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映画 『南京!南京!』 河村たかし名古屋市長 「南京大虐殺なかった」発言

2012-04-19 | 動画 ・ 文化芸能
 名古屋市長の「南京大虐殺なかった」発言 

     関係改善の努力を否定
    映画監督 陸 川(ルー・チュアン)さん



 日中国交正常化40年の今年、河村たかし名古屋市長が「一般的な戦闘はあったが、南京大虐殺はなかった」と発言。両国の文化交流が相次ぎ延期されました。

国際的に認められた事実を否定する日本の政治家の言動は、中国の人々にどう映っているのか。この歴史的事件を映画「南京!南京!」(2009年)に描いた中国の陸川(ルー・チュアン)監督に聞きました。(聞き手・田中佐和子)


 名古屋市長の発言は、私たち中国人には到底受け入れられないものです。例えばドイツの市長が「ユダヤ人虐殺はなかった」と発言したら、全世界で大問題になるでしょう。それと本質は同じではないでしょうか。

広島・長崎の原爆で20万人余の市民が犠牲になったことを日本人誰もが知っているように、中国人は南京大虐殺の事実を知っているのです。市長は何を意図しているのか。日本はまた戦争をしたがっているのではと恐怖感を覚えます。

あらゆる資料に目を通し言える

 私は映画「南京!南京!」を撮るため、2年以上かけて南京大虐殺に関するあらゆる資料に目を通しました。数百冊の文献、日本兵が撮った4万点の写真や日記、手紙。台湾や日本の友人からいろいろ送ってもらったり、ワシントンに所蔵されている資料も見に行きました。大虐殺はあったとはっきり言えます。それを否定することは、中国の人々をもう一度深く傷つけることになるのです。名古屋市長は謝罪するべきです。

 映画を通して中国と日本の共通の歴史の記憶を作り、両国の友情の架け橋にしたいと考え、私は「南京!南京!」を作りました。ですからこれまでの抗日映画とは異なり、日本の視点を入れています。日本兵は「鬼」ではなく普通の人間だったし、良心を辛うじて残していた人も中にはいたと。

 「南京!南京!」に登場する日本兵は、日本人俳優に演じてもらいました。東京で90人の俳優に会って選考したのですが、最初に選んだ有名な俳優は結局辞退してしまいました。実際に演じてくれた俳優たちは、とても勇敢だと思います。

彼らにも大虐殺の資料を読んでもらったのですが、最初はとても驚いていました。しかし事実を認めて受け入れ、演じてくれました。撮影の最初の2ヵ月間、毎日泣いてる役者もいましたよ。彼らの協力がなかったら、私の作品も昔の抗日映画と同じものになってしまったかもしれません。心から感謝しています。

方のメディア 大衆の声伝えて

 中国での評価は真っ二つに分かれました。半数からは猛烈な抗議を受けましたが、半数は好意的に受け止めてくれました。しかしそうやって日本人の立場を理解しようとした中国人も、名古屋市長の発言を聞いて「結局日本人は何も反省していない」と思うでしょう。彼は、両国の関係を良くしようとたたかってきた人たちの努力を無にしようとしているのです。

 私は何度か日本にきていますが、交流した日本の教員や学生、弁護士の皆さんは、南京大虐殺を否定したりはしません。しかし中国の一般の人々には、そうした声がなかなか届いていないのです。名古屋市長が、日本の民衆の気持ちを代弁しているとは思えません。日本の人々がこの問題をどう見ているのか、ぜひ中国人に伝えてほしい。日本のメディアも中国のメディアも、もっと大衆の声を伝え、メディア同士が交流できればと思います。

 「南京!南京!」は、未だ日本で配給が決まらず、映画館で上映することができません。日本が民主国家であるなら上映して、感想を交流したい。自らの罪を認めて反省してほしいのです。戦争は全人類の敵ですから。名古屋でも上映できたらいいですね。ぜひ市長にも、この映画を見てほしいと思います。
(赤旗日刊紙2012・4・4)

【ルー・チュアン 1970年生まれ。「ミッシング・ガン」(2001年)で監督デビュー。「ココシリ」(04年)で中国の金鶏賞最優秀劇映画賞、東京国際映画際審査員特別賞など。「南京!南京!」はスペインのサンセバスチャン国際映画祭最優秀作品賞を受賞。