果がわかるまでに2倍の時間がかかった。
学術誌参照:
1.鼻ブラッシングを使ったクロイツフェルト・ヤコブ病に対する検査。
ニューイングランド・ジャーナル・オヴ・メディシン、2014;
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/08/140807105545.htm
<コメント>
鼻の奥をブラシで検査するだけで、素早く正確にクロイツフェルト・ヤコブ病が素早く検査できるという記事です。
上の図は光ファイバー付き鼻鏡と、嗅球の真下にある嗅細胞を無菌ブラシで採取している様子です。粘膜表面を穏やかに転がして(gently rolling along the mucosal surface)と説明にあるので痛くはないのでしょうが、さすがに麻酔しないとクシャミが出そうです。
記事中のバリアントCJD(異型/新型クロイツフェルト・ヤコブ病)は、いわゆる狂牛病で感染する可能性があるといわれるCJDです。
関連記事には、そのバリアントCJDを尿検査で検出できたというものがあります。
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/08/140807103650.htm
具体的には、"a protein misfolding cyclic amplification assay, invented in the lab, which mimics the prion replication process in vitro that occurs in prion disease." ということで、プリオンが「再生」していく過程を再現することで増幅する方法のようです。