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偽善者~忌野清志郎タイマーズのテーマ  /「厳重注意」受けるべきは誰?NHK【ETV特集】担当者「処分

2012-11-26 | 忌野清志郎 と 反原発ソング
タイマーズ タイマーズのテーマ ~ 偽善者



 ♪2:08~偽善者 です。


 「04偉い人の歌」も。youtube♪



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 「厳重注意」を受けるべきは誰なのか。 NHK【ETV特集】担当者の「処分」を考える 

NHK【ETV特集】担当者の「処分」を考える

テレビ製作者の権利と原発報道 
 戸崎賢二



 大震災後、福島第一原発事故に関するテレビ報道の中で、注目すべき一連のドキュメンタリー番組がありました。NHKの「ETV特集」のシリーズ「ネットワークでつくる放射能汚染地図」です。

 その第1回にあたる2011年5月15日の放送は、原発事故直後の3月16日からスタッフが原発30キロ圏内に入り、放射線量を測りながら移動した記録を基にしています。大手メディアが30キロ圏内の取材を自粛していた時期に、こうした取材を敢行した番組は他に例がありませんでした。

 取材スタッフは、放射線衛生学の研究者である木村真三氏とともに、チェルノブイリ級の放射能汚染の広がりを身をもって体験しながら、耕作の望みを絶たれた農家の苦境など、被災地の人びとを襲った悲劇もリアルに伝えました。
若い農民が、「ここで農業を続け、子どもたちを幼稚園、小学校へやって暮らしたかった」と泣きながら語るシーン、養鶏農家が、3万羽の鶏の餓死に直面する無残な場面などが強く印象に残ります。

 原発災害の実態に迫る取材は大きな支持を集め、この番組は昨年度の文化庁芸術祭大賞、日本ジャーナリスト会議大賞などを受賞しました。その後シリーズは今年まで6回を数え、海や川の汚染、子どもと放射能、低線量被爆など、重要な問題を取り上げています。


番組担当者への厳重注意処分  制作記録の内容を理由に

 ところが、2012年4月、NHKで、この「ETV特集」班のプロデューサーとディレクターが、口頭での「厳重注意」、もう一人のディレクターが「注意」の処分を受けていたことがわかりました。局内で伝えられているところによれば、問題とされたのは、取材班が番組の制作記録として12年2月に刊行した『ホットスポット』(講談社)の内容です。

 執筆者である取材スタッフが、当時NHKが禁じていた原発30キロ圏内の取材経過を書籍の中で公表したこと、原発報道についてNHKの他部局を批判したこと、などが処分の理由とされたのです。

 11年3月21日、NHK報道局は、政府が30キロ圏内で避難と屋内退避を指示しているとして、「我々の取材も政府の指示に従い行うことが原則」という通達を関係部局に出しました。取材者の被爆を避けたい、という意図があったとしても、被災地の取材を「政府の指示に従う」としたのは、自律が原則の報道機関としては問題でした。

 『ホットスポット』によれば、取材スタッフは、現地から業務命令で呼び戻され、禁を破ったことで局内で激しいバッシングを受けたといいます。しかしディレクターは『ホットスポット』の中で、この規制について、「とうてい納得できるものではない、そこにはまだ人間が暮らしているのだ」と書いています。
 
 番組「汚染地図」は、30キロ圏内の浪江町赤宇木(あこうぎ)という地区に、高線量を知らず取り残されている住民を発見し、木村氏と取材班の説得で住民がこの地区を脱出する経過を記録しています。実は文科省はこの地域の放射線量の高さを把握していましたが、地名を公表せず、住民には伝えられていませんでした。
枝野官房長官は報告を知っていましたが、記者会見で、「直ちに人体に影響を与えるような数値ではない」と説明し、テレビ報道はこの会見を垂れ流しました。

 取材班は、こうした取材内容を4月初めの「ETV特集」で放送する企画を提出しましたが、番組のネットワークの中に反原発の立場の研究者がいる、という理由で、幹部によって却下されました。
こうして、3月に測定した汚染の広がりの公表は、およそ2ヵ月後の5月15日、「汚染地図」第1回の放送まで待たなければなりませんでした。もし、幹部がもっと早く放送を許していたら、番組は大きな警告となって、高線量の中で被爆する住民が少しは減らせたかもしれません。


番組制作者の精神の自由  視聴者・市民が働きかけることの意味は

 こうして振り返ってみると、「厳重注意」を受けるべきは、「ETV特集」取材班というよりはむしろ、政府発表を垂れ流した報道や、早期に放射能汚染を伝えることを制約した幹部のほうではないでしょうか。

 番組のディレクターを務めた七沢潔氏は、「ホットスポット」あとがきの中、「あれだけの事故が起こっても、慣性の法則に従うかのように『原子力村』に配慮した報道スタイルにこだわる」という表現で局幹部を批判し、「取材規制を遵守するあまり違反者に対して容赦ないバッシングをする他部局のディレクターや記者たち」がいた、と告発しています。

 こうした記述が、「処分」の理由とされました。
 しかし、NHKのような公共的な放送機関は、多様な視点による豊かな情報を視聴者に提供する義務があります。その多様性は、第一義的には、番組やニュース制作にかかわる多数の人びと(NHK正規職員に限りません)の思想、表現の自由によって担われます。
制作過程で感じたことを率直に表現することさえ処分の対象とするのは、NHKの自立的な放送を支える現場の力を官僚的に抑圧することになります。

 幸い、「ETV特集」は、これまで原発災害について伝え続けることができました。その力になったのは、何より視聴者の圧倒的な支持の声だったといいます。第1回の「汚染地帯」の放送には再放送希望が殺到し、ただちに総合テレビでの再放送が決まりました。

 NHKの浜田健一郎経営委員長は全日空の常務取締役、松本正之会長はJR東海社長の経歴を持つ財界人です。周知のように、財界は原発維持の立場です。この意向が番組に影響を及ばさない、とは言い切れません。とすれば、視聴者がたまたま良心的な番組を褒める、というだけでは不十分です。こういうテーマを取り上げよ、こういう番組を続けよ、と要求する積極的な運動がもっと必要になるでしょう。

 「ETV特集」スタッフへの処分問題は、NHKが決して一様な組織ではなく、その中に様々な対立、圧力が存在していること、良心的な番組を守るためには視聴者市民の働きかけが切実な意味を持つことを明確にしたといえます。
(とざき・けんじ/元NHKディレクター・放送を語る会運営委員長)
【学習の友 2012-no:712 12】


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