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有期労働契約「上限5年」日本だけ 労政審建議 /経産幹部インサイダー疑惑 自ら救った企業株も

2012-01-26 | 哀 / 労働問題 
 有期労働契約 労政審建議の問題点

 「上限5年」日本だけ
   赤旗日刊紙2012・1・20・21。

政府民主党内では、厚生労働大臣の諮問機関の労働政策審議会が昨年12月26日に「有期労働契約のあり方について」を小宮山洋子厚労相に建議したことを受けて、労働契約法の改正案づくりをすすめています。あるべき有期労働の規制について考えてみました。


 1990年代以降、非正規雇用が若い世代や女性を中心に広がり、労働者の38・7%、1756万人にもなっています(厚生労働省「就業形態の多様化に関する総合実態調査」、総務省「労働力調査」から)。

その7割以上が有期で、大半が数ヵ月の雇用契約を繰り返しながら何年も不安定で低賃金の労働を強いられています。
 年収200万円以下は1045万人、働く人全体の5人に一人強です。

3年前のリーマン・ショックを口実とした派遣・非正規切りに対して、労働者は労働組合に加入し、労働局へ是正指導を求めてたたかってきました。正社員化されたケースもありましたが、派遣先企業に直接雇用されても期間工で、再び「雇い止め」されるケースも多発しています。

 製造業務派遣や登録型派遣の全面禁止など派遣労働を限定する労働者派遣法の抜本改正とあわせて、有期労働への規制で、雇用破壊から労働者保護へと転換させることが求められています。


業種制限を
 本来、雇用の原則は無期で、有期雇用は一時的臨時的なものに限るべきです。しかし、労政審の建議は、「入り口」規制を回避し、どんな業種、どんな場合にも無原則的に認めるというものです。

 また、有期契約の期間の上限を5年とし、それを超える場合は、労働者が申し立てたときのみ期間の定めのない契約に転換させるとしました。その際の労働条件は従前と同一で、『あとは労働者と雇用者で交渉しなさい』というものです。

 この「出口」規制は、数ヵ月の雇用契約の更新を繰り返し、不安定なままで働かせ、5年が来る直前に「雇い止め」=事実上の解雇を容認することになります。更新回数の制限はしていません。女性には、さながら結婚や出産理由の退職推進制度のようです。

 有期規制をしている国で上限5年という国はなく、韓国は2年です。更新回数はEU(欧州連合)などでは1~3回です。
 さらに無期契約に転換させる対象にならないように、「6ヵ月」のクーリング期間をおけば有期契約はリセットされ、再びその労働者を有期で雇い入れられます(契約が1年未満の場合はその期間の2分の1)。

 派遣の場合、労働者が入れ替わっても期間は通算されます。また「派遣労働に戻すことを前提としたクーリング期間は、派遣期間として通算され」ますが、有期雇用はいずれも通算されません。これでは企業は有期雇用の労働者を、上限期間の手前で入れ替える行為を従来通り繰り返すことになるでしょう。

 大阪のダイキン工業では、違法な派遣労働を告発した労働者が直接雇用されましたが、「上限2年半、6ヵ月の有期契約、更新あり」として2年半後に解雇されました。ダイキンはその一方で新たな有期労働者を雇い入れています。

規制が必要
 民主党政府は、この有期労働の規制を、罰則があり、強制力をもった労働者保護法ではなく、労働契約法の枠内の改正とし、不服なら裁判に委ねる民法体系でお茶をにごそうとしています。
 労働者は個人では使用者と対等平等の交渉力をもっていません。労働組合で団結してたたかわない限りは、使用者の無理な要望にもガマンして働かなければなりません。だから近代社会は、法的規制を行って労働者保護のルールを確立させてきました。

 19世紀の英国で過酷な児童労働が横行していたとき26の商会は「他の資本家たちとの競争は、児童労働を自主的に制限できない」と、児童労働を規制する法律をつくるように「国会の強制的介入」を自ら請願しました。使用者は社会的規制なしに自らを律することはできないのです。

雇用の安定へ規制を
 有期労働契約についての労政審建議は、正規雇用との賃金・処遇格差については「不合理な処遇の解消」をするとしています。
 しかし「職務」や「配置の変換の範囲等」を考慮するといいます。これは高いハードルです。形式的に「職務」や「配置の範囲」に相違があるようにして格差を合理化している実態があるからです。

 また建議は、「雇い止め法理」の法定化をはかるとしています。雇用契約を繰り返し更新し、働き続けられるとの期待権が発生している場合、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない雇い止め」は「更新されたものとして扱う」とした判例法理を法律に書き込むといいます。

 正社員に先立って簡単に首切りされてしまう現状への対応は当然ですが、労働者を守る根本は、有期雇用を例外とする「入り口」規制、契約期間や更新回数を制限する「出口」規制を明確にすることにほかなりません。

勝手な主張
 審議会では、日本経団連など使用者側委員は、「有期は労働者のニーズ」「この円高の不況期に一切の規制はすべきでない」「規制すれば企業は海外にでていく」など身勝手な主張を繰り返しました。野田政権の財界寄り姿勢を見透かしたような言動でした。

 審議会は、使用者側がのめる範囲を探る議論になりました。連合の労働者側委員が「入り口と出口規制はセットで」と主張したものの、使用者側は「一切の規制はすべきでない」「契約の上限は10年」など言いたい放題でした。労働者側委員に、最も熱心に非正規問題に取り組んできた全労連選出が1人もいないのも不合理です。

 使用者側は「有期は労働者のニーズ」といいますが、多くの女性は、長時間労働が前提で保育園などが著しく不備な現状で、子育てなどの家庭的責任を担うために職場を離れざるを得ず、再び働くには有期のパートや契約社員を選ばざるを得ないのが実態です。有期・パートの待遇改善はジェンダー(性差)平等の視点からも急がれます。

内需が凍る

 「規制すれば企業は海外にでる」といいますが、パナソニックのように有期雇用を多用し、さながら「期間工」工場化している企業ほど労働者を簡単にリストラし、海外に工場を移転しています。
 「不況のときに規制強化すべきでない」といいますが、労働者とその家族には、雇用破壊と貧困を押し付ける一方で、大企業の内部留保は266兆円(2010年。資本金10億円以上)にふくらみ、1990年代から倍加して過去最高です。

低賃金の不安定雇用の拡大で莫大な利益を増やしながら、企業は労働者と家族、下請け中小企業を切り捨てて、需要を求めて身軽に海外へ進出し、その結果、国内ではさらに雇用破壊が進み、内需がますます凍りつく悪循環に陥っています。

 そして、国は、法人税減税など大企業応援の政策メニューをさまざま用意する一方で、中小企業予算はすずめの涙です。雇用では『多様な働き方』という名目で非正規化を推進するなど悪循環に拍車をかけてきました。

提案運動へ
 政治がやるべきことは、労働者保護の立場で暮らしの土台である雇用の安定をはかり、内需をあたためることです。雇用の原則は「期間の定めのない」雇用です。有期労働は一時的・臨時的業務に限定する「入り口規制」、1年を超えて雇用する場合や契約更新を複数回おこなっている場合は、期間の定めのない雇用とみなすなど厳しい「出口規制」、正規雇用との均等待遇などを明記した労働法制が求められています。
 労働者・国民の側から、実態を告発して問題を可視化させ、あるべき労働法制への提案運動を展開することが求められています。

(国民運動委員会 日野徹子)

人材派遣協会が骨抜き修正評価
 派遣会社618社などでつくる日本人材派遣協会の坂本仁司会長は17日、東京都内で記者会見し、派遣法改定案で民主、自民、公明の3党が製造業派遣と登録型派遣の「原則禁止」削除に合意したことを「大きな前進」と評価し、さらに規制を緩和するよう見直しを求めました。
 坂本会長は、「冷静に議論すれば、製造業派遣の禁止も登録型派遣の禁止も、やることの意味がないと理解してもらえたことは大きな前進で評価したい」と述べました。

 派遣法の政府案は、製造業と登録型の派遣を「原則禁止」するといいながら、「常用型」「専門26業務」を例外として認める「抜け穴」がありました。昨年12月の3党合意は、この「原則禁止」自体を削除する「骨抜き修正」でした。

 坂本会長は、「ただし、まだ問題が残っている」として、日雇い派遣の規制と、違法派遣があった場合、派遣先企業が労働者に直接雇用を申し込んだとみなす「みなし雇用」の導入が盛り込まれていることをあげ、不満を表明しました。

 日雇い派遣規制は、政府案で「60日以内」の短期派遣禁止だったものが3党合意で「30日以内」に改悪され、抜け穴の例外規定も設けられました。「みなし雇用」も正社員採用の保証がない規定が、さらに3党合意で施行期日を3年先送りしました。ここまで規制を緩和しても反対という姿勢です。
 坂本会長は、「派遣を否定する意味が果たしてあるのか。ペナルティーとして派遣先の直接雇用義務を課すことを、法律が決めるのが理念として正しいのか。議論しなおすよう要望を続ける」と語りました。
(おわり)

このように、政府・財界が一体となって非正規雇用を増やしているんですから、非正規雇用は自己責任ではないですよね。強大な権力とたたかうためには団結するしかないと思います。このままではマズイと思った方、全労連系の労働組合に加入し、労使対等を勝ち取るために先ずは行動しましょう。

全国労働組合総連合(全労連)
http://www.zenroren.gr.jp/jp/shokai/chihousoshiki.html
非正規雇用労働者全国センター
http://www.cwac.jp/
地域労組おおさか青年部
http://seinenunion.blog33.fc2.com/


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 繰り返すインサイダー疑惑


  

 繰り返すインサイダー疑惑

  経産幹部 自ら救った企業株も 
  赤旗日刊紙2012・1・20


 刑事事件に発展した経済産業省幹部によるインサイダー取引疑惑は、原子力政策に携わる資源エネルギー庁の前次長ということもあって、大きな衝撃を広げています。

 ※インサイダー取引 会社の経営・財務など投資判断に重要な影響を及ぼす未公開の情報を一定の立場ゆえに知った者が、その情報が公開される前に、その会社の株取引を行うこと。


NECエレ株 → 合併公表前に
エルピーダ株 → 公的支援情報入手し

 資源エネルギー庁前次長の木村雅昭容疑者(53)の逮捕容疑は次のようなものです。

 木村容疑者は2009年当時、同省審議官として半導体業界を担当。同年3月上旬、半導体大手の「NECエレクトロニクス」と「ルネサステクノロジ」(合併、現ルネサスエレクトロニクス)が合併したことを知り、公表前の同4月21日から27日にかけ、NECエレ株5000株を約480万円で購入した疑い。

 同5月11日までには、国内唯一の半導体メモリーメーカー「エルピーダメモリ」が「改定」産業再生法にもとづく公的支援を受けて増資することを決定したことを知り、公表前の同月15日と18日に同社株計3000株を約300万円で買い付けた疑い。

 重大なことは、木村容疑者が、世界的な価格競争と08年秋の金融危機で経営難に陥っていた「エルピーダ」救済を所管審議官として指揮し、海外の業務提携先を探したり、日本政策投資銀行などとの融資交渉に臨むなど奔走していたことです。

 自分で救済のシナリオを作り、その株取引をして利益をあげる―。職務を利用して私腹を肥やした犯罪で、収賄といってもおかしくありません。

 しかも、産業再生法は、09年4月、自民、公明、民主などの賛成で「改定」され、大企業に、経営責任も問わず、返還のいらない公的資金を出資の形で投入できるようになりました。これまで、同法にもとづく公的出資がされたのは、エルピーダ1社しかなく、公的資金投入の正当性に疑問が出てきます。

 経産省の「身内に甘い」体質も問われています。

 同省では、1995年に「担当局や担当課が所管する業種に属する企業の株取引」などを禁止する規則が定められていましたが、株取引をめぐる不祥事は後を絶っていません。

 05年10月には、産業再生法にもとづく事業再生構築計画の審査を担当していた情報通信機器課の係長が、写真用品メーカーの関連会社による公開買い付け(TОB)情報をもとに株式を買ったとして、在宅起訴され、有罪判決が確定しています。

 この事件後、全職員に株取引の2年間の自粛を通知しましたが、禁止はしませんでした。

 木村容疑者の疑惑発覚(昨年6月)を受け、同省は昨年10月から全職員を対象に株取引の実態を調査した結果、特許庁の現職審判官ら2人が09年から10年にかけて審理や審査を担当した企業の株を取引し、利益をあげていたことがわかりました。

 経産省はじめ省庁には、企業から一般投資家には得られない内部情報が日常的に入ります。政治家も同様です。政治家、官僚の株取引は「自粛」ではなく、全面的に禁止すべきです。 (藤沢忠明)