唾液腺腫瘍と関連する遺伝子の突然変異
スクリップス研究所（The Scripps Research Institute; TSRI）のフロリダ・キャンパスで実施された研究によれば、遺伝的な突然変異によって接合された一対のタンパク質（CRTC1/MAML2; C1/M2）は、MYC（他の癌と広く関連するタンパク質）と共に作用して、癌の成長と広がりを促進する。
CRTC1とMAML2をコードする遺伝子が『染色体転座』というプロセスによって単一遺伝子に変異するとき、C1/M2タンパク質は作られる。
そのようなミュータント「キメラ」遺伝子は癌のいくつかのタイプの形成と関連するが、C1/M2タンパク質は、CREBに加えてMYCによって調整される遺伝的な経路も活性化し、一連の細胞の変化を開始して粘液性類表皮癌（mucoepidermoid carcinoma）の発症につながることをチームは発見した。
粘液性類表皮癌の発症におけるC1/M2とCREBとの相互作用の役割は以前から知られている。
医師はこの癌を検査するとき、C1/M2タンパク質の存在に関して患者をスクリーニングする。
記事供給源：
上記の記事は、スクリップス研究所により提供される材料に基づく。
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/07/140728153640.htm
<コメント>
転写活性化補助因子のCRTC1（CREB Regulated Transcription Coactivator 1）と、同じく転写活性化補助因子のMAML2（Mastermind-Like 2）は、転座によって融合するとCREBとMYCが関与する経路を活性化して、粘液性類表皮癌（粘表皮癌）を発症させるという記事です。
※mucoepidermoid: 粘膜表皮の。粘液分泌細胞と表皮細胞の混合したものについていう
※mucoepidermoid carcinoma: 粘液性類表皮癌。唾液腺原発の悪性腫瘍では最も頻度が高い。悪性度は低いが、低分化型の予後は悪い
