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ミトコンドリアのストレスが癌の代謝的な移行を引き起こす

2016-07-10 06:06:32 | 
Mitochondrial stress induces cancer-related metabolic shifts

July 7, 2016

https://www.sciencedaily.com/releases/2016/07/160707083121.htm


(ミトコンドリアのストレスはカルシウムイオン/カルシニューリンを介して120近い遺伝子の発現を誘発する
それらの遺伝子は細胞の代謝、形態、アポトーシスへの抵抗性、細胞の浸潤に関与し、さらにMDM2の発現低下によってp53が上方調節される
p53レベルの上昇は物理的結合とユビキチン化によってHif-1aレベルを負に調節し、Hif-1aは急速に分解される
まとめると、この研究はミトコンドリアのストレスはHif-1a経路の活性化に依存せず単独で細胞の代謝の変化を誘発することを示す

Credit: University of Pennsylvania)

癌の腫瘍が育つためにはエサを食べなければならず、無調整の増殖には安定した血流と栄養を必要とする
したがって、癌を一掃しようと試みる研究者が取る方法の一つは、
腫瘍の急速な成長を可能にするような代謝的移行をしている細胞を標的とすることである

しかし、ペンシルベニア大学の新たな研究結果は、そのような努力が『腫瘍に役立つ代謝的変化を可能にするために鍵となる重要な経路』を見落としてきたことを示唆する

彼らはミトコンドリアのストレスだけでp53を含む経路を通じて代謝的な移行を引き起こすことを発見した
p53は癌において多くの重要な役割を演じることが知られるタンパク質である

「我々が調べた5つの癌細胞の系統の全てで、ミトコンドリアの機能が影響を受けると p53が誘導された」
首席著者senior authorのNarayan Avadhaniは言う
彼はペンシルベニア獣医学校の生医科学部において生化学のHarriet Ellison Woodward Professor教授職である

「ここから我々は、HIF-1α経路からは独立して腫瘍の増殖を促進する可能性を発見するに至った
HIF-1αはこれまで治療的な介入の主な標的とされてきた経路である」

この研究は癌がどのようにして進行するのかについての我々の理解を深める新たな要素を指し示す
代謝的ストレスのマーカーは、癌の悪制度や転移のしやすさを示すバイオマーカーとして使える可能性すらある
この研究はOncogene誌で発表される


Avadhaniたちは以前の研究で、ミトコンドリアの破綻が腫瘍の成長につながることを示している
ミトコンドリアはしばしば『細胞の発電所』と呼ばれるが、その理由はミトコンドリアが細胞のエネルギーの『通貨』であるATPを作り出すからであり、細胞はこのATPを利用して様々な機能を実行する

彼らは関連する研究で、ミトコンドリアをストレスにさらすとp53の増加が引き起こされることも観察していた
しかし、その発見についてこれまで追跡調査はしていなかった

p53はヒトの癌の約5割で変異していることから、腫瘍を抑制する機能があると広く信じられている
彼らはミトコンドリアのストレスとp53との間のつながりについて詳しく調べようと決めた


彼らが癌細胞を含む6つの細胞系統で実験的にミトコンドリアDNA(mtDNA)を枯渇させてミトコンドリアにストレスを与えたところ、枯渇に応じてp53レベルが増加した

癌ではHIF-1αの活性がp53に対して『補足的な役割』と『正反対の役割』の両方を演じることが知られているため、p53の増大に対してHIF-1αがどのようにして反応するのかを調べたところ、p53はHIF-1αの活性を阻害していることが判明した

細胞系統の中からヒトの結腸癌の細胞系統を特に選んでp53を実験的に消去すると、彼らは再びHIF-1αとの関連を発見した
p53を消去した結腸癌の細胞系統は、野生型の結腸癌細胞系統よりもHIF-1αの活性が6倍も高かったのである
これもまたp53がHIF-1αを阻害することを示していた

この結果がミトコンドリアDNAの枯渇と厳密には関連しないことを確かめるため、研究者はミトコンドリアのストレスを別の手段で誘発させた
化学物質を使い、ミトコンドリアの膜を破綻させることにより、それが全てp53を誘導することを明らかにした

さらなる研究により、p53はHIF-1αレベルを核と細胞質の両方で低下させることが分かった
ミトコンドリアDNAが枯渇すると、HIF-1αに応答する遺伝子が鈍くなるbluntedことも明らかになった

特筆すべきこととして、細胞がブドウ糖を分解してエネルギーを作る解糖系という代謝プロセスに関与する複数の遺伝子の発現が、ミトコンドリアDNAを枯渇させると劇的に上昇したjumped dramatically
これらの中のいくつかは通常はHIF-1αによって調節されているのと同じ遺伝子であり、これはつまりミトコンドリアのストレスは、HIF-1α経路と似てはいるが完全に異なる経路として癌細胞に代謝的な移行を引き起こすことを示している

最後に、研究チームはmtDNAが枯渇した細胞ではp53が物理的にHIF-1αへ干渉することを実証した
p53はHIF-1αが通常結合する遺伝子のプロモーターに結合できないように妨害し、
そしてHIF-1αのユビキチン化プロセスを促進して分解される目印となるタグを付けていた


今回の発見は、癌の成長を支える環境を育む代謝的な移行を妨げるための新たな方向性と標的を指し示すものだ

「我々はミトコンドリアのストレスも、考慮すべき『力force 』であることを示す」
Avadhaniは言う

「代謝的な変化を防ぐために HIF-1αにのみ焦点を合わせても、それではおそらく十分ではない
ミトコンドリアのストレスも、それらと全て同じ変化を誘発する」

Avadhaniたちはこれらの先端的な研究を追求する中で、
ミトコンドリアストレスの分子的なマーカーを標的にするような治療的介入を設計すべく研究を続け、
充実性腫瘍の『食事feed』を助ける代謝的な移行を阻止head offしようと試みている


http://dx.doi.org/10.1038/onc.2016.211
Mitochondrial stress-induced p53 attenuates HIF-1α activity by physical association and enhanced ubiquitination.
ミトコンドリアストレスによって誘導されるp53は物理的結合ならびにユビキチン化促進によりHIF-1αの活性を弱める

Abstract
逆行性シグナル伝達retrograde signalingは、ミトコンドリアの機能不全を核に伝えて細胞の生存に必要な代謝的移行metabolic shiftを誘導するためのメカニズムである

我々は以前、様々な細胞タイプにおいてミトコンドリアDNA(mtDNA)の一部を枯渇させるとミトコンドリアから核への逆行性シグナル伝達経路/mitochondrial retrograde signaling pathway (MtRS) が誘導されることを示した
この経路にはカルシウムイオン(Ca2+)に感受性のカルシニューリンcalcineurin(Cn)の活性化が含まれ、即時に起きるストレス応答の上流イベントである

多くの細胞タイプで、このストレスシグナル伝達は不死化細胞において腫瘍形成性の表現型を誘導することが示された

この研究で我々は、MtRSがp53の発現も誘導することを示す
p53の発現はCa2+のキレート化剤chelatorsによって阻害され、そしてショートヘアピンRNA(shRNA)を介するCnAβ mRNAのノックダウンによっても抑制された

※CnAβ: カルシニューリンcalcineurin(Cn)は触媒サブユニットのCnAと調節サブユニットのCnBからなるヘテロダイマーで、CnAには
という3つのアイソザイムが、CnBにはという2つのアイソザイムがある

ミトコンドリアのイオノフォアionophoreである『カルボニルシアニドm-クロロフェニルヒドラゾン/carbonyl cyanide m-chlorophenyl hydrazone』によって誘発されるミトコンドリアの機能不全は
膜貫通/膜内外電位差transmembrane potentialを破綻させ、p53の発現誘導ならびにMDM2の下方調節に等しく有効だった

ストレスによって誘導されるp53は、物理的に低酸素誘導因子/hypoxia-inducible factor-1α (HIF-1α) と相互作用して、後者のプロモーターDNAモチーフへの結合を抑制する

加えて、一部のmtDNAが枯渇した細胞においてp53はHIF-1αのユビキチン化と分解を促進した

mtDNAが枯渇した細胞ではHIF-1αが阻害されていながら、解糖系経路の遺伝子であるグルコーストランスポーターの1から4(Glut1, Glut2, Glut3, Glut4)、ホスホグリセリン酸キナーゼ1(PGK1)、グルコキナーゼが上方調節されていたが、プロリン水酸化酵素アイソフォームはそうではなかった

この点で、我々の結果は MtRSがHIF-1α経路とは独立して腫瘍の成長を誘発することを示す



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