無法者頭と特別な乗騎

バイクとTRPGの記録

ドラゴン金貨を追え-2(ネタばれ注意)

2021年03月20日 | ドラゴン金貨を追え
連れ去られたプルーンを追って、下水道に残されたザナサーギルドの符丁をたどる。丁字路の暗がりで、待ち伏せる浮遊する目玉の怪物を発見した。複数ある目玉から発射される怪光線に耐えながら接近する。ロサの魔法とメネルのダガーが背後から敵に飛んで行く。私が近接したときには怪物は虫の息だった。とどめの一撃を放ち、息の根を止める。



跳ねるようにロサが怪物の死体に近づき、おもむろに呪文を唱えて炎を召喚する。怪物の目玉が溶けだし、刺激臭のする嫌なにおいが通路に広がる。ロサはどこからか金串を取り出し、形の崩れた目玉を突き刺し私の目前に突き出し「目玉焼き♬」と言いながらニッコリとほほ笑む。私の手の中でキュウキが逃げるように身をよじる。

更に進むと矢間の奥で通路を見張るゴブリンがいた。敵の拠点はここだろうか。目くらましの遠隔攻撃を行いながら、監視拠点を強引に突破したメネルが、近くの入り口に飛び込んで見張りの1匹を始末する。私たちもメネルに続き、敵の攻撃に晒されながら安全な通路に駆け込んだ。



奥へと進むと、部屋と部屋をつなぐ短い通路の先でドゥエルガルとヒューマンが待ち構えていた。ヒューマンは昼間大口亭でヤズロー嬢と殴り合いをしていた入れ墨男だ。ロサは私とドゥエルガルの間に炎を召喚した。私とドゥエルガルはその炎を挟んでにらみ合い、入れ墨男とロサ、メネルが飛び道具で攻撃しあう展開となった。メネルは敵の集中力を削ごうと無駄口をたたく。
そして「ザナサーギルドの入れ墨男君、君は三つの間違いを犯した」と言った切り口を閉ざす。メネルの意味深な指摘と沈黙にいら立った入れ墨男に隙が生まれる。
「間違いとはこれだ!」私は手にしたジャベリンを入れ墨男に投げつける。こちらには注意を払っていなかった彼は、私のジャベリンをまともに喰らい崩れ落ちる。均衡が破れ、ドゥエルガルもすぐに倒れた。



彼らの部屋の奥には厠があり、奥からウーズがはいずり出てきた。メネルは素早く飛び退くと「これは厄介だ」と言いながら、ドゥエルガルと入れ墨男の死体をウーズの方へ押しやる。そのとき彼が楽しそうに微笑んでいるのを私は見逃していない。

更に奥に進み、頑丈な扉を開けると金髪の男が両手に炎を纏わせ暗い色のローブを着たハーフオークに踏みつけられている目にした。きっと彼がプルーンに違いない。部屋の奥の一段高いところの椅子には真っ黒なローブを着た悪夢のような怪人が座っている。大きな白い目、ゴムのような紫色の皮膚、ゆらゆら揺れる4本の触手を生やした口、マインドフレイヤー。そして脳みそに足の生えた化け物をペットのように撫でている。この状況は不味い、先ずは交渉で切り抜けるか。しかしマインドフレイヤーは人の考えを読むという。逡巡していると、おもむろに怪人は立ち上がり、水に溺れたようなゴボゴボという音を立てながら「後は任せませた」と言うとペットの化け物を下におろし、隣の部屋へ行ってしまった。

ハーフオークは頷くと、残忍な笑みを浮かべてこちらを見た。私も負けじと笑みを浮かべる。マインドフレイヤが居なくなったと言え、敵は強力だ。背後からロサの呪文詠唱が聞こえる。眠りの呪文か。足つき脳みそが無力化できれば、何とかなるだろう。



私はすやすやと眠るハーフオークと脳みそを見下ろしながらレネーアに尋ねる。「どうする?」
「脳みそは止めを刺し、ハーフオークは市警に引き渡せばよいと思う」とレネーアが答える。
「新鮮な脳みそ・・・」不意のつぶやきに驚いて後ろを振り返ると、ロサが金串とストローをを握りしめながら、うっとりと足つき脳みそを見つめている。

「白状しなきゃならない。金はない。だがヴォーロが約束を破ったとは言わせない。もっといいものを用意したから、これでかんべんしてくれ」そう言って彼は巻物入れの筒を突き出します。 「ウオーターデイーブの一等地の不動産権利害だ。移譲には法務官に立ち会ってもらわなきゃならない。君たちが実地に家を見て気に入ったなら法務官のところに行こう」
その屋敷はトロルスカル通りにあった。建物はしっかりしているが、長い間放置されていたらしく荒れ果てている。元々酒場だった1階の片隅に暗い人影が見える。
「これは面白い、幽霊酒場"おぼろ亭"とでも名付けて再開するか」
すると人影は音もなく近寄ってきて、地の底から響くような声を出す。
「お前はこの酒場を再開すると言うのか。私も協力するぞ。さあこれを飲んでみろ」
旨い。年代物の良い酒だ。

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ドラゴン金貨を追え-1(ネタばれ注意)

2021年03月06日 | ドラゴン金貨を追え
大口亭にはあらゆる人々が集っている。希望に満ちた者、暗い望みを目指す者、そして私のように熾火のような怒りを抱えた者も。私の名前はヴォルクマール・フォン・ヒンデンシュテルン、ハーフエルフのパラディンだ。かつてはトームの生まれ変わりとまで言われていた。私を疎ましく思う敵の策略により異界に幽閉されたが、そこで出会った魔物の力を借りて脱出した。他の者にはこの魔物が唯の黒いモーニングスターに見えるらしい。そして今はホアの聖名の元、ガントレット騎士団の一員として復讐の一撃を放つ。

このところ行動を共にしているのは白薔薇の魔女、ロサ・ギガンティアと荒野の盗賊メネル=ソロンだ。ロサ見た目と普段の立ち居振る舞いは通り名の通り、純真無垢で美しいハイエルフの乙女そのものだ。だが時折見せる奇矯な行動は魔法使いとしての業の深さを感じさせる。一方のソロンは、こちらもハイエルフなのだが、田舎育ちの気の良い兄ちゃんという風だが、時折そのかりそめの仮面の裏の素顔が冷酷な眼差しとして現れる。

とは言え、目下の急務は金策だ。路地裏で丸まって寝るのが嫌なら家賃を稼がねばならない。皮肉にも対策を練るにも酒代が必要だ。ロサ、メネルと作戦会議という名の昼飲みで酒をきこしめす。

「メスブタが。わしの友達をあれだけの目にあわせておいて、ただですむと思うとるんか」。声の主はヒューマンの男で、そりあげた頭に目玉の形のいれずみをいくつも入れている。男は腕をぷんと振って、身の丈7フィートの女ハーフオークを殴りつける。男の後ろにはヒューマンがもう4人いて、いつでも加勢できるよう身構えている。ハーフオークが指をぽきぽきと鳴らし、うなり声をあげていれずみ男に跳びかかると、たちまち野次馬がどっと集まって、けんかはどうなっているのか、ろくに見えなくなる。

我が麗しのヤグロー・ストーンフィストのピンチだ。私はすぐに立ち上がり、人が少ない大穴の淵を伝って加勢に向かおうとした。しかしその時、巨大なトロールが大穴壁をよじ登ってくるのに気が付いた。
「気をつけろ、トロールだ」私が上げた警告の声を聴き振り返ったやじ馬たちは、醜悪なトロールが穴の淵を乗り越えようとするのを見て、素晴らしい速さで酒場から逃げ去る。ヤズローと殴り合いを始めていた目玉の入れ墨男も一緒だ。



「お手並み拝見と行こうか」大口亭のマスター、ダーナンの声を背に受けながらトロールに向き合う。正に怪物、地上にこいつの居場所はない。よく見るとトロールには多数の吸血獣が取り付いている。差し詰め奴のペットと言うところか。あるいはトロールが吸血獣のペットなのか。どちらにせよトロールだけでも手に余るのに、こいつらまで向かって来たら厄介だ。背後から呪文詠唱が聞こえる。これはロサの眠りの呪文だ。流石だ。メネルとヤズローもトロールの背後から近づいて来ている。いざとなればダーナンも手助けしてくれるだろう。

意識を取り戻し最初に見えたのは、インテリ風のヒゲ男が長広舌を振るっている姿だった。このヒゲ男、名をヴォーロサンプ・ゲダームと言いウォーターディープでは有名人らしい。驚いたことに、あの浮世離れしたロサでさえ男に興味を抱いているようだ。メネルに至っては舌なめずりをせんばかりの表情で話を聞いている。喧嘩騒ぎとトロールに邪魔されたが、結局のところ有益な昼飲み、いや作戦会議だったと言えよう。

インテリヒゲ男ことヴォーロの依頼は行方不明のプルーン・ブラグマーという二枚目を見つけ出すというものだ。彼はこの所都を騒がす抗争事件に巻き込まれてたのではないかと心配している。良く分らんが、とても急いでいるらしいので最後に彼らが会っていたという酒場、串刺しドラゴン亭に向かった。

途中、抗争現場やザナサーギルドが運営する骨董屋などに立ち寄りながら串刺しドラゴン亭に到着した。これまでの調査から港の倉庫が怪しいということが分かった。



その倉庫にはザナサーギルドの死んだモヒカンが7人、息絶えたゼンタリムの傭兵が5人、そして4匹のケンクがいた。我らの襲来に虚を突かれたカラスどもはやすやすと我がキュウキの錆と化した。意外なことにここには前公開ロード、ダガルド・ネバレンバーの不肖の息子、レネーア・ネバレンバーが囚われていた。目的の人物、プルーン・ブラグマーは彼と間違えられて、どこかに連れていかれたらしい。噂と違いレネーアは立派な人物だ。自分の身代わりに連れていかれたプルーンの救出を義務と考え、我らに協力を求めてきた。もとよりそのつもりであり、二もなくその申し出を受け入れた。

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