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七曜工房みかん島

18年間の大三島暮らしに区切りをつけ、
滋賀大津湖西で、新たに木のクラフトと笛の工房
七曜工房を楽しみます

一人で建てる木組みの家~⑥墨付け

2006年09月29日 | 『一人で建てる木組みの家』
1.やはり加工図は必要
墨付けとは、木材の継手や組手の加工をする時に切断線や番付けを印すことをいう。組み上げていく順に墨付けと刻みを行うことにして、土台から始めようとした。既に作成しておいた平面図や伏図という図面を見ながら一本一本の土台に墨付けをしようとしたが、頭の中が混乱して墨付けできない。家具作りの時は板材や角材の一枚一枚の図面(施工図)を作成してそれに従い墨付けするものだが、家作りではそれ程の必要もないだろうとタカをくくっていたら、とてもとても難しい。結局一本一本の加工図を作成することにした。加工図を作成する時に充分に考えておけば、あとは考えることなく機械的に加工図に従って墨付けしておけば良いし、その方が間違いない。ただ加工図の作成には部材ごとに1日~2日程も日数がかかる。それでも柱材の墨付けの時には加工図が大いに力を発揮した。上枘と下枘の他に貫穴の加工があるため、柱一本と言えど、何箇所も同じ様な加工があり、図面がなければとてもスムーズには墨付け出来なかっただろう。

加工図


2.番付け~いの一番はどこ?
第一番のことを「いの一番」と言うがこれは建築の番付けから来ている。家を真上から見た時、柱の位置を現すのに、縦横軸にいろは・・の文字と一二三の数字が用いられ「いの一番」であったり「ろの3番」であったりする。この「いの一番」の位置を左上角にすれば下がり番付け、右下角にすれば上がり番付けと言うそうで、どちらを使っても良いようである。しかしどちらもピンと来ない。これを受験勉強で悩まされた数学のXY座標と考えればとても解り易いではないか。ということなら「いの一番」は(0.0)の点の位置である左下角になる。これなら考え易い。

るの5(左~土台の柱枘穴と蟻溝、右~鎌継手)


ろの4(ネコ土台と土台へ差し込まれた長枘込栓打ち)


るの9(土台のコーナー部分 柱枘穴は片鎌となっている)



3.墨つぼ、墨さし
材木に印や文字を書くには墨つぼと墨さしを使い、直線を書くには墨糸を使う。これはすばらしい発明品であり、いかにも日本人的で私はとても好きだ。昔の大工はこの墨つぼを欅の木を使って自作したそうだが、私は残念ながらプラスチック製の市販品。いつかは立派なのを彫って見たいと思っている。墨さしだけは、自分で真竹を削って作った。線を引く方は先をヘラ状にして細く割き、文字を書く方は丸棒にして先を金槌で叩いて筆のようにする。どちらも使い易いようにするには、なかなかの工夫が必要だ。何度も削り直しては使い、ようやく手に馴染むようになったと思う頃には墨付けはもう終わる間際だった。

墨つぼ 墨さし


4.中心線は必要か?カーペンター定規の威力
建築の図面表示は土木とちがって、すべて中心線表示である。中心線がとても大事なのである。だから墨付けは先ず材木の中心線を墨糸で打つところから始まる。その中心線を基準にして、仕口の形態を描く。材の表と裏に中心線を引く作業は中々大変だ。材が反っていたら反りに合わせて中心線を途中で折る。
もし、いつでも材の中心位置を出すことのできる定規があれば、中心線を出すことも必要なくなる。そんな定規があるのか。カーペンター定規というのがそうだ。この定規を本で見た時はその仕組みにとても感動した。とても簡単な仕組みだが思いついた人は大した知恵者だ。本の写真を見ながらナラ材で自作して使ってみたら、とても便利だった。これを使うことで中心線を引く作業はやらなくて済んだ。製材した角材だけを使う限りはカーペンター定規だけで事足りる。しかし梁材にマツ丸太を使うような場合には中心線は必須であるが。

カーペンター定規


付記・妻ひろより

昨年(2005年)9月末に家の骨組の材木が搬入され、
その材木を加工後、組み始めたのは今年の(2006年)4月中旬であった。
その間実に7ヶ月間も、
夫は黙々と、材木に印を入れたり、刻んだりしていたようである。
最も、みかんの収穫や宅配があり、家作りは中断したが。
いったい夫が、7ヶ月間も、家作りの過程で何をしていたのか、
妻・ひろは何も思い出せない。
せめて写真でも見て思い出そうとしたが、
作業風景写真さえもほとんど撮っていない。
そういえば、「墨付けのため、手を真っ黒にしていたな」
と思い出す程度である。
今文字打ちをしていて、
夫が、地味で面白くない、家の下ごしらえの仕事を、延々としていた
ことがやっと解った。
ただ、「いの一番」と言われても調味料しか思い浮かばないし、
XY座標など、なんのことやら・・・・・・

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9月のみかん畑

2006年09月27日 | 無農薬みかん栽培
私は、いつも、菜園やハーブ畑で草取りばかりしている。
だから、我家の前を通る人は、声を掛けていく。
「草がようとれら~~」「草は休みなしじゃけんね」

台風13号は、かろうじて大三島を避けてくれたものの、
強風でみかんが枝などにこすれて風傷が随分できた。
「台風13号の影響の風傷により、潰瘍病が発生しやすくなっています。
○○の薬を撒いてください」という農協の放送が聞こえてきた。

さあ~我家は薬を撒かないから、ちゃんとみかん畑の草刈をしなくては。
そして、病気や害虫などで汚いみかんをちぎる摘果作業をしなくては。
9月が仕上げ摘果である。

みかん畑には、ルコウソウ、ツユクサ、朝顔、待つ宵草など、
可愛くてきれいな花もいっぱい咲いている。
でも、これが油断していると、みかんの木に登りつき、
みかんの実を覆ってしまい、病気の源になる。


9月中旬のみかんの様子 
これから実が太り、病気にもならず、順調に育ってくれるといいけれど。


汚すぎるみかん小さすぎるみかんをちぎる。
みかんの摘果はすごく迷う。
今年は裏作だし、摘果しすぎると実が大きくなって味ボケするし・・


小さくて、汚い伊予柑やはっさくは、思い切ってちぎる。
伊予柑や八朔は、沢山実をならすと、大きくならないので、いっぱい摘果した。



草刈の終わった伊予柑畑の様子


草刈が終わり、きれいになったみかん畑を見て、
黄色いおいしそうなみかんがなる様子を思い浮かべた。
そして、いのししのことも思い出した。
最近大三島では、去年の山火事で山から逃げてきたいのししが
農作物を荒らしている。
みかん畑でも、実だけでなく、夏にもみかんの木の根を掘って
蝉の幼虫を食べるらしい。
我家も、去年は、下に垂れ下がっているみかんをいのししに食べられた。
農薬を撒いていないので、いのししの好きなセミの幼虫や
その他の虫もいっぱい土の中で育っているであろう。

 「いのしし、大丈夫かな。うちのみかん畑は山に近いし。
   ○ちゃんとこは、いのししが何回も、根を掘ってみかんの木が枯れたから、
   放棄するんやて」

「うちの畑は雑草の根が張っているから掘り難くくて、
   いのししもあきらめるやろ。下枝は病気になり易いから、
   全部剪定や摘果したし、上の高い所の実まではいのししには届かへんやろ」
 夫のお気楽な推察によると、
   除草剤を撒いて雑草の生えていない土だけの方が、
   いのししにはとっては、掘り易いそうである。

 しかし、いのししは、どんどん増え続け、おまけにすごく賢いらしい。
   噂によると、母親いのししが、後ろ足で立ち上がり、
   前足で高い所のみかんの枝を折り、子供いのししに、
   みかんを食べさせてやるらしい。
 
  2年前、みかんの木に接木したレモンの枝が伸び
   レモンの実をつけていた。
   右は、みかんの枝なのでみかんの実をつけている。


 摘果したみかんや伊予柑や八朔を持ち帰り、みかん風呂にした。
  摘果みかんのみかん風呂や、果汁はアレルギーに効くらしい。

 摘果みかんや伊予柑の果汁を、当分は酢の代わりにいっぱい使おう。

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神社総代って?

2006年09月25日 | 大三島での生活
台風第14号ヤギも日本のはるか東に去っていってくれた。
「次の大潮っていつ?10月の潮の高さはどうやろ」
と次の台風襲来を心配して聞いたのに、

夫は潮時表を見るや
「おっ、今日が9月の大潮最後の日や。釣りに行かな。夕方えさ堀りして夜釣るわ」と宣言した。
というのは、夫は地域の神社総代という役を引き受けた為、
これから3週間ほどは秋祭り開催の相談やら練習に毎晩出かける用事があり、
夜釣りが楽しめないからである。
最後のチャンスと慌てたようである。

釣果は 小さなアナゴ1匹、中ぐらいのチヌ1匹、ノークリ(サメ?)2匹 であった。
このサメ ? ノークリ かなり気味が悪い。
魚河岸屋のDちゃんに聞くと点々のあるノークリは、刺身として食べ高級魚らしい。



小さなアナゴだが、今年初釣りである。
食べ足らず不満で「次のアナゴはいつ食べれる?」と聞く。


期待の恐ろしい初体験のノークリの刺身「サメを食べるなんて!」とびくびくもの


ノークリの刺身は実にトロ~リとして美味しかった。絶妙な舌触りでした。
チヌは鯛めしにしたが、炊飯器の中でくちゃぐちゃに混ぜ、写真撮り忘れ。

さて、24日は早朝7時から、2週間後の秋祭りに備えて、”注連おろし”である。
組長みんなで、用意した稲藁で大きな注連縄(しめなわ)を作り、
神社の鳥居の上の古い注連縄を、毎年新しく取り替える行事である。
小さな注連飾りも大きな縄ないも、誰もが上手にするのに驚く。
縄をないながら、「昔は自分の藁ぞうりはみんな自分で作ったもんじゃ」と話す。

組長全員で作る大きな注連飾り、何年間に一度順番に回ってくる役目であるので、
それぞれが思い出しながら、教えあいながら、3時間足らずできれいに仕上がった。


いろいろな所に飾る小さな注連飾りを作る。


神社総代というのは、昔なら、多分お金持ちがする名誉職であったはずだが・・
瀬戸の氏神様である瀬戸神社のお世話をする役目で、
一番の大仕事は秋祭りである。

忙しくて大変ということで、なり手がなく、
元公務員の夫なら「読み書きもそろばんも達者じゃけん」ということで、
神社会計の役に白羽の矢?が立ったらしい。

みんなから「よう引き受けたな」と驚かれるが、
「何も知らずに引き受けた」と答える。
2004年の台風16号の床下浸水で助けに来てくれた組長さんたちから、
「お願いします」と頼まれた為,断れなかっただけで、
任期3年というのも知らなかった。

今年は2年目、地域にも馴染み、いろいろなことが解り、
忙しいけれど、まあ、引き受けた良かったかも・・・・
お祭は楽しいからね。
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一人で建てる木組みの家~⑤木組み~

2006年09月15日 | 『一人で建てる木組みの家』
1.金物類は使わない 
 “安心して住める家”は地震や台風に強くて丈夫でなければならない。そのためには、軸組みの家では骨組がしっかりしている必要がある。骨組をしっかりさせるためには、どのように木を組むのかが重要になってくる。
 木と木を長手方向に継ぐのを継手、十字や丁字に組み合わせるのを組手といい、両方をあわせて仕口と呼ぶ。この仕口の補強に現在では、ボルトや金物が使われているのが大半である。ボルトや金物の使用を前提とした仕口ではなく、もう少し高度な仕口構造とし、ボルトや金物の替わりに込栓や楔を使えば現在の金物重視の家よりも丈夫な家ができるようだ。釘を一本も使っていない家という言われ方をすることがあるが、これがそうだ。一昔前の家は皆そうだった。大工技量の低下や施工のスピードアップを図るために金物重視に変わってしまったと本には書かれているがそうは思わない。金物を使えば仕口は少しは低ランクの仕口でよいだろうが、ボルトや金物を取り付ける手間が追加されればそれ程スピードアップが図れるわけでもない。大工技量は金物を使うようになって低下したのであって因果が逆である。
 実際に自分で材木を刻んでみて、加工が難しくて困ったということはなかったし、楔や込栓を作る手間はかかったが、これだって大工ならまたたく間に作りあげるだろう。全体的にも刻みにかかった時間は大変長かったが、熟練した大工なら私の半分の時間で仕上げることだろう。
ボルトや金物は木が乾燥すれば必ず緩んでくるし、錆びにも弱い。木だけで組む方が、断然丈夫で長持ちするようである。

垂木までの骨組が完了したところ(2006年5月9日)


木組みに使った込栓と楔の総て(2006年4月3日)
金物類に替わるこれらの小さな接続木具類が家の強度を高めてくれるはず


2.土台
土台は地表面近くで木を横に寝かすことから腐朽に注意しなければならない。この土台方式は、城を石垣の上に建てる頃から使われたらしく、工期短縮を図るための方式だったようだ。木の本来の使い方からすれば、独立基礎の上に直接柱を建てる方がずっと良いに決まっている。だがこの方式は手間や技術の点から私には適わないと、土台方式を採ることにした。土台と柱の組手は、長柄差しの込栓打ち又は片鎌長柄差し楔止めとした。

土台の仕上がり ネコ土台も見えている (2006年4月18日)


3.折置組
 柱と梁と桁が組み合さる場合、大きく分けて京呂組と折置組という二つの方法がある。
京呂組が一般的であるが、ここでは折置組とした。
金物類に頼らないとしたら、柱のてっぺんに加工した重ね柄で梁と桁を貫く折置組が明らかに強いと思ったからだ。間取りの自由度から選ぶなら京呂組らしいが、私は強さを求めた。また引き抜き対策として重ね柄それぞれに割楔を打った。

柱の頂部の重ね枘 (2005年11月13日) 
30㎜角の先の方はいかにも細くて心もとないが、がっちりと組まれれば一体となって十分に強度を発揮してくれるようだ


折置組 柱の重ね枘に一段目の梁が載ったところ。この上に桁が載ってくる (2006年4月22日)


柱に梁を載せて楔を打ち込んだところ (2006年4月22日)



4,渡り顎
 梁と桁が十字に組み合さる時は渡り顎とした。一種の相欠き組みである。緊結度を高めるために柱のないところには雇い太枘(ダボ)を打った。下の梁側は地獄枘とし上の桁側は割楔打ちとした。

渡り顎 桁と頭つなぎの渡り顎 (2006年1月6日)



5.厚貫
 壁補強には筋違いを入れずに厚貫の貫構造とした。粘りのある構造で、一挙に倒壊はしないようである。当初、壁は落し板壁工法を検討していたが、壁の強度を出すためには、落し板を金物の長ボルトで締め付けねばならないし、柱への溝加工が大変そうなのでとりやめた。
 貫はごく普通に使われているが、厚貫(t=30㎜)ではなく12~15㎜の薄い貫材を使用し、構造材というよりは壁の下地材的な役割を果たしている。 
 構造材としての貫板は柱との緊結法として、下げ鎌や掛け子彫りをして楔で止めることにしている。
 この上に壁材としては、外壁は下見板張り、内壁は羽目板か木摺りへのしっくい塗りを考えており、竹小舞下地の壁塗りではない。厚板と土壁とで強い壁となることからすれば、今回の厚板+板壁の構造は強度的に不安が残る。軸組算定という計算式で建物の強さを確かめようとした時、厚貫そのものには倍率が算定されていないため、この計算式には厚貫の強度が反映されない。それでも無理矢理木摺り板の壁として計算すれば、地震力にはOKだが、風圧力に対しては梁間方向で少し強度不足と出ている。
 四隅だけでも筋違いを入れようかと考えたが、柔の貫構造と剛の筋違い構造がミックスされても良いだろうかとやはり疑問が湧いた。結局厚貫の強度やその他の組手の強度を期待することにして、このままとした。

貫板を4段設けている。柱の中では下げ鎌などの加工をして楔で留めている 
(2006年4月26日)


6、小屋組の組手
 小屋組を物置として利用し空間を広くとるために小屋束を高くした。そのため二重梁やつなぎ梁を入れた。また小屋束の桁行方向の補強のために貫板を通した。(これは組み上げてから、不安になり、組み上げた小屋束をとり下ろして加工し直して再び組んだ。1日のロスであったが気持ちはスッキリした。)
 小屋組も1階と同じく、小屋束と梁とは長枘差し込栓打ち、小屋束と二重梁と母屋とは重ね枘割楔打ちとした。

小屋組が完了したところ 二重梁とつなぎ梁で背の高い小屋束をつないでいる。
(2006年5月1日)


7,継手
 継手は一般的に行われている方法よりも1ランク上とされる方法をとった。

 *土台・母屋・棟木 ~ 腰掛け目違い鎌継ぎ
 *梁         ~ 台持ち継ぎ
 当初は追掛大栓継ぎの持ち出し継ぎを考えていたが、大きい梁材を見ていて持  ち出し継ぎがとても不安に思え、柱の上でしっかりと継ぐ台持ち継ぎへ変更した 
 *桁         ~ 追掛大栓継ぎ


桁の追掛大栓継ぎの調整をしているところ (2006年3月22日)


柱に梁を載せているところ 梁を柱の上で継ぐ台持ち継ぎが見えている
(2006年4月21日)


付記 妻・ひろより

大三島の人たちは、誰でも、家作り全般に詳しい。
昔は、自分や近所の家を建てる時は、大工さんの手元として、の人たちが総出で下働きしたそうである。
女子衆も、「○○さんの家の瓦を載せる手伝いの時、屋根に上って怖かった」などと話してくれる。

だから、夫が家を建てていると、「道具を貸すで」「手伝うで」と親切に声をかけてくれる。
いろいろアドバイスもしてくれる。
夫は、「コレコレ、シカジカ、ウンヌン、従って大丈夫」と自分流の建築方法を、講釈する。
聞いた人は、「なるほど、それなら、丈夫じゃ」と感服する。
(多分、自分の家じゃないからかも

しかし、たった今、私は、夫の『⑤木組み』の文字打ちをして、初めて知ったが 
夫自身も、この家が台風や地震に対して絶対大丈夫であるという確固たる自信や確証がある訳でもなさそうだ 

ここは、特別に風の強いところである。
私は、「台風大丈夫?」「風で屋根飛ばへん?」
と、夫に詰め寄った。
講釈タレの夫は、
「それは、解らへん。、いろいろ調べて建ててはいるから、大丈夫だろうとは思うが。夫の建てた家で、二人で死んだら、本望やろ」
と無責任にも言い放つではないか 

台風13号が、日本に近づきつつある。
新築中の家には、まだ戸がない
柱や見せ梁、敷居が、ビシャビシャになるだろう。
それどころか、屋根が、強風で、吹き上げられないだろうか

台風シーズンの我家は、あっちもこっちも、スリリング


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お月見って、いつ?

2006年09月11日 | 木工
この数日は、9月の大潮で、お月さんもまん丸
去年も一昨年も、9月の大潮に台風がきて、浸水対策で戦々恐々だった
大潮や満潮時と台風襲来が重なると、越波するからである。
お陰様で、今年は満月を楽しむ余裕があり、嬉しいことである。
なんとかこのまま、台風が来ないことをお月様にお祈りした。



お月見とは、旧暦の8月15日に月を鑑賞する行事で、新暦では何故か年により日が変わり、今年の中秋の名月(十五夜)は10月6日だそうだ。
新暦でのお月見頃、つまり9月1日と10日は、旧暦では二百十日と二百二十日にあたり、農家にとっては、台風シーズンを迎えての厄日だそうで、優雅にお月見どころではなさそうである。
農業をしていると、なにかと旧暦が身近に感じられるようになった。
「台風が来なくて良かったね」
と、今年もぜひ旧暦の十三夜のお月見で”芋炊き会”を楽しみたい。

我家から眺める、島影から昇る満月は、とても大きくて透き通っていてきれい。
月の中のウサギも大きくはっきりと見える。
我々夫婦はウサギ年である。だからと言うわけでもないが、ウサギを飼ったり、ウサギグッズを集めたりしていた。

昭和26,38,62年と平成11年の卯年の年賀記念切手
(額縁はナラ材・オイルフィニッシュ仕上げ)


ウサギのお雛様が欲しくて、夫に木工で作るように頼んだことがある。
お雛様はないが、いくつかウサギの木工品を作ってくれた。

みかんの木の一輪挿し(月) 親子ウサギ ウサギのメモスタンド (左より)
  
  
寄り添いウサギ ナラ材 オイルフィニッシュ仕上げ


ウサギのメモスタンド 桜材 オイルフィニッシュ仕上げ


ウサギのパズル ケヤキ材 オイルフィニッシュ仕上げ


「ウサギ年だから、ウサギのブローチを作ってもらっている」と、友人に話したら、
「いいわね~~可愛いウサギ年で、自分の干支に誇りが持てて、私なんか牛よ」
「丑年?牛は真面目な正直な動物よ。ネズミに騙されて、2番目になったけれど、
本当なら一番に神様のところに行き、干支では最初になるはずだったのよ」
と、思い出すとお互いの干支を誉めそやす滑稽な会話をしたものだ。
「しかし、『干支にしか誇りを持てない』というのも、情けない話やな」
と、夫は感想を述べた。

ウサギのブローチ 桜材 ロウ仕上げ


ウサギのキーホルダー 表はケヤキ材 裏はコクタン材 オイルフィニッシュ仕上げ


月を見ていて、夫は、みかんの木でお月見の木工品を作った。
みかんの木の輪切りを満月に見立て、月の中で二匹のウサギが寄り添っている。
ススキを試験管に挿すと、月、ウサギ、ススキと3つとも揃い、
お月見ムード満点

材はみかんの木 塗りはエゴマオイル



(補足)絵手紙は滋賀の友人Sさんから、折にふれ戴くものである。
    季節感溢れる絵と添え書きは、とても嬉しくて大切にしている。
    パソコン万能時代だが、1枚1枚手作りのものは、心打たれる。
 
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愛犬!駄犬?ハナ!

2006年09月08日 | 大三島での生活
大三島への移住生活は、我々夫婦とハナの3人で始めた。
ハナは、滋賀のDIYショップで、産まれてすぐの頃、「もらってください」と張り紙されていたのを貰ってきた。今5歳のメスの雑種犬である。
ナイーブな長男は、「散歩の時は、近所の犬と遊ばせて友達を作るように」
陽気な次男は、「田舎暮しを喜んでいるのは、お父さんとハナだけや」
と、ハナの大三島移住生活への感想を述べた。
「犬が、本当に、田舎暮らしを喜んでいるかはどうか分かりませんよ」
と言う知人がいた。
そう言えば、湖西(琵琶湖西部)の田舎に転居してきた犬が、環境が変りノイローゼになった為、「いつも車に乗せて一緒に出かけている」と心配そうに話す人がいた。
「えっ、犬がノイローゼに?いつも一緒に?番犬になりませんね!」と驚いた。

ハナは、現在、お陰様でノイローゼにもかからず元気で、
かといって何の役に立たず、気楽に海辺暮らしをしている。
自慢することでもないが、
転居以来一度もシャンプーをしなくても、乾燥した瀬戸内の海風のせいか、
ふさふさ、艶々とした、臭くない毛並みの”健康美犬”である。

我々は、ハナにも、海で自由に泳ぎ、作物をカラスから守り、家に侵入しようとする蛇やネズミを追い払う、生き生きとした海辺の農家の犬らしい生活を望んだ。

しかし、海に行っても足が少しでも水に浸かるのを恐れ、カラスがトマトやスイカを食べていても寝ており、蛇やネズミは、夫が捕まえた後喜んで遊ぶだけである。

「ハナ!一緒に泳ごう」と誘っても、嫌がるハナ


カラスが畑を荒らしていても、寝そべってくつろぐハナ


我々の在宅中は、
通る人や犬がいると、ワンワンと吠え、我家のインターホーンの役目を果たすが、
いない時は、
夫の作った木柵をどこからかくぐり抜け、海岸へ遊びにいっているフシがある。
我々がみかん畑から戻ると、
嬉しそうに迎えにくるハナを見つけて驚くことが度々ある。

海岸に降りれるかどうか、潮の満ち干きを見るハナ


海岸で遊ぶハナ


いつぞやは、海岸で遊んでいたのでやがて戻ってくるだろうとほっておいたら、
だんだん潮が満ちてきて、暗くなっても戻ってこない。
「ハナー!ハーナー!」声を限りに、呼ぶと
「クイ~~ン キャイ~~ン」と、悲鳴に近い鳴き声がどこからかする
声のする海岸の方に行くと、
潮がどんどん満ちてきて、帰れなくなった為途方にくれ、かろうじて残った砂地で、堤防に駆け上がろうともがいているハナを懐中電灯の灯りで発見した。
夫が、長いはしごを堤防に下ろし、まもなく潮が満ちてくる海に下り、ハナを抱きかかえて上げて助けてやった。まったく、手間のかかる犬である。
近くの、元船乗りさんの飼う生後1年足らずの子犬は、海岸で元船乗りさんが捕る牡蠣の身を喜んで食べ、海にも大喜びで浸かって遊ぶというのに・・・

でも、ハナが海で溺れ死なずに、本当に良かった良かった。

隙あらば、夫に絡みつくハナ



今年は戌年である。
夫は、犬をテーマした木工品をいくつか作った。
吠えている犬は、ハナの前に飼っていた”リキ”に似ている。
リキは、紀州犬の混じった、勇敢な雄犬で、私が滋賀の里山で、リース材料を探す時の心強い用心棒だった。
しかし、冒険好きが高じて、6年前の7歳の時、滋賀の里山で行方不明になったまま帰ってこなくなった。
我々家族にとっては、初めての飼犬だった。
私は、「リキがいたら、きっと大喜びで海で泳いだだろうな」と、残念でならない。

”犬のメモスタンド” ピンと立った耳と尻尾はリキがモデル
           


”3匹の犬のパズル” 吠え、振り向く姿が、リキを思い出させる


”犬のブローチいろいろ” まん中がリキかな?


”犬のおもちゃ” 耳と足が動き、寝た耳と座る姿はハナがモデル
  

”みかんの木クラフト・一輪挿し” 親子犬



”みかんの木クラフト・箸置き&パズル” ハナやリキの子供の頃を思い出す
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アマチャヅルでティータイム

2006年09月06日 | 大三島での生活
9月に入り、久しぶりの雨降り、少し肌寒いくらいになりました。
昨日と今日の二日間は、二人で、家の水廻り関係(キッチン、トイレ、風呂、洗面所)の設備選びでです。
各社のパンフレットを取り寄せて検討し、ネットで施主支給の商品が安く手に入る業者を探すのにグッタリです。金額も大きいし、電気水道配線関係でトラブラないように商品選びをするのは、大変気を遣います。

設備選びに疲れ、嫌になり、おやつも欲しくなったので、
バターケーキと、クッキーを焼くことにしました。



我家のケーキやクッキーの定番は、
伊予柑の皮と梅のワイン漬けをを入れて焼きます。
我農園の伊予柑も、もらい物の梅も、無農薬栽培なので、
伊予柑の皮も梅エキスを絞った後の梅も捨てないで、全部食べたいと、
ワイン漬けにし、1年中随分と重宝しています。

伊予柑の皮を砂糖煮して、みかんワインに漬け込んだもの
伊予柑の皮を砂糖煮して、グラニュー糖にまぶし、乾かすとそのままお菓子になる


梅エキスが出た後の梅をみかんワインに漬け込んだもの


お茶は、8月の草刈時にはっさく畑で見つけたアマチャヅルを干しておいたので、試しに飲んでみることにしました。
先日、生のまま飲んだアマチャヅル茶は、青臭くて全然美味しくなかったので、ちょっと不安です。

みかん畑に生えていたアマチャヅル


ウン?甘い!少し苦くて、薬草ぽっいけれど、クッキーと食べると、香ばしくて番茶風です。
やっぱり甘茶という名のとおり甘くて、苦味がいかにも身体に良さそうです。
日本産の薬草は干す方が、欧米産のハーブは生の方がおいしいというのは、本当のようです。

梅入りクッキーとアマチャヅルティー


今度は、レモンバーベナ、ベルガモット、レモングラス、バジルを摘んできて、ホットハーブティーを入れてみました。ついでに、ステビアも。
このステビア、砂糖の300倍の甘さなのに、低カロリーで、ダイエット食品に入っている甘味料の原料らしいです。
初めて葉っぱを噛んだ時、甘いのにびっくりし、来る人ごとに、噛ませて驚かせています。
やっぱり、ケーキには、欧米産フレッシュハーブティーの方が、おいしくてあうようです。

伊予柑ピール入りケーキとフレッシュハーブティー


それに、ステビアを奮発したので、随分と甘い。
明日は雨が止んだら、挿し木したステビアを植えつけよう。

花が咲き始めたステビア

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謎のソーメンカボチャ

2006年09月04日 | 野菜畑
「茹でると、ソーメンになるから」と、初めて ”ソーメンカボチャ” なるをもらったのは、
10年ぐらい前のことだった。

「ソーメンになるとは?」 「いったい、どうなるって?」
疑心暗鬼、教えられととおり、熱湯の鍋の中にソーメンカボチャを入れるや、しばらく煮ていると、バラバラと、カボチャがソーメンに変身した。
いやあ~~~衝撃的!感動的!でした
どうして食べたかも思い出せず、味も忘れてしまったけれど、
とにかく、摩訶不思議な驚きの ”ソーメンカボチャ” でした。

私に衝撃を与えた、摩訶不思議なる”ソーメンカボチャ”に、
大三島で、再び出会った。
今から4年前、移住した年の夏ことである
夏になると、道の駅には、ワンサカ、山盛り、ソーメンカボチャが売られる。
ソーメンカボチャは、みやすい(簡単に作れる)らしい。

早速、食べたソーメンカボチャの種を残しておいて、春に蒔いた。
そして夏、初めて自分で栽培した、ソーメンカボチャを、意気揚々と料理した。
ソーメンカボチャを輪切りにし、熱湯の鍋の中に入れる。
「ウン?いつまで待っても、ソーメンにならない」
いつまでも輪切りのカボチャままである。 

近所の人に聞くと、未熟なソーメンカボチャだったらしい。
カボチャはツルに茶色の縦筋ができた頃が、熟れ時、収穫時らしい。
作るだけでなく、収穫時のノウハウも必要な農業は、なかなか奥が深い。

「カボチャがソーメンになるのをずっーと待ってたって?それは、面白い。お父さんに話しちゃろ」と笑われた。
まさか『本当の素麺になるのを待っていた』と勘違いされたのでは

次は、熟れ時のソーメンカボチャを茹でた。
しかし茹ですぎて、グニャグニャになってしまった。

さて今年は、ソーメンカボチャ栽培歴3年目
ツルにも茶色の縦筋が入って、充分熟している。
みやすいはずのソーメンカボチャだが、今年の我家は不作である。
粒も小さい。もしかして、おもちゃカボチャと交配したのだろうか。
カボチャは、他種のカボチャと交配して、へんなカボチャができるようだ。
自家採種について、勉強勉強 

あっ、カラスがつついている!硬い皮なのに、マクワウリと間違えたのか?


今年は、ソーメンカボチャが太らなかった(大きくならなかった)



去年のカボチャ収穫の様子
ソーメンの他に、おもちゃ、坊ちゃん、ぺポ、トウガンなどなど、
これらが、雑種交配したのだろうか?



調理法は、数々の失敗かつ経験を経ている。 
鍋の中で、カボチャに箸がすっーと通るぐらい柔らかくなるまで茹でる。
茹ですぎず、シャッキとした歯ごたえを残す。
決して、鍋の中でソーメンになるまで待ってはいけない。



水で冷やし、ほぐす。



おおっ、まさしく、ソーメンである。黄色のきれいな繊維状になる。
プロの板前さんが作った大根のケンのようである。
ソーメンカボチャは、別名を金糸(きんし)瓜とも言うらしい。
おっ!しゃきしゃきとした、この歯ごたえ、上出来上出来 



夏は、酢の物や、サラダ、又は、レーメン風に具を載せてゴマダレで食べる。
冬になったら、すき焼きや油揚げに包んでおでんに入れると美味しい。



カレーの添えサラダ 青紫蘇、赤ピーマン、ゴマを混ぜてシンプルに
私はポン酢か梅酢で、夫はらっきょ酢をかけるとおいしいという。


誰が見ても、どこから見ても、外観はカボチャか瓜。
しかし、茹がくと、まるで瞬間スライサー機をくぐり抜けたかのように、
糸状に、自らバラバラになる。
いったい ”ソーメンかぼちゃ” の正体とは
 
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一人で建てる木組みの家~④木材~

2006年09月01日 | 『一人で建てる木組みの家』
1.木材をどこに使うか 
木は基本的には火や水に弱いものである。火事になれば木造家屋はやはり燃えやすいし、切り倒されて山林に放置された木は数年で朽ちて腐ってしまう。広葉樹などは2年もすれば朽ちる。だが法隆寺のヒノキは千年でも腐らない。スギであっても湿気から遠ざければ、数百年は大丈夫だろう。だから、火や水に近いところには木を使おうとは思わない。風呂場の浴槽や壁は水に強いステンレスやタイルを考えているし、台所のレンジ裏や薪ストーブ裏の壁には不燃ボードにしっくいを塗ろうと考えている。ただそれ以外は総て木作りになるだろう。木材ほど多様性のある優れた材料はない。軽軟で加工成形は楽だし、なによりも親しみの湧く材料だ。ただ火災だけはどうにもならない。火事を起こさぬように注意しなければ。

2.国産材か輸入材か
 どちらを使いたいかと尋ねられたら、当然のごとく国産材と答えるだろう。それも地場産の木材を使いたい。書物では地場産の木材の良さを示して使うことを奨励してはいるが、私の周りではまだ実例を見ない。材木購入時に、関係機関や材木店に地場産材を使いたい旨を伝えても、どこからも積極的な反応は帰ってこなかった。なぜこだわるのかという感じだった。というのも、低コストでと言う条件をつけるから、それなら輸入材という、低コスト=輸入材の公式が出来上がってしまっているからだ。それやこれやで結局は地場産材へのこだわりは消えた。が、せめて国産材へのこだわりはあったので、スギなら低コストに見合うと国産材のスギを中心に使うことにした。
 小物の木工品作りでは国産材へのこだわりはない。使用量も少なく、色彩や質感の多様性を求めるなら輸入材もおもしろい。ただ、自分がその中に入り込んで暮らす家を作るなら、やはり日本で育った木を使いたいし、沢山の木材を使うなら日本の森林を守るためにも国産材を使うことにこだわった。

3.材木の種類はスギが中心
 スギは一等材であれば、外国産の輸入材よりも安価である。一等材とは言っても材木等級では最下級である。節があることを気にしなければ良い。また軽量なため
“一人で建てる”には取り扱い易い。加工するには軟らかいのでノコギリで切るには易しいが、ノミやカンナで削るには刃物をよく切れるようにしておかないときれいには仕上がり難い。カンナ削りなどは、ヒノキを削るほうがずっと易しくツルツルに仕上がる。
 適材適所と言われるように、使用する箇所に応じてスギ以外にもその他の材種を使用した。耐湿性を要求されるネコ土台や土台にはベイヒバやヒノキを。梁は材の背高を押さえるために強度のあるベイマツを。磨り減りに強くなければならない敷居や鴨居にはヒノキを。使用量の多い床材については、当初はスギを考えていたが、長年の使用における表面の汚れや傷のことを考えるとヒノキに軍配が上がった。
 『法隆寺を支えた木』などでよく知られる西岡棟梁はヒノキの良さを充分に伝えてくれている。総てヒノキで作れば悩まなくてもいいのだが、“低コスト”を考えるとやはりスギが中心となった。

第1回目材木搬入 2005年9月


4.木材の乾燥をどうするのか
 木を使って家を建てる場合、木の乾燥をどうするのかが大きな問題となる、どうするもこうするも、木は充分に乾かしてから使うのが常識だと言う人もいるだろう。私も小物の木工品作りでは、よく乾燥した暴れの少ない材木を使いたいと思っている。乾燥が不十分だと、反り、割れ、縮み、ねじれなど出来上がった作品を台無しにしてくれることがある。
 だが家作りではこの乾燥の考え方が少し違っている。ログハウスは最近では充分に乾燥させた丸太やマシンカット材を使うが、そもそもの丸太小屋は切ったばかりの丸太を積んで作った。だからセトリングと言って、木が乾いて収縮することを見越した仕掛けがある。また軸組の家でも、少々乾燥が不十分でも、木組みで押さえ込んでしまえば歪んだり狂うことはないとも言われている。
 どの書物にも材木の乾燥の重要性が述べられている。3年以上寝かせて天然乾燥させると良いという風に。だがそうはいかないのが現実だ。天然乾燥材もあるが大変高くつくと材木店主に言われた。低コストなら未乾燥材にするかとも思ったが、主要構造材が刻んでいる途中で、反ったりねじれたりしたら、建前の時に一人ではどうしようもなくなるではないか。
 悩んだ末に人工乾燥材を使うことにした。見積もりをとると未乾燥の荒材に比べて、プレーナーをかけた人工乾燥材でも一割強程だけ高いだけだったので、主要構造材だけは乾燥材とした。建前の時には何とかうまく収まった。ただやはり、人工乾燥材は日が経つと仕上げ表面の木のツヤがなくなってしまうのが残念だ。

積み上げられたスギの4寸角材 
搬入された材木の量の多さに唖然とした


5.材木の太さは1ランク上
 “安心してすめる家”を素人が作るので、材木は太くてしっかりしたものが良いだろうと、一般的に使うものより太くした。一般的には柱で言えば10.5cm角(3寸5分角)を使用するが、1ランク上の12㎝角(4寸角)を使った。昔から行われている木を組むための組手や継手の仕口はいろいろあるが、自分で刻んでみても気付いたのだが、どうも4寸角を基準に寸法が決められているようだ。と言うことは、4寸角材を使うのが無理がなく、しっかりした木組みができるのだと自分では納得している。
 建前を見た近所の人は、ことごとくがしっかりした太い材を使っていると感心してくれた。3寸5分角を見慣れた目では4寸角の柱は相当太く見えるようだ。

6.防腐剤や防蟻剤を使うのか
 ”健康的な家”作りを目指すため薬剤の使用は避けた。土台や柱の足元には、湿気による腐りやシロアリの害を防ぐために防腐剤や防蟻剤を塗るのが通例であるが、基礎を高くしてネコ土台で通風性を確保し、耐湿性の強いベイヒバや芯持ちヒノキを使うことで腐りや蟻害を防げると考えた。
 建物の外装は15mm厚の杉板を下見板張りとしたが、これにもペンキもオイルスティンもなにも塗らないことにしている。日が経てば黒く汚れてくるだろうが、それも古びた木の味わいと見ることにしている。庇は屋根と同じように、何らかの屋根材を載せるものだが、屋根のように雨が当たることも少ないので下見板張りとしてなにも被っていない。どうなるのか見極めるでつもりいる。

購入2ヶ月後ようやく刻みの完了した4寸角材 2005年11月中旬
手前が土台のヒノキ 向こう側が柱のスギ


付記 妻・ひろより

材木満載のクレーン付き4tトラックが2台連ねて我家に来るのを見たとき、夫も私も、びっくりした。
夫は、自分がこれだけの量の材木に刻み加工ををするのかと不安になったそうだ。
私は、これで3分の1と聞き驚いた。

家作りの撮影担当は妻・ひろだが、基礎や単に材木加工だけの変化のない面白くない写真はほとんど撮ってない。(かなり長時間かけていたが)
それで、夫より、「肝心の大事な写真がない」と、クレームが出ている。
夫の指示で撮ったはずの写真も、訳が解らず、ゴミ箱に捨てたようである。
夫に言わせれば、文章も家作りも、”面白くない部分”が、なくてはならぬ大切なところらしい。
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