ハグハグの日々 Ⅳ  ~ 南日本海人、ライダー変身

ご訪問有難うございます。南日本海人、夏山裕のブログです。家族を愛し、人生に感謝して、日々をハグしながら送っています。

ゲゲゲの漫画家

2010年05月13日 | お気に入りの本・映画・アート
 というわけで、現在NHKで放送中の朝の連続テレビドラマ『ゲゲゲの女房』を見ている。
 水木しげるさんは昔からのファンだ。『ゲゲゲの鬼太郎』をはじめとする妖怪漫画が有名だが、私の好きなストーリーはそれとは別のものだ。もちろん、人間以外のもの、常識では計り知れないものが出てくるストーリーだが、『妖怪』という言葉でくくる概念ではない。
 科学や常識で測りきれない何かが、世の中には存在しているというのが水木しげるさんのテーマの根幹だと思う。
 であるから、一般に有名ではないが、妖怪マンガというよりも、ファンタジー的な、風刺マンガ的な作品の方が面白いと思う。以前にも書いたので、ここには書かないが。
 それはともかく、連続テレビドラマの話である。
 水木さん自身に興味があるので、このドラマも面白い。売れない変わったマンガ家がどのようにして人の心をとらえていったかが、よくわかるストーリーだ。
 水木しげるさんの奥さんが綺麗すぎるのは、まあ、よしとして、貧しい時代で理想に向けて、がんばっていった一組の夫婦の話として、目が離せない。
 最近の話としては、ほとんど前には出てこない、「貧乏」というものがかなり前面に出てくる。昔の人なら、このようなことには自然に共感できると思うが、若い世代にこの時代背景や、状況をリアルに納得させることはなかなか努力を要することだなあと思う。
 現在の日本社会には、「貧しさ」というものはもちろん存在するが、表に出てこない構造になっているように思える。
 このドラマのように、ある意味では「貧乏自慢」という感覚が、現代の日本では表に出しにくくなっているのではないか。昔の「貧乏」は、過程としてのそれであり、やがては人並み、一億総中流階級になる途中で若い人が通って行くものとして把握できたが、今の「貧乏」というものは、もっと救いのない、深刻な構造的な問題としてのそれであるように見受けられるからだ。
 簡単に言えば構造としての格差の問題だ。
 ただ、このマンガ家のテーマの真骨頂の部分は、そんな格差を通り越した、人間存在の不確かさ、そこから導き出される、人間への愛おしさであると思う。ある意味では、時代や世相を超えている。
 だからこそ、このドラマ、目が離せない。波乱万丈のストーリーではないが、諸行無常、理不尽な運命に翻弄されながらも、一生懸命、生きていく一組の夫婦を描いているドラマである。
 言ってみれば、人間の生き方の原点について、喚起を促してくれるストーリーなのだ。
 そう考えてくると、水木しげるというマンガ家、まことにもってただ者ではない。おどろおどろしい怪奇な情念をそこまで昇華してしまった作家であるのだ。
 

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