Biological explanation for wheat sensitivity found
Weakened intestinal barrier, systemic immune activation may explain symptoms in people without celiac disease
July 26, 2016
https://www.sciencedaily.com/releases/2016/07/160726123632.htm
(セリアック病は自己免疫疾患であり、遺伝的に感受性のある人々が小麦やライ麦、大麦に含まれるグルテンを摂取することにより、免疫系が誤って小腸の内層を攻撃することで起きる
これは様々な胃腸の症状につながり、腹痛、下痢、膨満などが生じる
Credit: (c) Timmary / Fotolia)
なぜセリアック病や小麦アレルギーではない人たちが、小麦やその同類の穀物cerealの摂取後に胃腸や腸以外の症状を経験するのか?
新たな研究はその理由を説明するかもしれない
今回の研究結果からは、このような人々は腸のバリアが弱く/have a weakened intestinal barrier、それが体内の広範囲な炎症性の免疫応答につながることが示唆される
コロンビア大学メディカルセンター(CUMC)を中心とした今回の研究は、学術誌のGut誌で報告される
「我々の研究は、この病態の人々によって報告されている症状が想像上の産物imaginedではないことを示す」
共著者co-authorのPeter H. Green, MDは言う
彼はCUMCでPhyllis and Ivan Seidenberg Professor教授職であり、セリアック病センターのセンター長directorでもある
「患者はかなりの数が存在するが、彼らが示すそれらの症状には生物学的な基礎が存在することを実証する」
セリアック病は免疫系が誤って小腸の内層liningを攻撃する自己免疫疾患である
遺伝的に疾患の感受性がある人々が小麦wheatやライ麦rye、オオムギbarleyなどからグルテンを摂取した後に起きるもので、胃腸に広範囲の症状、例えば腹痛abdominal pain、下痢diarrhea、膨満bloatingなどを示す
しかし、セリアック病であることを示す血液・組織・遺伝子マーカーを持たない人々の中に、小麦類の摂取後にセリアック病のような胃腸症状を経験する人たちがいる
加えて彼らは胃腸以外の症状、例えば疲労fatigue、認知的困難cognitive difficulty、気分障害mood disturbanceも示す
研究者たちは人々がなぜそのような症状を示すのかを突き止めようと奮闘してきたstruggle
この『非セリアック病グルテン小麦感受性/non-celiac gluten or wheat sensitivity (NCWS)』と呼ばれる病態の一つの説明として、やっかいな穀物offending grainsにさらされることが、どういうわけかsomehow、『厳密に局所的な腸の免疫応答』よりもむしろ『全身の急激な免疫活性化』の引き金を引くというものである
NCWSのバイオマーカーはこれまで存在しなかったために正確な有病率prevalenceというものは利用できないが、人口の約1パーセント、アメリカでは300万人が罹患していると推定されており、これはおおよそroughlyセリアック病と同じ有病率である
今回の研究でCUMCのチームはNCWSの患者80人を調査し、セリアック病の40人、健康な対照群の40人と比較した
セリアック病のグループでは疾患と関連する腸の損傷が広い範囲で見られたにもかかわらず、自然免疫の全身的な活性化/innate systemic immune activationを示す血液中のマーカーは上昇していなかった
このことはセリアック病患者の腸の免疫応答が 損傷した腸のバリアを通過するかもしれない微生物や微生物を構成する物質を中和neutralizeできており、『高度に免疫刺激的な分子』に対する全身の炎症性の応答が防がれていることを示唆する
NCWSのグループでは顕著に異なっていた
彼らの腸にはセリアック病で見られるような細胞傷害性T細胞/cytotoxic T cellsはいなかったが、腸の細胞の損傷を示すマーカーが見られ、それは急性の全身での免疫活性化を示す血清マーカーと相関した
この結果はNCWSでの全身的な免疫活性化が 微生物の構成物や食事の成分/microbial and dietary componentsの腸から血液循環への移動の増加と関連し、その理由の一部が腸の細胞の損傷や腸のバリアの弱体化によるものであることを示唆する
「全身的な免疫活性化モデルは、非セリアック病の小麦感受性を持つ人々で報告される症状が概して急速な始まりrapid onsetを示すことと一致するだろう」
研究を主導したArmin Alaedini, PhDは言う
彼はCUMCで内科学の助教授assistant professor of medicineである
彼はコロンビア大学のヒト栄養学研究所/Institute of Human Nutritionにも就任しており、セリアック病センターの一員でもある
研究では、6ヶ月間小麦類を排除した食事を守っていたNCWS患者は 免疫活性化ならびに腸細胞の損傷を示すマーカーのレベルが正常化することも明らかになった
加えて、それらのマーカーの変化と、詳細な質問票questionnaireで患者によって報告されていた腸と腸以外の症状の両方の著しい改善との間には関連が見られた
Alaedini博士は次のように付け加えた
「今回のデータは、将来我々がバイオマーカーの組み合わせを使って非セリアック病小麦感受性の患者を突き止め、治療への応答をモニターできるかもしれないという可能性を示唆する
CUMCと協力して研究に当たったイタリアのボローニャ大学の内科学教授、Umberto Volta, MDは次のように言う
「これらの結果は非セリアック病小麦感受性の我々の認識と理解にパラダイムシフトを起こすものであり、将来の診断と治療にとっておそらく重要な関連がありそうに思われる」
「この病態に多くの人々が罹患し、その健康への重大な負の影響を考慮すると、これはもっと注目されて資金をかけるに値する重要な調査領域である」
Alaedini博士と彼のチームはNCWSに関する将来の研究で 腸の損傷と上皮バリアの破れを引き起こす原因となるメカニズムを調査し、免疫細胞の応答の特徴をさらに調べようと計画している
http://dx.doi.org/10.1136/gutjnl-2016-311964
Intestinal cell damage and systemic immune activation in individuals reporting sensitivity to wheat in the absence of coeliac disease.
セリアック病の徴候はないが小麦への感受性を報告する人々における腸細胞の損傷と全身の免疫活性化
Abstract
小麦のグルテンや関連タンパク質は自己免疫の腸疾患enteropathy、つまりセリアック病を遺伝的に感受性のある人々に引き起こしうる
しかしながら、小麦の摂取に応じて広範囲な症状を経験しながらもセリアック病の特徴である血清学的・組織学的なエビデンスを示さない人たちがいる
そのような症状の病因やメカニズムは不明であり、バイオマーカーは何も特定されていない
我々は セリアック病ではない小麦への感受性が全身の免疫活性化と関連し、それが腸疾患enteropathyにつながる可能性があるのかどうかを突き止めることを目的とした
Design
研究の参加者には、小麦の摂取に応じた症状を報告しているがセリアック病やアレルギーの可能性は除外された人々と、セリアック病の患者、そして健康な対照群が含まれた
血清で分析したマーカーとしては、腸細胞の損傷と、微生物の成分への反応による全身の免疫活性化を示すものが調べられた
Results
小麦への感受性を持つ人々は、血清中の可溶性CD14、ならびに『リポ多糖結合タンパク質/lipopolysaccharide (LPS) -binding protein』のレベルが有意に上昇していた
細菌のLPSならびにフラジェリンflagellinに対する抗体の反応性antibody reactivityも同様に上昇した
また、腸上皮細胞の損傷を示すマーカーである『脂肪酸結合タンパク質2/fatty acid-binding protein 2 (FABP2) 』の循環レベルも有意に上昇していた
FABP2レベルの上昇は、微生物の産物microbial productsに対する免疫応答と相関を示した
小麦への感受性を持つ人々の内、小麦ならびに関連する穀物を除去した食事を遵守observeしていたサブグループでは、FABP2レベルならびに免疫活性化マーカーレベルは正常化する方向への有意な変化が存在した
Conclusions
これらの結果は、セリアック病ではないが小麦への感受性を経験するというサブ集団の人々に影響する 全身の免疫活性化状態に加えて、腸上皮の損傷を明らかにする
関連記事
http://ta4000.exblog.jp/17414553/
通常のエンドトキシン血症では血清中のLPS濃度は摂食すると増加し、絶食すると減少するが、4週間の高脂肪食では血漿中のLPS濃度が2倍から3倍まで慢性的に増加することが判明した。我々はこのような慢性的なLPS増加を「代謝性エンドトキシン血症」と定義した。重要なことは、高脂肪食が腸においてLPSを持つ微生物の割合を増加させるということである。
CD14が変異したマウスは、LPS投与と高脂肪食により誘導される代謝性疾患の特徴のほとんどに抵抗した。
関連記事
http://ta4000.exblog.jp/16922003/
セリアック病と小麦アレルギーのほかにもグルテンに反応する症例はあるが、それにはアレルギー的な、もしくは自己免疫的なメカニズムは、どちらも関わっていない。それらは一般にグルテン感受性(GS)として定義される。
ここで我々は、グルテン関連疾患の範囲を体系的に検討し、一般に知られている疾患の分類の欠落を補うために新しい用語体系を提案する。
Weakened intestinal barrier, systemic immune activation may explain symptoms in people without celiac disease
July 26, 2016
https://www.sciencedaily.com/releases/2016/07/160726123632.htm
(セリアック病は自己免疫疾患であり、遺伝的に感受性のある人々が小麦やライ麦、大麦に含まれるグルテンを摂取することにより、免疫系が誤って小腸の内層を攻撃することで起きる
これは様々な胃腸の症状につながり、腹痛、下痢、膨満などが生じる
Credit: (c) Timmary / Fotolia)
なぜセリアック病や小麦アレルギーではない人たちが、小麦やその同類の穀物cerealの摂取後に胃腸や腸以外の症状を経験するのか?
新たな研究はその理由を説明するかもしれない
今回の研究結果からは、このような人々は腸のバリアが弱く/have a weakened intestinal barrier、それが体内の広範囲な炎症性の免疫応答につながることが示唆される
コロンビア大学メディカルセンター(CUMC)を中心とした今回の研究は、学術誌のGut誌で報告される
「我々の研究は、この病態の人々によって報告されている症状が想像上の産物imaginedではないことを示す」
共著者co-authorのPeter H. Green, MDは言う
彼はCUMCでPhyllis and Ivan Seidenberg Professor教授職であり、セリアック病センターのセンター長directorでもある
「患者はかなりの数が存在するが、彼らが示すそれらの症状には生物学的な基礎が存在することを実証する」
セリアック病は免疫系が誤って小腸の内層liningを攻撃する自己免疫疾患である
遺伝的に疾患の感受性がある人々が小麦wheatやライ麦rye、オオムギbarleyなどからグルテンを摂取した後に起きるもので、胃腸に広範囲の症状、例えば腹痛abdominal pain、下痢diarrhea、膨満bloatingなどを示す
しかし、セリアック病であることを示す血液・組織・遺伝子マーカーを持たない人々の中に、小麦類の摂取後にセリアック病のような胃腸症状を経験する人たちがいる
加えて彼らは胃腸以外の症状、例えば疲労fatigue、認知的困難cognitive difficulty、気分障害mood disturbanceも示す
研究者たちは人々がなぜそのような症状を示すのかを突き止めようと奮闘してきたstruggle
この『非セリアック病グルテン小麦感受性/non-celiac gluten or wheat sensitivity (NCWS)』と呼ばれる病態の一つの説明として、やっかいな穀物offending grainsにさらされることが、どういうわけかsomehow、『厳密に局所的な腸の免疫応答』よりもむしろ『全身の急激な免疫活性化』の引き金を引くというものである
NCWSのバイオマーカーはこれまで存在しなかったために正確な有病率prevalenceというものは利用できないが、人口の約1パーセント、アメリカでは300万人が罹患していると推定されており、これはおおよそroughlyセリアック病と同じ有病率である
今回の研究でCUMCのチームはNCWSの患者80人を調査し、セリアック病の40人、健康な対照群の40人と比較した
セリアック病のグループでは疾患と関連する腸の損傷が広い範囲で見られたにもかかわらず、自然免疫の全身的な活性化/innate systemic immune activationを示す血液中のマーカーは上昇していなかった
このことはセリアック病患者の腸の免疫応答が 損傷した腸のバリアを通過するかもしれない微生物や微生物を構成する物質を中和neutralizeできており、『高度に免疫刺激的な分子』に対する全身の炎症性の応答が防がれていることを示唆する
NCWSのグループでは顕著に異なっていた
彼らの腸にはセリアック病で見られるような細胞傷害性T細胞/cytotoxic T cellsはいなかったが、腸の細胞の損傷を示すマーカーが見られ、それは急性の全身での免疫活性化を示す血清マーカーと相関した
この結果はNCWSでの全身的な免疫活性化が 微生物の構成物や食事の成分/microbial and dietary componentsの腸から血液循環への移動の増加と関連し、その理由の一部が腸の細胞の損傷や腸のバリアの弱体化によるものであることを示唆する
「全身的な免疫活性化モデルは、非セリアック病の小麦感受性を持つ人々で報告される症状が概して急速な始まりrapid onsetを示すことと一致するだろう」
研究を主導したArmin Alaedini, PhDは言う
彼はCUMCで内科学の助教授assistant professor of medicineである
彼はコロンビア大学のヒト栄養学研究所/Institute of Human Nutritionにも就任しており、セリアック病センターの一員でもある
研究では、6ヶ月間小麦類を排除した食事を守っていたNCWS患者は 免疫活性化ならびに腸細胞の損傷を示すマーカーのレベルが正常化することも明らかになった
加えて、それらのマーカーの変化と、詳細な質問票questionnaireで患者によって報告されていた腸と腸以外の症状の両方の著しい改善との間には関連が見られた
Alaedini博士は次のように付け加えた
「今回のデータは、将来我々がバイオマーカーの組み合わせを使って非セリアック病小麦感受性の患者を突き止め、治療への応答をモニターできるかもしれないという可能性を示唆する
CUMCと協力して研究に当たったイタリアのボローニャ大学の内科学教授、Umberto Volta, MDは次のように言う
「これらの結果は非セリアック病小麦感受性の我々の認識と理解にパラダイムシフトを起こすものであり、将来の診断と治療にとっておそらく重要な関連がありそうに思われる」
「この病態に多くの人々が罹患し、その健康への重大な負の影響を考慮すると、これはもっと注目されて資金をかけるに値する重要な調査領域である」
Alaedini博士と彼のチームはNCWSに関する将来の研究で 腸の損傷と上皮バリアの破れを引き起こす原因となるメカニズムを調査し、免疫細胞の応答の特徴をさらに調べようと計画している
http://dx.doi.org/10.1136/gutjnl-2016-311964
Intestinal cell damage and systemic immune activation in individuals reporting sensitivity to wheat in the absence of coeliac disease.
セリアック病の徴候はないが小麦への感受性を報告する人々における腸細胞の損傷と全身の免疫活性化
Abstract
小麦のグルテンや関連タンパク質は自己免疫の腸疾患enteropathy、つまりセリアック病を遺伝的に感受性のある人々に引き起こしうる
しかしながら、小麦の摂取に応じて広範囲な症状を経験しながらもセリアック病の特徴である血清学的・組織学的なエビデンスを示さない人たちがいる
そのような症状の病因やメカニズムは不明であり、バイオマーカーは何も特定されていない
我々は セリアック病ではない小麦への感受性が全身の免疫活性化と関連し、それが腸疾患enteropathyにつながる可能性があるのかどうかを突き止めることを目的とした
Design
研究の参加者には、小麦の摂取に応じた症状を報告しているがセリアック病やアレルギーの可能性は除外された人々と、セリアック病の患者、そして健康な対照群が含まれた
血清で分析したマーカーとしては、腸細胞の損傷と、微生物の成分への反応による全身の免疫活性化を示すものが調べられた
Results
小麦への感受性を持つ人々は、血清中の可溶性CD14、ならびに『リポ多糖結合タンパク質/lipopolysaccharide (LPS) -binding protein』のレベルが有意に上昇していた
細菌のLPSならびにフラジェリンflagellinに対する抗体の反応性antibody reactivityも同様に上昇した
また、腸上皮細胞の損傷を示すマーカーである『脂肪酸結合タンパク質2/fatty acid-binding protein 2 (FABP2) 』の循環レベルも有意に上昇していた
FABP2レベルの上昇は、微生物の産物microbial productsに対する免疫応答と相関を示した
小麦への感受性を持つ人々の内、小麦ならびに関連する穀物を除去した食事を遵守observeしていたサブグループでは、FABP2レベルならびに免疫活性化マーカーレベルは正常化する方向への有意な変化が存在した
Conclusions
これらの結果は、セリアック病ではないが小麦への感受性を経験するというサブ集団の人々に影響する 全身の免疫活性化状態に加えて、腸上皮の損傷を明らかにする
関連記事
http://ta4000.exblog.jp/17414553/
通常のエンドトキシン血症では血清中のLPS濃度は摂食すると増加し、絶食すると減少するが、4週間の高脂肪食では血漿中のLPS濃度が2倍から3倍まで慢性的に増加することが判明した。我々はこのような慢性的なLPS増加を「代謝性エンドトキシン血症」と定義した。重要なことは、高脂肪食が腸においてLPSを持つ微生物の割合を増加させるということである。
CD14が変異したマウスは、LPS投与と高脂肪食により誘導される代謝性疾患の特徴のほとんどに抵抗した。
関連記事
http://ta4000.exblog.jp/16922003/
セリアック病と小麦アレルギーのほかにもグルテンに反応する症例はあるが、それにはアレルギー的な、もしくは自己免疫的なメカニズムは、どちらも関わっていない。それらは一般にグルテン感受性(GS)として定義される。
ここで我々は、グルテン関連疾患の範囲を体系的に検討し、一般に知られている疾患の分類の欠落を補うために新しい用語体系を提案する。