「神隠し」の意味が判る程に日本語を理解するエミではなかったが、悪いことを聞いたようだと悲しい気持ちになった
それでも、その一方で、そんな原風景を聞いたような見たような遠い記憶も有った…
あれは一体何だったのだろうか、と回想し出した時に
「健一坊ちゃま、一雨来そうですが…」とちよが言って、
「そうだな、そろそろ引き返そうか」となった
高橋本家に戻ると、警護人のシンも治療を終えて戻っていて、
モハメッド王子から電話が有って、健一にコールバックして欲しいとの事だった
「ああ、健一、申し訳ないが頼みが有る…」との事で、
父の国王の調子が良くないので、エミを返したい、ついては健一に付き添って送り届けて貰えないか、身内の警護人と言えども百パーセント信じて良いのか分からない状況なので…」と事
話しを聞いていた母の真佐は「そうしろ」との身ぶりをした
東京に戻って、残りの単位を取って来春には卒業しようとしていた健一だが
「わかった! そうする」とモハメッドに言った
急いで風呂と食事が準備され、旅立ちの支度が調えられた
「お前も行ってお上げ」との母の一言で、一人で住み込んでいる下女のちよも同行する事になった
五人の乗ったベンツが高橋本家を出たのは夕日が山の端に沈むころだった…
(続く)
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