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2015年2月5日

2015-02-09 09:24:36 | 腸内細菌

1型糖尿病とマイクロバイオームの関連: 疾患の発症より前に起きるマイクロバイオームの種多様性の変化
Microbiome linked to type 1 diabetes: Shift in microbiome species diversity prior to disease onset



MITとハーバードのブロード研究所、マサチューセッツ総合病院(MGH)、DIABIMMUNE研究グループの研究者たちは、これまでで最大規模となる経時的なマイクロバイオーム研究において、腸微生物叢の変化と1型糖尿病(T1D)発症との間の関係を特定した。遺伝的にT1Dになりやすい傾向を持つ乳児を追跡調査した結果、T1Dが発症する前に微生物多様性が低下し、腸の健康を促進する種(species)の数が不釣合いに減少するなどの異常が生じることを発見した。Cell, Host & Microbeによって発表される今回の発見は、微生物に基づくT1Dの診断ならびに治療の選択肢への可能性を開くかもしれない。



我々の体内に住む細菌やウイルスなど何兆もの微生物から構成されるヒトのマイクロバイオームは、それらがヒトの健康と疾患において演ずる役割を研究者が探求し始めるにつれて医学コミュニティにとっての関心事になりつつある。マイクロバイオームのほとんどの微生物は無害でしかも有益ですらあるが、マイクロバイオームの変化、そして微生物種が宿主のヒトと共有する相互作用における変化は、糖尿病や炎症性腸疾患/IBDなどのさまざまな疾患と関連付けられている。

マイクロバイオームの変化と1型糖尿病との間の関係を調査するため、ブロード研究所のメンバーでありMGHの胃腸病学のチーフでもあるRamnik Xavierを中心とする研究チームは、フィンランドとエストニアの子供たちの大規模なコホートから遺伝的にT1Dになりやすい傾向のある33人の乳児を選んで追跡調査した。研究チームは出生から3歳までの便検体を定期的に分析して、腸マイクロバイオームの組成に関するデータを収集した。

その結果、この期間中にT1Dを発病した少数の子供は、発症の1年前に群集の多様度(community diversity; マイクロバイオームに存在する種の数)が25%低下した。この集団の変化には、腸の健康の調節を助ける細菌の減少と、炎症を促進する潜在的に有害な細菌の増加が含まれていた。この発見は以前に特定された腸の炎症と1型糖尿病との関連のエビデンスに続くものである。

「過去の研究から、腸細菌の組成の変化が1型糖尿病の早い時期の発症と相関することが知られている。その細菌ネットワーク間の相互作用は、疾患の危険性がある人々の中でなぜ1型糖尿病を発症する人と発症しない人がいるのかについての理由の一部である可能性がある」、研究に資金助成したJDRF(国際若年性糖尿病研究財団)Discovery ResearchのディレクターであるJessica Dunneは言う。

「今回の研究は、マイクロバイオームの特異的な変化がどのようにして症候性のT1Dへの進行に影響するかについて示す最初のものである。」



先行研究は、自己免疫性糖尿病の素因をもつマウス(マウスのT1Dに相当する)から素因をもたないマウスへの微生物叢の移植は、自己免疫性糖尿病の有病率を増加させることを示した。ヒトにおける研究もT1Dと腸内細菌の組成との間に関連を示している。しかしながら、それらの研究は後向き(retrospective)であり、患者がT1Dを発症した後に研究が実施されたために因果関係を証明するのは困難である。

「1型糖尿病の発症のリスクが高い子供のコホートを選び、続いてどんなマイクロバイオームの変化が疾患の進行へバランスを変えたかについて追跡したという点で、我々の研究は独特である」、Xavierは言う。



研究では1型糖尿病を最終的に発病しなかった乳児も追跡調査したため、研究者は乳児期の通常のマイクロバイオームの発達に対する洞察も得ることができた。腸マイクロバイオームに存在する細菌の種は個人間で非常に異なる一方、個々人の中でのマイクロバイオームの組成は時間が経過しても概して安定していた。さらに、代謝の間に産生される小さい分子(代謝産物)を被験者の便検体から観察するメタボローム分析では、細菌の種が個人間で異なる一方で、マイクロバイオームのさまざまな種によって果たされる生物学的機能は時間が経過しても人によって一貫したままだった。

「乳児期の早期は細菌のコミュニティの大きさは小さく、そして人生の後期になってそれがより大きくなっても、細菌のコミュニティの大きさや組成とは関係なくコミュニティは常に同じ大きな機能を果たす。たとえどの種が存在しても、彼らは同じように大きな代謝経路をつくり上げる。それは彼らが同じ仕事をしていることを示す」、Kosticは言った。

治療法(therapeutics)に関しては、ハーバード医科大学院のKurt Isselbacher教授職でありMITのマイクロバイオーム・インフォマティクス・セラピューティクスセンターの共同ディレクターでもあるXavierは次のように言う。T1Dの子供の胃腸管にどの種が存在せずどの種が栄えているのかを知ることは、マイクロバイオームを操作して免疫を調節する方法を明らかにすることにより発症後に疾患の進行を遅らせることを可能にすることの助けになる、と。



次のステップはサンプルの蓄積を拡大し、環境とマイクロバイオーム中のどのような要因がフィンランド人をT1Dにかかりやすくしている可能性があるかについて確かめることである(フィンランド人は例外的にT1Dのリスクが高い)。それは衛生仮説を再訪することを含む。衛生仮説では小児期の微生物や他の潜在的な感染病原体への曝露の欠乏が免疫システムの発達を妨げ、免疫的障害への感受性を増加させるとする。

研究者は研究で集められたメタゲノム・データも分析し、微生物叢が作用する生物学的経路やどんな代謝産物を産生しているかを確かめ、T1Dの発症に寄与する原因を明らかにしようとしている。

記事出典:
上記の記事は、MITとハーバードのブロード研究所によって提供される素材に基づく。

学術誌参照:
1.乳児の発達中のマイクロバイオームならびに1型糖尿病へと進行中のマイクロバイオームのダイナミクス。

Cell Host & Microbe、2015;

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/02/150205123022.htm

<コメント>
1型糖尿病を発症する乳児は、発症前に細菌の多様性が低下していたという記事です。3歳児までの研究ですが、成人になってから緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)を発症する人もいるので関係はあるのかもしれません。

Abstractを見ると、まずセロコンバージョン(seroconversion)、つまり血清中の抗体が陽性になり、次にコミュニティ多様性(community diversity)が減少し、炎症と関連する生物と経路が増加して、それからT1Dの発症/診断という流れです。



文中のDIABIMMUNEはフィンランド・ロシアカレリア・エストニアという近隣の国で1型糖尿病について調べるプロジェクトです。特にフィンランドとカレリアは国境を接しているにも関わらずT1Dの発症率は6倍以上も違うとのことです。

>The incidence of T1D is six times lower in Russian Karelia than in Finland, whereas there are very limited differences in the frequency of predisposing and protective HLA ( human leukocyte antigen) genotypes in the background population.


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