拝啓、
ロビンフット殿。
実際に、貴殿に、お会いしたことはありませんが、このたび、
娘が、縁あって、お近くのノッティンガムで
暮らすこととなりました。
ある真夏の明け方、3500g近くまで良く育って、
産まれて18年と1ヶ月、毎日一緒に暮らして参りました。
縦の物を横にすることもしない、怠惰な娘ではありますが
性格はきわめて明るく、真面目な子に育ったと思います。
ずっと、一緒だと、私は、何の根拠も無く信じていたらしく
昨日、車に一杯の荷物と共に、大学の寮に、送って行き、
ビジネスホテルの様な部屋に置いてきた帰り道、
自分の皮膚の一部を引きはがされたような痛みを感じて、
車の中、2時間半も、口をきくことが出来ませんでした。
20年前、自分が家を出た時は、一人暮らしへの期待と自由さに、
自分の親の心中など、察することもなく、気付くこともなかった自分ですが、
私の親も、こんな思いだったのでしょうか。
今更ですね。
産まれて初めて、大海に一人で、漕ぎだして行ってしまいました。
無事に彼女が、大学生活を過ごせるように、
はなはだ勝手なお願いではありますが、
貴殿にも何卒見守っていただきたく、
心よりお願い申し上げます。
敬具