七曜工房みかん島

18年間の大三島暮らしに区切りをつけ、
滋賀大津湖西で、新たに木のクラフトと笛の工房
七曜工房を楽しみます

『一人で建てる木組みの家』 目次

2010年04月28日 | 『一人で建てる木組みの家』
[木造平屋] ブログ村キーワード

『一人で建てる木組みの家』のテーマ   記事投稿年月日  一覧

築100年の廃屋解体物語 2006-07-16

はじめに    2006-08-05

① どんな家を建てるか 2006-08-11
② 丁張り・基礎~ 2006-08-19
③ 丁張り・基礎 2006-08-26
④ 木材~ 2006-09-01
⑤ 木組み~ 2006-09-15
⑥ 墨付け 2006-09-29
⑦ 刻み 2006-11-23
⑧ 建前その1:土台の取り付け 2007-01-12
⑨ 建前その2;柱・梁・桁 2007-02-08
⑩ 建前その②続き:柱・梁・桁 2007-09-13
⑪ 建前その③:小屋組 2007-09-27
⑫ 屋根下地 2007-10-06
⑬ 屋根 2007-10-16
⑭ 外壁を張る前に 2008-04-12
⑮ 外壁 2008-04-20
⑯ 下水管の埋設 2008-04-25
⑰ 床板を張る前に 2008-05-01
⑱ 床板張り 2008-05-15
⑲ 階段他 2008-06-08
⑳ 木製建具 その1 2008-08-03
21 内壁その1 仕上げ 2008-09-11
22 内壁その2 (壁下地) 2008-09-20
23 内壁その3〈施工1〉 2009-01-04
24 内壁その4〈施工2〉 2009-01-05
25 押入れ 2009-01-09
26 土間 2009-01-11
27 風呂場 2009-01-19
28 設備 2009-01-21
29 建具その2 2009-01-28
30 雨樋 2009-02-24
31 破風 2009-02-26
32 薪ストーブ その1 2010-02-25
33 薪ストーブ その2 2010-02-26
34 棚 2010-03-10
35 汚れ落とし 2010-03-11
36 塗装・壁紙・障子 2010-03-22
37 完成その1 作業日数 2010-04-20
38 完成その2 建築費用 2010-04-22
39 完成その3 (住んでみて) 2010-04-25
完 目次                 2010-04-28


読売新聞 2008年6月6 日

付記 妻・ひろより

『一人で建てる木組みの家』を、木工作業場と勘違いて
「あの小屋で何を作ってるんですか?」と聞かれ
「あの~住んでるんですけれどぉ~」と、落胆したことがある。

やっぱり トタン屋根が災いしているようである。


真正面が、『一人で建てる木組みの家』
左は、以前住んでいた古家 今は農家喫茶ハーブ&クラフト・七曜工房 


ところが、
外観の質素さに比べ、いったん家の中に入った人は
吹き抜けの梁あらわしの豪快さや、木の贅沢さに驚き
「本当に、一人で建てたのですか」と感嘆して、誉めてくれる。

『一人で建てる木組みの家』は、
快適で、とても素晴らしい住み心地です。
多分、安心、安全であるとも信じています。

ヒノキの床は、
夏はひんやりと素足に気持ちよく
冬は、ホンワカ暖かいような気がします。
杉の壁や柱は
嫌な住まいの匂いを吸い込んで
家の中の空気をクリーンにしてくれているようです。

吹き抜け天井の高窓や大きな窓から見る
空や海や山は、広々としていて、
気分を開放的にしてくれます。
また、裏山が近くなり、
鳥や虫たちの気配をより間近に楽しんでいます。

しかし
この『一人で建てる木組みの家』の快適さは、
薪の調達をして、冬の暖房を確保してくれ、
キャットオウォークを歩いて高窓や梁を拭き、
木製建具の調整をしてくれる夫がいてのことです。


『一人で建てる木組みの家』は、こちらをご覧ください。

妻から「家作り実況版」は こちらを、ご覧ください。

 『一人で建てる木組みの家』インテリア編は、こちらをご覧ください。

以上の記事は、左サイド欄のそれぞれのカテゴリーからもご覧いただけます。
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『一人で建てる木組みの家』~39 完成その3 (住んでみて)

2010年04月25日 | 『一人で建てる木組みの家』
[木造住宅] ブログ村キーワード

1 夏が過ぎ 冬が過ぎ

2008年の6月に入居して 丸2年になろうとする。
 
瀬戸内というのは
前に住んでいた滋賀県の大津とは違って、 
ずっと暖かい所だと思っていたがさにあらず。

冬は氷も張るし、雪も降る。しっかりと寒いところだった。
夏は瀬戸内特有の夕凪で蒸し暑い。

それでも、全国的に見れば暑さ寒さも厳しくはなく、
穏やかなという表現があてはまるだろう。

夏 クーラーなしでも大丈夫! (もともとクーラーなしの生活だが)

毎日が夕凪とは限らず、涼しい風が吹くことの方が多い。
海の近くに建っているからで、
海から離れた山手側に住む人は、風がないと言っている。

2階の妻側にある3つの高窓が風を呼びこんでくれる。
開けると閉めるとでは大違い。
小屋裏に熱気が溜まるのを防いでくれる。
ガルバリウム鋼板の熱さは、2重野地板とこの高窓が防いでくれているようだ。

古家にも温度計を置いて比較してみたら、新家の方が2℃程室温が高かった。
大きな平屋の土壁と瓦屋根、そして瀬戸内向きの小屋裏の高い造りには負けてしまう。
それでも、2℃の違いなら頑張っている方だろう。

冬 暖房器具によるところが大きい。

今のところ、二冬が過ぎ薪ストーブが快調
熱効率を上げて薪を節約するために2階のロフトはカーテン布で締め切った。
当初は薪ストーブに加え、電気こたつも置くつもりであったが、使っていない。
部屋全体が暖まるのに時間がかかるが、輻射熱があるから、
ストーブのそばへ行けば、充分に暖かい。
朝起きた時も、ストーブの火はないものの部屋全体はほんのりと暖かい。
ストーブの排煙排気は、煙突があるので、室内の空気はクリーン。


リビングから、東妻の3つの高窓を見る


リビングからロフトを見る


ロフトへの階段

2 風

ここの土地で一番恐れている台風はその後(2004年)来ていない。
冬こそ、風速10mという強い風が吹くが、
それ以上の風は、まだ経験していない。
ずっと来て欲しくない。


3 地震

2006年に建前が済んで貫を入れた後に、震度4の地震がきたが異常がなかった。
その後地震はない。
これも、ずっと来て欲しくない。

4 雨

雨洩りはない。
「トタン屋根は、雨音が大きいだろう」とよく言われるが、雨音はほとんど気にならない。
とても激しい雨ならともかく、普通の雨足では耳を澄まさないと分からない程。


ロフトの西側妻の3つの高窓


収納スペースは、南と北側にカーテンで仕切った


一応 書斎机


本棚 本棚 本棚 のロフト


5景観

古家よりも海岸から距離が遠くなったが、地盤高と床高が高くなって、
目線が上ったので、以前よりずっと眺めが良くなった。
また東側に窓がたくさん出来たため、視界が広がった。
今まで見えなかった日の出が見られる。
夜には、満月が窓にポッカリと浮かぶ。
また夏になると、隣の島の花火が窓の中で打ち上がる。


リビングから見える海


東窓から見える日の出


東妻の天窓に浮かぶ月


隣の伯方島の花火が窓から見れる


6 機能

間取りや動線に問題はない。ワンルームのリビングダイニングは、
寝る以外はほとんどここに居る。
もともとそうしたかったせいもあって、とても快適。
収納は今のところ足りている。
ロフトには、まだ収納余力がある。


ロフトからリビングを見る


ロフトからキッチンを見る


ロフトから妻の高窓のメンテナンス用のキャットウォークへ


小屋裏の梁現しの様子

7 家の様子
 
・夜になると、材木が乾燥してひび割れる音が、ピシッピシッと鳴るのが、
 時々聞こえてくる。

・外壁の杉板は、張った当初は源平の赤白の鮮やかさがあったが、
 3か月程で赤太も白太もうす黄色くなり、その後うす茶色になった。
 現在は、東壁は、アンバーのきれいな赤茶色になっているが、
 雨のよく当る西壁は、黒く薄汚れている。


ドアノッカー ハートでノック




土間玄関 換気孔 カリと月 波のくり抜き模様


土間玄関しっくい壁の おはじき装飾


5匹の猫のハンガーフック



5羽の鳥のハンガーフック


8 不都合なところ

厚さ38㎜の床板が幅方向に乾燥収縮して、平均2~3㎜のすき間ができている。
広いところでは、7㎜もあいてしまっている。
本実の長さが8㎜だからもう掛かり代が1㎜しかない。
昔は仮止めしておいて、何年かして収縮が収まればすき間を寄せて本止めしたらしいが、
柱や小屋束回りの加工があったり、炉台がのったりするのでそうもいかず
せいぜい5㎜までの収縮と読んでいたが、かなりの収縮だ。
また板角の糸面取りを忘れていたところがあって、
そこへ足裏がのるととがった角が痛い。
板壁の方は、1㎜そこそこで広くても2㎜ほどのすき間なので、ほとんど気にならない。
床板の方は、もう少し様子を見る他ない。

建具は、材が建具用材ではないので、
乾燥により反りやひずみがかなり出ると思っていたが
今のところ、3枚程の横框を削って直しただけ。
あと1枚は、柱とのすき間があったので、縦框を削って直した。

風呂場のステンレス浴槽の伸縮によるものと思われる、
タイル1枚のひび割れと目地のはがれ2箇所

石灰モルタル壁
壁1枚にヘアクラックが数箇所。しっくい壁は異常なし。


天窓自動開閉器


木製シンプルカーテンフック


カタツムリのカーテンレールアクセサリー


タコとカブラをデザインしたトイレットペーパーホルダー


タコのバスタオル掛け


鳥のタオル掛け


サギの洗面所の棚


キッチン調理器具のハンガーフックと出窓のすのこ



9 総合評価
 
現時点では、ほとんど問題はなさそうだ。快適そのものだ。
これから5年10年と経ち、自然の猛威も受けていくとなるとどうなるか分からないので、
その度に持ちこたえてくれと祈るだけである。
とにもかくにも完成おめでとう。



『一人で建てる木組みの家』断面図




一人で建てる木組みの家』のこれまでは
 こちらをごらんください。 
  
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『一人で建てる木組みの家』 ~38 完成その2 建築費用

2010年04月22日 | 『一人で建てる木組みの家』
[建築コスト] ブログ村キーワード

1 建築費用 
 
建築費の総額は、 5,400,000円である。
 自分自身の人件費は含まれていない。
 
内訳は、
 材料費が、   4,740,000円(88%)
 依頼工事費が、  660,000円(12%)
 である。
 
一人で建てると言いながら、
依頼工事費が12%を占めるのは、少し悔しい気がする。
一坪当たりに換算すると、5,400,000円÷20坪で、270,000円となる。
(ちなみに、住宅の標準コストというのはどれ位なのか、調べてみた。
 
少し古いが、10年前の「積算ポケット手帳」によれば、
木造在来軸組工法の家は、坪当り656、000円となっていた。)
 270,000円/坪は、低価格でできたのかどうか、
自分自身の人件費をいくらとみて、
上乗せするかによって大いに変わるだろうから、
安くできたのか高くついたのかは、判断に困るところだ。

しかし、
材料選択の努力や出来上がった木質空間に自分が大変気に入っていることからすれば、
大いに安く仕上がったというのが、自分自身の実感だ。

この5,400,000円という数値は、
当初、「自分で家を建てるとしたらいくらぐらいかけられるか」と考えた数値
5,000,000円とほぼ一致する。
自分としては、予定通りと言える。


土間  左カーテンはサニタリーへ 右ガラス付き引戸を開けるとリビング 
     中央の木製扉を開けると、階段下収納庫  

洗面所 右引戸はトイレへ


トイレ


洗面所の左は風呂場

階段下収納


土間玄関からリビングへ

2 材料費の中心は?
 
材料費を多い順に並べると、
 木材     ~ 59%
 設備機器  ~ 11% であり、あとは5%にも満たない。
 
この材木と設備機器と依頼工事とで総額の8割以上を占める。
木材の59%はどうか。
在来工法の木造家屋では施工手間も含めた木工事費が、
総額の30%程であることからすれば
59%は高比率だ。
木作りの空間を証明していると言える。


リビング東腰高窓


りビング南掃き出し窓


リビング南東角は 薪ストーブコーナー


リビング北掃き出し窓


ガラス付き引き戸の向こうは、土間


カーテンを開けると食品収納庫


間仕切り家具の向こうはキッチン


リビング西側  引き戸は土間へ 障子戸は寝室へ


障子戸を開けて、リビングから寝室を見る


寝室 2間の押入れがある


2間の押入れ 1間は洋服ダンスに 1間は布団を収納


3 思わぬ量の材料  

建築費用の総括表を作るのに、
購入した材料の数量や金額を拾っては集計していって驚いた。
 
作業している時には気付かなかったが、
終わって集計してみて、その材料の数値の大きさに驚いた。
 
 ・石材   ~  10t    よくぞ積んだものだ。
 ・砂    ~  3t 
 ・セメント ~  1,7t     よくぞ練り混ぜたものだ。
 ・タイル  ~  2,000枚   よくぞ張ったものだ。
 ・釘    ~  80kg    よくぞ打ったものだ。
 
どれも、金額的には、大したものではないが、その数が多かった。
毎日の積み重ねは、すごいものだ。
延々と続く作業は、一度やり始めたら、結構没頭してしまうものだが、
やがて腰が、足が、手が痛くなってきたらやはりつらくなってくる。

続けるコツは、先を見ないことだ。
残りの作業量を考えると力が萎える。
近い目標を決めて、一歩ずつ進むしかない。


リビングからキッチンを見る


間仕切り家具からキッチンを見る


流し台


調理台


キッチンよりリビングを見る


間取り図

付記  妻・ひろより

なかなか出来上がらぬ「一人で建てる木組みの家」には、
「いつから入居ですか」と固定資産税課の市の職員の人が
度々訪ねに来られた。

こちらとしても、心積もりがあるので、
「どれ位の税金がかかるのですか」と
お尋ねすると

なんと
「ハッキリしたことは分かりませんが、○○円ぐらいかも」
「堀内さんの家は、ムク材の本格木造軸組ですし、相当かかるかもしれません」
との返答でした。

「えっ ムク材って、構造材節だらけのスギ材です。
 それに、断熱材は、入っていないし
 屋根は、トタンですよ鶏小屋と同じトタン屋根

 上等の木造建てと評価してもらったのは、嬉しい。
 しかし、税金が高くかかるのは、とても困る。

ここぞとばかり、
 いかに安モンの材を使っての『木組の家』であることを力説する妻でした。



一人で建てる木組みの家』のこれまでは、
こちらをご覧ください。
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『一人で建てる木組みの家』~37 完成その1 作業日数

2010年04月20日 | 『一人で建てる木組みの家』
[木造平屋建て] ブログ村キーワード

1 着手から完成まで
 
2005年3月に着手してから
2008年6月に完成するまで、3年3か月を要した。
当初は1年で建てるという意気込みだったが、大幅に遅れてしまった。
家作りに大方の時間を割くつもりであったが、
みかんの生産販売、野菜の自給、木工等の
生計にかかわる仕事をやりながらでは、
そうもいかなかった。
それでも、1日の3分の2程は、家を作っていた感じがする。


南側外観
 
 その日の作業内容と作業時間を記録しておいたので、
1日を8時間として換算すれば、
延べ480日を家作りに費やしたことになる。
3年3か月の40%程で、実際は半分足らずだった。
いつも家作りのことが頭にあったから、気持ちとしては、
3分の2程も家作りをしていたように思えたのだろう。
毎日家作りだけをしていても480日かかったということだが、
この480日というのは、工期としてはどうなのだろうか。
プレハブなら、3か月程だが、
そうでなければ半年というのが一般的な工期とすれば、
3倍程かかっている。
ただし、どのような家をどこまで手作りするかによって
この数値は大幅に違ってくるだろう。


東側外観


タコの家紋 タコ供養を兼ねた妻飾り 東側の破風に取り付けた

2 時間がかかった工種

各工種の中でも時間がかかったものを順に並べると、

1番目 構造材の刻み ~  77日(16.0%)
2番目 建具作り   ~  66日(13.8%)
3番目 内壁     ~  56日(11.6%)
4番目 基礎     ~  53日(11.1%)
5番目 外壁     ~  45日( 9.4%)
6番目 内部造作   ~  35日( 7.4%)
・・・・となる。

こうして順に並べてみると、確かにその作業をやっている時は、
延々と同一作業が続き、いつになったら終わるのやらという
進捗度の遅さにあせったものだ。
しかし同時に、この延々と続く作業を着実にこなさなければ
家は建たないのだぞと自分自身に言い聞かせてもいた。
家作りは根気に尽きる。

工期の短縮をはかるということを重視するなら、工法を変えれば良い。
たとえば、
構造材の刻みをほとんど必要としない2×4工法にする。
建具は、木製の手作りをやめて、アルミサッシに変え、
基礎は、石積みをやめて、型枠のコンクリート基礎に変える。

この3工程が約200日近くかかっているので、
このように変更することで、100日は短縮できのではないか。
この他にも、
内壁の板壁を、ボードのクロス貼りにしたり、
外壁の板壁を、サイディングに変えれば、
ずっと早く仕上がるだろう。

こうすると、なにやら、
この頃よく見かける在来工法の家と同じだなあ。


北側外観

3 難しかった工種

1)木工

木造の構造的な考え方、組手や継手の刻み、造作の加工組立てなどは
とても難しかった。
家具作りや小物の木工品作りで経験してはいるものの、
規模が違うと、考え方を全く変えねばならないところもある。
しかし、これを本で調べたり、人に尋ねたり、
最後は大抵自分で考えて収めることが多かったが、
この解決(果たして解決できているのかどうかは、自分だけがそう思っているのだが)
へ至る道のりがとても楽しかった。

2)建前

最もやりたかったこの作業。
果たして一人できるのかどうかとても不安だった。
高所恐怖症に耐えながらの作業はとても難しかった。
思うように身体が動かず、力も入らない。
少しずつ慣れていったが、高い所は今もってのぼりたくない。
しかし、建前を終えることができた充実感ほど素晴らしいものはない。

3)左官

コテで塗るという作業がこれ程難しいこととは思わなかった。
いくらかは経験しているのだが、広い面積の壁を真平に凸凹なく塗るということが
何と難しいことか。
作業というのは、しばらく続けてやれば次第に慣れてうまくできるようなるのだが、
この左官だけは最後までうまくできなかった。
昔は左官職の腕前というのは、
中学校を出てからすぐ弟子入りしないと身につかないのだということを
本で読んだことがあるが、まさにそうだと実感した。


西側外観 


チヌの妻飾り 西側破風に取り付けた釣り祈願である。 


4)「一人で建てた」か?

ここ大三島に来る前には、様々なライフスタイルを考えていた。
食料の自給はもちろん、雨水を飲料や生産に活用し、
自分の排泄物は自分で処理活用し、
光や熱のエネルギーは自然力から引きだすという、
パーマーカルチャー的生活が中でも一番興味を抱いたし、
今でも憧れている。

そのため、家くらいは自分一人で建てなければという思いで建てようとした。
しかし、これまでに都会生活の利便性にとっぷりと漬かってきた人間の弱さのせいか、
妻の強い要求もあって、
明るい電灯や蛇口をひねればいつでも湯が出るというライフスタイルも捨てがたく、
設備の一部は専門の業者に依頼することになった。
それを除けば、ほぼ自分一人で建てたと言える。

ほぼというのは、時々妻に手伝ってもらったことがあるからだ。
測量の時の巻尺持ち。コンクリートへの墨打ち手伝い。建前の時の滑車のロープ持ち等。
二人でなければどうしても出来ない作業の時であり、
力は必要ないが、もう一人居ればとても作業がスムーズにいくという時に手伝いを頼んだ。
頼んだ作業が単純なためか、
時々頼んだ作業以外のことに気を取られたりする多動症的性格が現れたりして、
少々安心しかねるところもあったが、何とか無事こなしてくれて大助かりだった。


木製建具の玄関扉 


照明をつけた夜の玄関扉


一作業が終わり、次の作業へ移る時には、妻の意見を仰いだ。
二人で住む空間なので、違う視点からの意見が欲しかった。
また問題が生じた時に頼りにはならぬだろうと思いつつも、
妻の意見を聞いた。これが意外に前進的な意見であることが多かった。
そして、今書いているこのブログは、妻が写真を撮り、
小生の汚いノートを見つつタイピングをしてくれている。

労力的には、数パーセントだが、心情的には相当な比重を持つ妻の助けであり、
半人前分ぐらいの力はあったが、『一人半で建てる』というのもおかしいので、
『一人で建てる』ということにさせてもらうことにする。


玄関扉を開けると、作業スペースを兼ねた土間であり接客スペースでもある玄関がある。


リビングから土間を見る




「一人で建てる木組みの家」のこれまでは、こちらをごらんください。

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