無法者頭と特別な乗騎

バイクとTRPGの記録

呪われし道・後日談 -1(HJ掲載シナリオ:ライク川に架かる橋)

2011年02月27日 | 呪われし道
憤怒の聖杯を前に彼らは悩んでいた。この邪悪なアーティファクトをこの世から完全に抹殺するためにはアルトドルフにいる紫水晶の魔術師ガブリエルの儀式が必要だ。だがそのためにはアルトドルフまで運ばなければならない。触れるだけで聖杯に宿るザスルードックスの影響を受けるというのに。しかも真鍮髑髏の時のことを思い起こすと、道中ビーストマンに追い回されることは確実だ。

そこへ最も神に愛された(?)男、シグマーの司祭にしてウルリックの司祭。ハーフリングのアルフレッドが颯爽と現れた。
アルフレッド:「良しみんな。ミッドンハイムのツヴァインシュタイン神学大学校教授から採鉱の保管箱を借りてきたぞ。箱は船に据え付けてある。これで安全にアルトドルフへ運べるぞ」
一同:「・・・」
アルフレッド:「・・・?」
フレーゲル男爵は言った。
フレーゲル:「でかしたアルフレッド。では船まで運ぶ栄誉は貴様に譲ろう」
アルフレッド:・・・運命点いっぱいあるから大丈夫・・・か?


何処か暗い部屋にて、鼠がかった薄茶色の髪をした男が人を見下すような表情をしている。着ている服は非常に上質だが地味なものである。
男:「では諸君、先ほどの説明通りに万事首尾良くやって頂きたい」
アーノルド:「I'll be back」
スタローン:ジョッキ一杯の卵を飲み干す。
ヴァン・ダム:・・・頭が痛い。記憶が混乱している・・・。
チャック:ファイティング・ポーズをとり、軽やかなステップを踏む。


アルトドルフに向かう船旅は順調だった。ツヴァインシュタイン教授の保管箱のおかげで、ビーストマンが襲いかかってくると言うこともない。今日までは。

前方には跳ね橋が下ろされ船が通り抜けられないようになっている。橋の両岸には兵士がバリケードを築き、物々しく対峙している。料金番とおぼしき男が埠頭から手招きしている。積み荷を詮索されたくないフレーゲル男爵は貴族が身に纏う触れがたい雰囲気と金貨の力を使い、料金番を上手くあしらう。そして開門を要求するが料金番は困ったように返答する。今この町では貴族によるもめ事が発生しており、その影響で橋を上げることが出来なくなっている。橋を挟んだ両岸をそれぞれ支配する貴族、ファルケンベルグ家とリーベンヴァルド家が橋の所有権を巡って争っているらしい。一行は船を桟橋に着け、話をつけるべく上陸した。

先ずは東岸の宿屋モリスリープの休憩亭に宿泊しているリーベンヴァルド家を訪ねた。宿に入ると美しく気品のある貴族女性と会見した。彼女はレディ・レナタ・フォン・リーベンヴァルド。彼女は当主である病弱な兄の代理としてリーベンヴァルド家を取り仕切っている。彼女はフレーゲル男爵の要求には応じることは出来ない。近々ここを通過する皇帝全権大使に良い印象を与えることで家の復興を叶えたいと考えている。それを対岸のファルケンベルグ家が妨害しているのだと訴えた。

賢く美しく、家柄も悪くない妙齢の女性の前にフレーゲルに恋愛フラグが立つかとおもったが、彼はこれを拒否。何故なら、いままでWHのシナリオに出てきた女性はほぼ100%悲惨なことになっているからだ。

兄のルーカスとも会って頂きたいという申し出に一行は身構える。兄が混沌か?ラバンディルは意識を集中させて混沌の気配を探るが兆候はない。医学の心得のあるアルフレッドはベッドの脇に置かれた薬に気付く。どうやら彼は肺病の薬としてマンドレークの根の蒸気を吸入しているらしい。この薬には中毒性があり、肺病と共にマンドレーク中毒となってしまったようだ。彼らは状況の打開策としてヴェレナの司祭に仲介を依頼したのだが、彼の到着が遅れており心配していることを打ち明ける。貴族同士の確執以上のことはなさそうなので、こんどは相手側のファルケンベルグ家の話を聞きに行くことにした。

ファルケンベルグ家は対岸の宿屋、マンスリーブのうたた寝亭に陣取っている。こちらはいかにも気位が高い、冷酷な男だ。ちょうど自分が飲むワインの毒味を部下にやらせている所だった。フレーゲルが名乗ると、渋々と言った様子で挨拶を交わす。彼はラルフ・フォン・ファルケンベルグ。そして彼はこともあろうか、一行にリーベンヴァルド家の兵士達のリーダである軍曹の殺害を25gpというはした金で依頼してきた。すっぱりと断った一行はファンケルベルグ家が悪者であると、暫定的に決めた。この世界は悪と混沌と犠牲者で成り立っており、打ち倒すべき相手の見極めは難しい。

一行の実力なら両家に対して力を行使し、押し通ることも容易いが、奇跡的に僅かながら善い心をもった彼らはヴェレナの司祭を見つけることが最も良い道だと判断し、早速調査を開始した。橋のたもとでは煽動者が村人をあおり立て、そこに陣取る兵士達を攻撃するよう煽り立てている。興奮した村人が兵士に襲いかかるがすぐさま撃退される。その騒ぎの最中、リーベンヴァルド家の軍曹が深手を負った。犯人追うが人混みに紛れて逃げられてしまう。そのような騒ぎの中、エルフ族の鋭い目を持つラバンディルが川辺に佇む浮浪者に目をとめた。その男は手に持つ金属を矯めつ眇めつ眺めている。近づいてみるとそれはヴェレナの聖印だ。浮浪者は頭が弱いらしく、質問に対して要領を得ない答えばかりする。しかし粘り強く問いただした所、聖印は村はずれの水車小屋の近くで拾ったことが分かった。早速水車小屋へ向かうと、そこはならず者が占拠していた。外の見張りを素早く静かに倒し、中に踏み込む。中でカードゲームを居していた男達を問答無用で張り倒し、縛られて転がされていた司祭を救出した。司祭は村に向かう途中、無法者に襲われここに監禁されていたと言う。また一行はラルフの指示を記したメモを発見した。ラルフは司祭を殺し、成りすました手下を送り出し、自分に有利な裁定を得ようと計画していたらしい。しかし司祭は殺されずただ監禁されていた。まだ何かが隠されている。

急いで村に戻ると、橋の両端に貴族両家のメンバーが揃っている。どうやら偽の司祭はピストルによる決闘で白黒つけることを申し渡したらしい。おそらくラルフは腕に覚えがあるのだろう。リーベンヴァルド家の当主はとてもその様な任には耐えられないので、代理人として軍曹が出てくることを見越していたのだろう。彼は怪我を押して、主人のために雄々しくピストルを構えるが、その銃口は明らかに定まっていない。

司祭を連れた一行が決闘の無効を叫んで出現すると、驚愕したラルフは脇に控える自分によく似た顔立ちの男に視線を向ける。恐らく兄弟なのだろう。目を向けられた男は唇を歪めると、モルスリープの休憩亭へと猛然と駆けだした。脇にいた屈強な男達も付き従う。走りながら、男は屈強な男達に停泊中の船を奪うよう指示する。ルーカスが咳き込みながら弱々しい声で言う。「宿にはレナタがいる。彼女を人質にする気だ」

船を奪われては大変なことになる、人質を取られても不味い。恋愛フラグが有効なフレーゲルはレナタ救出に向かい、残りのラバンディル、アルフレッド、ハルギンの3人は船強奪阻止へ向かった。

船へ向かったアーノルド、スタローン、ヴァン・ダム、チャックは瞬く間に船員を切り伏せた。舫いを解こうとしたそのとき、船倉から伝わる逆らいがたい誘惑に手を止めた。4人打ち揃って船倉へ向かうと、そこには効果で頑丈そうな箱が一つきり置かれている。先ほど感じた誘惑はどす黒い血の欲望へと変わり、一瞬で彼らを支配した。そして彼らは野獣となりお互いを攻撃し始めた。激しい殺し合いの果て、スタローンは敵を全て血祭りに上げ、箱を破壊して中に修められた聖杯を手にした。頭の中には荘厳な音楽が鳴り響き、外へ出る階段を駆け上がり、甲板で高々と聖杯を掲げ野獣の叫びを上げた。

憤怒の聖杯を手にした男を目にしたラバンディル、アルフレッド、ハルギンの3人はハルギンを頂点とするトライアングル・フォーメイションを形作り迎え撃つ。強敵の出現にラバンディルは人目を気にせず最強の呪文を行使する。アルフレッドの正確なスリングショットが急所を捕らえ、ハルギンは最後の一突きを入れる。

フレーゲル男爵は男がレナタの手を乱暴に捕らえようとした瞬間、部屋に飛び込んだ。驚いた男は剣を抜くが、男爵の必殺の三段攻撃の前に容易く倒れた。鮮やかな手つきで剣を収めた男爵はレナタの潤んだ瞳を優しく捕らえ、言った。「レディー、お怪我はありませんか」。以下省略。

結局、悪事を企んだラルフ・フォン・ファルケンベルグは、同等に腹黒い弟ライナスにはめられる所だったというのか真相だ。ラルフのピストルには弾丸が発射されないよう細工が施されていた。決闘で兄が負け死んだ後、本物の司祭を脅した上で真相を明かし、ファンケルベルグ家に有利な裁定を言わせようとしていたようだ。

その後、リーベンヴァルド家の目論見が上手く運んだのかどうかは分からない。フレーゲルとレナタの間には特段の情事は生まれず、彼らは使命遂行のため可能な限り速やかに出立した。川面に浮かぶ船上でラバンディルは物思いに深く沈み込んでいた。

箱が破損した今、憤怒の聖杯の力は絶えず我々を支配しようと目論む。我々は耐え抜くことが出来るのだろうか。決断しなければならない。
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雷鳴山の迷宮 -5~10

2011年02月20日 | 雷鳴山の迷宮
斯くして角砦を攻略した(詳細省略)。次に向かうはデーモンの井戸。そこはミノタウロスの主神バホメットを祭った神殿であり次元の綻びを生じている場所だ。ミノタウロスの亡霊達が彷徨い、我々を悩ませる。我々が探している村人はノール共の手によってここに連れ去られている。一刻も早く彼らを救出したい我々も神殿を彷徨う。中で出会った勇敢なティーフリングの冒険者二人組や力尽きこの神殿に囚われた先陣の霊などの助力を得て、待ち構えるノールや神殿のガーディアンのグリーンドラゴン、数々の罠をくぐり抜けついに村人を発見した。彼らは今まさに邪悪な儀式の生け贄に捧げられようとしている。ノールの邪神官とデーモン(大)、(中)、それに大型のミノタウロス・スケルトンを薙ぎ払いついに最後の村人を救出した。しかしこれで終わりではない。ドゥエルガルやノール達の背後で糸引く黒幕、元サルーン魔道師団、ヴェクナに魅入れられた者オロン・トールの野望を打ち砕かなくてはならない。
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