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ndd a.k.a NO-DOUBTによるレビュー。音楽中心に徒然と。微力でもアーチストや表現者への還元に繋がれば。

ソーシャルメディアマーケティング / オガワ カズヒロ(小川 浩・小川 和也)

2011年01月15日 | BOOK/MAGAZINE
ソーシャルメディアマーケティング
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ソーシャルメディアマーケティング / オガワ カズヒロ(小川 浩・小川 和也)

2010年の大きな潮流でもあったソーシャルメディアを活用したソーシャルメディアマーケティングに関するビジネス本。年末休みで読了。

マーケティング=戦争という定義づけは正直好きになれませんでした。資本主義において企業活動自体が競争ではあるけれど競合を倒すだけでは本当の戦争でしかなくて、豊かな考え方ではないなと。まあ誇張して煽っているのだろうけど。

内容はソーシャルメディア全般というよりはほとんどTwitterの話ばかりでもう少しソーシャルグラフの観点や消費者行動においてiPhoneなど次世代のデバイスを端に発したソーシャルメディアがどう影響を及ぼしているかなどへの言及も欲しかった。

Twitterはじめソーシャルメディアによりマス広告が不要と言うことではなくマスを補完するものであり、マーケティング活動においてマス広告で興味関心などを図りソーシャルメディアでCRMの一部として顧客とのコミュニケーションを図りマインドシェアを獲得しようと言う方法論は正しいかと。

内容や事例がTwitter廻りばかりなのでTwitterはひとつの手段でしかないと思うので、もう少しソーシャルネットワークに滞在している生活者にどのように伝えたいことを伝えて製品やサービスの販売促進やリアル店舗へ集客するのかを語ってもらえるとありがたいなあ。

効果測定のしにくいソーシャルメディアを使ったプロモーション展開に関しても評価基準となる項目を抽出しているのでその点は施策実施前の参考にはなりそうです。

ソーシャルメディアマーケティング

未来型サバイバル音楽論/津田 大介 牧村 憲一(中公新書ラクレ)

2010年12月29日 | BOOK/MAGAZINE
未来型サバイバル音楽論―USTREAM、twitterは何を変えたのか (中公新書ラクレ)
津田 大介 牧村 憲一 中央公論新社 売り上げランキング: 1763


津田氏本人(@tsuda)のTwitter上での読後ツイートをリツィートしまくるという過剰なソーシャルメディアプロモーションも賛否ありましたが、ちゃんとこうやって購入する人間がいるんだからまあ効果がないわけでもないのかな。

なんかTwitter原理主義者みたいな立ち居地になってますが過去の名著「だれが音楽を殺すのか?」などからもわかるようにこの人メディア論者と呼ぶのが正しい気もします。

本著はまさにここ10年の音楽産業の衰退(というか変化)の要因、過去と現在そして未来を点ではなく線で包括的にまとめているので90年代のミリオン連発とか「渋谷系」って何?みたいな若い人には貴重なアーカイブとしても機能。しかし音楽は水よりも安いなんて誰かが言っていたけど3000円のアルバムが100万枚売れる時代じゃないし、販促費を抑えてwebを主戦場に300円で100万ダウンロード目指しますなんてモデルのほうが時代には合うのかも。

レーベルと言う概念を新たにアップデートすべき時代においてその先端である取り組みとして教授のcommonsを取り上げているのでそのあたりの話題も必読。

色々と興味深い考察や提案もあって「ひとり一レーベル」というわかりやすいフレーズが象徴しているようにマイスペは元よりTwitterやUSTなど既存のソーシャルなインフラを使えばこれまでのいわゆるメジャーの資本がなくても、作り手自身が直接OneToOneマーケティングできる時代であるのは確か。その活用の提案と言う意味でも音楽に限らずクリエーターが自分をメディア化することは一度トライしてみるべきかも。まつきあゆむ氏や旅人などブレイクスルーした例も紹介されているし。やはり聴かれて、観られて何ぼだしね。

2010年のオリコンのシングルチャートが嵐とAKBで占領されているのは音楽として売れたと言うよりは、CDも嵐やAKBというソフトを構成する一部で曲と言うよりグッズとして買われているだけでしょう。だって嵐の曲なんて1フレーズも思い出せんよ。CDの販売数で計るのではなく実際個人(店舗等含む)に聴かれている時間を評価基準として数値化したら全然違うでしょう。

終章のほうで津田氏がフェスが一時的に音楽を繋いでいく機能を果たしていると言及していますが、まさに知らないアーチストの曲を聴く機会になるし、若手のミュージシャンが大御所と共演できて横と縦に繋がる場という視点はすごく共感できる。また一方でフェス乱立により淘汰も起きるだろうというのはおそらく始まっている。タイトルのすげ替えだけで似たような出演者のフェス多いもんねこれからはコンセプトがしっかりしてないとフェスもサバイヴできないだろうし。

「もう音楽がおいしい商売ではなくなる」というような発言があるのだけど、それでも人は音を楽しみ愛すからきっと音楽で食べていける新しいビジネスモデルが生まれるでしょう。

未来型サバイバル音楽論―USTREAM、twitterは何を変えたのか (中公新書ラクレ)

購入予定本

2010年12月17日 | BOOK/MAGAZINE
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音楽ビジネス革命 残響レコードの挑戦/ 河野章宏(残響レコード社長/te'ギタリスト)

2010年11月23日 | BOOK/MAGAZINE
音楽ビジネス革命~残響レコードの挑戦~
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正直タイトルほど革命的な何かを感じるような内容ではなかったが内容は至ってまともなビジネス論、というかリーダ論的な述懐が多く、ある種ビジネス本に近いのかも。文中で本人もビジネス本をよく読むとあったからその影響なのかな。リーダー論的に部下に任せてその成長を見ももるという権限委譲的価値観は確かに重要だしね。

音楽業界で言えばいわゆるベンチャーにあたるポジションで会社(レーベル)を成長させている手腕は見事なんだと思いますし、アーチストを大切にして消費されないようなビジネスモデルを構築しようとしているのは共感できるのですが、それよりもこの本の中に書かれているような大手の音楽会社の前時代的な経営手法のほうがよっぽど問題があるんじゃないかとか思った。

もちろん業界人ではないので軽々には発言できないが、音楽ビジネスが斜陽と言うよりそれを作り出す製造側(メーカ)の方が旧来のやり方と構造にがんじがらめになって身動き取れてねーんじゃないかとか思った。

残響はともかく新しいやり方やスキームを生み出してアーチストが音楽だけで食べていける状況と循環を作り出しにはいわゆる音楽業界人じゃなくて、もっと別の業界からの視点で音楽産業を変えていくような新しい潮流が必要なんじゃないだろうか。

何が言いたいのかわからない文章になってしまったが、本しては割と軽くてサラッと読める感じでした。まあ無理して読むほどではないかも。

音楽ビジネス革命~残響レコードの挑戦~

エデン(新潮社) / 近藤 史恵

2010年09月13日 | BOOK/MAGAZINE
エデン
エデン
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エデン(新潮社) / 近藤 史恵

前作「サクリファイス」はロードレースと言う特殊な設定とそれを最大限活かしたプロットとラストの衝撃的でかつ胸に刺さる真相を知ると「サクリファイス」=「犠牲」というタイトルに込められた意味が最後にわかる素晴らしい構成で近年読んだ中でもかなり上位に来るほど好きな作品の続編。

今回は舞台をロードレースの絶対的最高峰のツールドフランス。実際に2009年には新城という選手が日本人としては十何年ぶりに出場して話題にもなりましたが、ヨーロッパでは絶大な人気スポーツのロード。

今作は正直前作のミステリ路線を期待して読むと肩透かしを喰らいますが、イチスポーツ小説として読むのであれば、そこそこ面白いです。他のスポーツには無い利他的なアシストというポジションの存在やチーム内の戦略や本来敵対するライバル同士の利害関係とリスペクトの混じった複雑で人間味のあるやり取りなどこの競技の奥深さを知ることが出来ます。

今回は主役の白石誓はむしろ物語のナビゲーターであり中心となるフランス人の新星ニコララフォンこそ主役なのかもしれない。物語の中盤の山岳ステージの白石誓との駆け引きとアシストとして白石誓が下した決断には前作のあの事件があったからなのか。個人的には今作の中で一番のシーン。

今作から読んでも支障は無いですがダンゼン前作「サクリファイス」を読んでから読むべし。なんかまた続きがありそうな気もする終わり方なんで次回作もあるのかな?ちなみに僕個人はママチャリすら乗りませんよ。