客観

　仕事でよそのおじゃますることがある。いろいろな家があり、インテリアなどもさまざまだ。
　先日おじゃましたところは、年配の女性のおたくだったが、スターのポートレートがそこかしこにおいてあった。
　韓国俳優の、私はよく知らないが、ぺ・ヨンジュンという人だと思う。この人、大ファンなのだろうなと思いつつ、部屋にそんなにぺ・ヨンジュンが飾ってある家を見たのは初めてだったので、おかしかった。
　おばさんのおっかけだろうか。まあ、誰をおっかけようと自由だが。そういえば、うちの女性陣も、玉木宏の大ファンだ。私は玉木宏と玉置浩二の違いがよくわからなかったが、最近は区別できるようになった。
　大人の女性が、映画スターやタレントのことで騒ぐのを見ると、少しほほえましく、楽しい。
　だが、待てよ。
　ここで私ははっとした。
　私が蒼井優の大ファンであることも、もしかしたらこういうことなのか。はたから見ると。おばさんがぺ・ヨンジュンのおっかけ風であることのように！
　ガーン！　そうだ、そうなんだ。蒼井優の大ファンのおじさんの私と、ぺ・ヨンジュンのおっかけのおばさんは限りなくイコールに近い存在なのだ。
　そう気づいて、顔面の毛穴が少しすぼまったような気がした。
　ぺ・ヨンジュンと蒼井優は次元が違うような気がする、と思って見てもそれは完全におじさんの錯覚だ。客観的には全く同じなのだろう。
　とほほ。