七曜工房みかん島

18年間の大三島暮らしに区切りをつけ、
滋賀大津湖西で、新たに木のクラフトと笛の工房
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『一人で建てる木組みの家』~37 完成その1 作業日数

2010年04月20日 | 『一人で建てる木組みの家』
[木造平屋建て] ブログ村キーワード

1 着手から完成まで
 
2005年3月に着手してから
2008年6月に完成するまで、3年3か月を要した。
当初は1年で建てるという意気込みだったが、大幅に遅れてしまった。
家作りに大方の時間を割くつもりであったが、
みかんの生産販売、野菜の自給、木工等の
生計にかかわる仕事をやりながらでは、
そうもいかなかった。
それでも、1日の3分の2程は、家を作っていた感じがする。


南側外観
 
 その日の作業内容と作業時間を記録しておいたので、
1日を8時間として換算すれば、
延べ480日を家作りに費やしたことになる。
3年3か月の40%程で、実際は半分足らずだった。
いつも家作りのことが頭にあったから、気持ちとしては、
3分の2程も家作りをしていたように思えたのだろう。
毎日家作りだけをしていても480日かかったということだが、
この480日というのは、工期としてはどうなのだろうか。
プレハブなら、3か月程だが、
そうでなければ半年というのが一般的な工期とすれば、
3倍程かかっている。
ただし、どのような家をどこまで手作りするかによって
この数値は大幅に違ってくるだろう。


東側外観


タコの家紋 タコ供養を兼ねた妻飾り 東側の破風に取り付けた

2 時間がかかった工種

各工種の中でも時間がかかったものを順に並べると、

1番目 構造材の刻み ~  77日(16.0%)
2番目 建具作り   ~  66日(13.8%)
3番目 内壁     ~  56日(11.6%)
4番目 基礎     ~  53日(11.1%)
5番目 外壁     ~  45日( 9.4%)
6番目 内部造作   ~  35日( 7.4%)
・・・・となる。

こうして順に並べてみると、確かにその作業をやっている時は、
延々と同一作業が続き、いつになったら終わるのやらという
進捗度の遅さにあせったものだ。
しかし同時に、この延々と続く作業を着実にこなさなければ
家は建たないのだぞと自分自身に言い聞かせてもいた。
家作りは根気に尽きる。

工期の短縮をはかるということを重視するなら、工法を変えれば良い。
たとえば、
構造材の刻みをほとんど必要としない2×4工法にする。
建具は、木製の手作りをやめて、アルミサッシに変え、
基礎は、石積みをやめて、型枠のコンクリート基礎に変える。

この3工程が約200日近くかかっているので、
このように変更することで、100日は短縮できのではないか。
この他にも、
内壁の板壁を、ボードのクロス貼りにしたり、
外壁の板壁を、サイディングに変えれば、
ずっと早く仕上がるだろう。

こうすると、なにやら、
この頃よく見かける在来工法の家と同じだなあ。


北側外観

3 難しかった工種

1)木工

木造の構造的な考え方、組手や継手の刻み、造作の加工組立てなどは
とても難しかった。
家具作りや小物の木工品作りで経験してはいるものの、
規模が違うと、考え方を全く変えねばならないところもある。
しかし、これを本で調べたり、人に尋ねたり、
最後は大抵自分で考えて収めることが多かったが、
この解決(果たして解決できているのかどうかは、自分だけがそう思っているのだが)
へ至る道のりがとても楽しかった。

2)建前

最もやりたかったこの作業。
果たして一人できるのかどうかとても不安だった。
高所恐怖症に耐えながらの作業はとても難しかった。
思うように身体が動かず、力も入らない。
少しずつ慣れていったが、高い所は今もってのぼりたくない。
しかし、建前を終えることができた充実感ほど素晴らしいものはない。

3)左官

コテで塗るという作業がこれ程難しいこととは思わなかった。
いくらかは経験しているのだが、広い面積の壁を真平に凸凹なく塗るということが
何と難しいことか。
作業というのは、しばらく続けてやれば次第に慣れてうまくできるようなるのだが、
この左官だけは最後までうまくできなかった。
昔は左官職の腕前というのは、
中学校を出てからすぐ弟子入りしないと身につかないのだということを
本で読んだことがあるが、まさにそうだと実感した。


西側外観 


チヌの妻飾り 西側破風に取り付けた釣り祈願である。 


4)「一人で建てた」か?

ここ大三島に来る前には、様々なライフスタイルを考えていた。
食料の自給はもちろん、雨水を飲料や生産に活用し、
自分の排泄物は自分で処理活用し、
光や熱のエネルギーは自然力から引きだすという、
パーマーカルチャー的生活が中でも一番興味を抱いたし、
今でも憧れている。

そのため、家くらいは自分一人で建てなければという思いで建てようとした。
しかし、これまでに都会生活の利便性にとっぷりと漬かってきた人間の弱さのせいか、
妻の強い要求もあって、
明るい電灯や蛇口をひねればいつでも湯が出るというライフスタイルも捨てがたく、
設備の一部は専門の業者に依頼することになった。
それを除けば、ほぼ自分一人で建てたと言える。

ほぼというのは、時々妻に手伝ってもらったことがあるからだ。
測量の時の巻尺持ち。コンクリートへの墨打ち手伝い。建前の時の滑車のロープ持ち等。
二人でなければどうしても出来ない作業の時であり、
力は必要ないが、もう一人居ればとても作業がスムーズにいくという時に手伝いを頼んだ。
頼んだ作業が単純なためか、
時々頼んだ作業以外のことに気を取られたりする多動症的性格が現れたりして、
少々安心しかねるところもあったが、何とか無事こなしてくれて大助かりだった。


木製建具の玄関扉 


照明をつけた夜の玄関扉


一作業が終わり、次の作業へ移る時には、妻の意見を仰いだ。
二人で住む空間なので、違う視点からの意見が欲しかった。
また問題が生じた時に頼りにはならぬだろうと思いつつも、
妻の意見を聞いた。これが意外に前進的な意見であることが多かった。
そして、今書いているこのブログは、妻が写真を撮り、
小生の汚いノートを見つつタイピングをしてくれている。

労力的には、数パーセントだが、心情的には相当な比重を持つ妻の助けであり、
半人前分ぐらいの力はあったが、『一人半で建てる』というのもおかしいので、
『一人で建てる』ということにさせてもらうことにする。


玄関扉を開けると、作業スペースを兼ねた土間であり接客スペースでもある玄関がある。


リビングから土間を見る




「一人で建てる木組みの家」のこれまでは、こちらをごらんください。

コメント
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