越川芳明のカフェ・ノマド Cafe Nomad, Yoshiaki Koshikawa

世界と日本のボーダー文化

The Border Culture of the World and Japan

辺野古(4)

2010年07月17日 | 小説
辺野古崎につくと、ドックの近くにバイクを停めました。

ドックには、ちいさな漁船が数艘、まるで飼い犬みたいにおとなしく、つないでありました。

漁船のわきで、祝日で学校が休みの少年たちが、まるで曲芸師みたいに巧みに水の中に飛び込んでいました。

その向こうに、座り込みのテント村が見えましたが、なぜか怖じ気づいてしまいました。

ただの「観光客」が物見遊山で、訪ねていいものかどうか。

逡巡しました。



反対側を見ると、ドックを囲っている遠くのコンクリート壁の先端に、海の神様をまつった神社が見えました。

船が出ていくたびに、それを見守る位置にあります。

そちらのほうにも、別の少年の一団が歩いて行きます。

神社の裏のほうにも、きっとダイブに格好の場所があるに違いありません。

そのうち、雨が強くなってきました。



漁協の建物の空洞になった一階部分に逃げ込んで、雨宿りをすることにしました。

自動販売機でジュースを買って、乾いたのどを潤しました。

考えていましたーーー。

テント村に行っては失礼なのではないか。



その場には、ビーチカウチに座って海を眺めている老人が一人いました。

天気悪いですね。そう話しかけました、が・・・

会話が弾むような返事はありません。








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