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肺癌は肝臓のインスリンシグナルに干渉する

2016-05-10 06:06:15 | 
Lung tumors hijack metabolic processes in the liver, study finds

Research provides first insights into how cancer rewires circadian rhythms

May 5, 2016

https://www.sciencedaily.com/releases/2016/05/160505133901.htm

我々自身の体内時計である概日リズム/circadian rhythmがどのようにして肝臓の機能をコントロールするのかを研究していたカリフォルニア大学アーバイン校(UCI)の科学者たちは、肺癌の腫瘍がこのプロセスをハイジャックして代謝を大きくprofoundly変化させることを発見した
体内時計は脂質代謝・インスリンへの感受性・グルコースを支配sway overしているが、彼らの研究は肺腺癌lung adenocarcinomaがこの時計に影響しうることを初めて示す
彼らの研究はCell誌のオンライン版で発表された

UCIエピジェネティクス代謝センターのPaolo Sassone-CorsiとSelma Masriたちは、肺腺癌が炎症性の応答を通じて肝臓にシグナルを送ることにより、代謝経路を管理する概日メカニズムを配線し直すことをげっ歯類の研究で明らかにした
この炎症の結果として肝臓のインスリンシグナル伝達経路は阻害され、耐糖能glucose toleranceの低下と脂質代謝の再編成につながる

「肺腫瘍は肝臓の概日的な代謝機能を支配take controlし、癌細胞の高まった代謝的な需要を潜在的にサポートさせる」
Sassone-Corsiのラボでresearch scientistを務めるMasriは言う

「この代謝組織の遠隔的な再配線rewiringは肝臓だけで起きるのではなく、全身の代謝の再編成shake-upを示唆すると我々は考えている」


ほぼ全ての生物において24時間の概日リズムは基本的fundamentalな生理学的プロセスを支配する
概日時計circadian clocksは我々の体に備わっている時間追跡システムであり、それにより人体は環境的な変動を前もって先取りanticipateして、『(時計の)時刻the time of day』に適応する

これらのリズムに対する変化はヒトの健康に深く影響しうる
ヒトの遺伝子の15パーセントまでが概日リズムの昼夜のパターンによって調節され、肝臓の代謝経路に関与する遺伝子の50パーセント近くがそのリズムによって影響を受ける


過去10年の間、概日リズムの分野で先頭foremostを走る研究者の一人であるSassone-Corsiは体内時計がどのようにして外的要因(例えば昼夜のパターンや栄養素)による影響を通じて様々な肝臓の機能をコントロールするのかを調査してきた
そこから彼らは、この洗練された『標準時計regulator』に対して癌のような疾患がどのようにして影響を与えうるのかについて研究するに至った

過去40年以上の研究で膨大で目覚ましい進歩が為されたにもかかわらず、癌はいまだに未解決の課題である
多くの癌患者にとっての実際の死因は、正常な生理的機能・生体機能の悪化である
今回発表されたCell誌の研究では腫瘍に由来する炎症は肝臓のインスリンシグナル伝達経路を阻害し、肺腫瘍のマウスで高血糖につながることが明らかになった
脂肪酸の合成も抑制されるが、しかし総コレステロールレベルは上昇する


現在Sassone-Corsiのラボは肺腫瘍によって分泌される因子factorsを分析中であり、癌による代謝的な影響の完全に正確な『地図』を描こうと努力している最中である
彼らは代謝組織における概日時計の『まとめ役organizer』として働くことが可能な肺腺癌の能力を理解しようとしている

「概日リズムのプロセスについて、そして癌のような疾患がどのようにしてそれらを改ざんalterできるのかについて、これまで以上に学び続けることが重要である」
Sassone-Corsiはそのように言う
彼はカリフォルニア大学アーバイン校で生化学のDonald Bren Professor教授職である

「得られた知識を使って、我々は介入する方法(行動論的なものと薬学的なものの両方)を開発することが可能である
それはヒトの健康を維持して回復するのを助けることができるだろう」


http://dx.doi.org/10.1016/j.cell.2016.04.039
Lung Adenocarcinoma Distally Rewires Hepatic Circadian Homeostasis.
肺腺癌は肝臓の概日恒常性を遠位に再配線する


Highlights
・肺腺癌は肝臓の概日的な転写ならびに代謝を再配線する
・この再配線は、STAT3-Socs3という炎症性シグナル伝達経路を伴う
・肝臓のシグナル伝達の阻害ならびに耐糖能障害glucose intoleranceは腫瘍由来である
・肺腺癌は肝臓の脂質代謝を損なう

Summary
概日時計は精密に調整された分子メカニズムを通じて代謝的・生理的なプロセスを制御する

この時計は際立って柔軟で適応性がありplastic、『ツァイトゲーバーzeitgeber』、すなわち光や栄養のような外的因子に適応する

※zeitgeber: 英語に訳すとtime giver

特定の組織における病的な状態がどのようにして他の組織における全身の概日的な恒常性に影響するのかは未だ答えが出ていない疑問であり、それに答えることは概念的にも生物医学的にも重要である

今回我々は肺腺癌が概日的な代謝を外的に操作することが可能な『まとめ直す者/reorganizer』であることを示す

ハイスループット・トランスクリプトミクス/transcriptomicsにより転写と代謝産物の循環に関する独特な徴候signatureが明らかになり、それは腫瘍を持つマウスの肝臓でのみ排他的に見られた

際立っていたのは、肺癌は(Clock、Bmal1、Period、Cryptochromeなどのような)コアクロックcore clock
https://en.wikipedia.org/wiki/Circadian_clock
には影響せず、むしろSTAT3-Socs3経路を経由する炎症促進的な応答の変化を通じて肝臓の代謝を再プログラムすることである

※Socs3: suppressor of cytokine signaling 3

これは結果としてAKT, AMPK, SREBPシグナル伝達を妨害disruptし、インスリン・グルコース・脂質代謝の変化につながる

このように、肺腺癌は内因性の概日オーガナイザー/endogenous circadian organizer(ECO)として強力に機能し、肝臓のような遠い組織の病態生理学的な次元を再配線する



<コメント>
炎症とは具体的に何を指すかについて、本文には次のように書かれている

『NSCLCのモデルとされるKras LSL-G12D p53 fl/flマウス、つまり肺腺癌マウス(TBマウス)の血清では特にIL-6が有意に上昇し、他のサイトカイン(IL-1a、TNFa、LIF、IFNg)も有意ではないが明らかな上昇が見られた
それに伴って肝臓でサイトカイン受容体(Il6ra、Il1r1、Tnfrsf1b、Il17ra)の発現が上昇し、概日的なプロファイルを示した
Stat3の遺伝子発現も概日的に上昇し、総タンパク質レベルも一致して上昇、これは報告されているIL-6依存的なSTAT3の自己調節と一致する (Narimatsu et al., 2001).
STAT3の活性化を示すとされるチロシン705リン酸化も、TBマウスの肝臓で概日的な上昇が観察された

STAT3の転写的活性化は結果として下流の標的遺伝子の発現の上昇につながり、TBマウスでは特にsuppressor of cytokine signaling 3 (Socs3) の発現が概日的な上昇を示したが、Socs1とSocs7の発現は変化がなかった

SOCS3は脂肪組織と肝臓でインスリン感受性を調整することが示されている
インスリン依存的なAKTセリン473リン酸化は劇的に阻害されたが、AKT総レベルは変化がなかった
IRS-1タンパク質の総レベルは顕著に低下し、これも概日リズムを示した
このIRS-1タンパク質レベルはSTAT3活性化のピークと同時に生じたcoincide
SOCS3はIRS-1を標的とし、IRS-1タンパク質を分解することにより肝臓のインスリンシグナル伝達を抑制することが報告されている (Rui et al., 2002)

乳酸とピルビン酸を相互変換するldhaとldhcが概日的ではないが上昇し、糖新生に転じうるピルビン酸が上昇を示した

AMP/ATP比が上昇し、AMPKの活性化を示すAMPKαスレオニン172のリン酸化が顕著に上昇し、それと一致してSREBP経路も抑制され、核内SREBP1cが概日的に低下した
SREBPの標的遺伝子であるFasn、Acaca、Elovl6の発現も低下した
それらは長鎖脂肪酸ならびにエステル化脂肪酸(myristate, linolenate, palmitoleate, eicosapentaenoate (EPA)のレベルの低下によっても立証substantiateされた
これは脂肪酸の生合成の低下ならびにβ酸化による分解の増大のどちらかを示唆するが、TBマウスの肝臓におけるSREBP1シグナル伝達の抑制ならびにPPARαとβ酸化遺伝子発現プロファイルが変化していないことを考慮するとgiven、前者である可能性が高い (Figure S6)

SREBP1経路が抑制されているのに対して、SREBP2遺伝子発現は抑制されておらず、その標的遺伝子であるlanosterol synthase (Lss)、3-hydroxy-3-methylglutaryl-CoA synthase (Hmgcs1)、phosphomevalonate kinase (Pmvk) は、概日的かつ調和した上昇が有意に示された
SREBP1は主に脂肪酸合成に関与するが、SREBP2はコレステロール産生に重要である』



参考サイト
http://howto-tube.xyz/post-11-11.html
>実はコレステロール値が高いのはたいした問題ではない。という衝撃の情報
>1,値が高いだけで心筋梗塞・脳梗塞の原因にはなりえない

は?

>腫瘍に由来する炎症は肝臓のインスリンシグナル伝達経路を阻害する
>脂肪酸の合成も抑制されるが、しかし総コレステロールレベルは上昇する



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