無法者頭と特別な乗騎

バイクとTRPGの記録

狂える魔導士の迷宮 -1(ネタばれ注意)

2021年07月23日 | 狂える魔導士の迷宮
第1回探索

足元には、ヴァンパイアの格好をした山賊に成りすました、ドッペルゲンガーが倒れている。止めを刺したのはメネルだ。彼は「これで俺はヴァンパイア・ハンターだ」などと喜んでいる。しかしメネルよ、これはドッペルゲンガーだ。
今、私は世にも名高い迷宮、ウォーターディープの狂える魔導師の迷宮、通称アンダーマウンテンの地下1階にいる。ここに転がっている輩はアンダーマウンテンを根城とする賊なので山賊と呼んで差し支えあるまい。ヴァンパイアに成りすましているのは、物見遊山でやってきた駆け出し冒険者を脅かして、楽に有り金を巻き上げるためだろう。



我々ぐらいになると、隠された戸口を易々と見つけてしまう。結果として待ちかまえる賊の背後から現れることになる。そこにヴァンパイアの集団がいれば、全力で攻撃を加えるのは必定だ。ただの山賊であれば、紳士的に情報を尋ねるだけですんだものを。彼らが哀れな屍を晒すこととなったのは自業自得と言うものだ。

アンダーマウンテンへは大口亭のフロアの中央に開いた大穴を下って入ることになる。そこには使用料1gpのエレベータが設置され、大勢の酔客の注目を浴びながら出発することになる。手ぶらで逃げ帰ってきた者には容赦のない罵声が浴びせられ、何らかの宝を見つけて戻ったものには惜しみない賞賛が贈られる(それと一緒に無数のたかりも)。

今回の成果
・暗い光を放つ呪われた剣(呪われてはいるが魔法の剣には違いない)
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ドラゴン金貨を追え -7(ネタばれ注意)

2021年07月03日 | ドラゴン金貨を追え
ドラゴン金貨はこの町のピンク・フランフ劇場の隠し扉を通った先にあることが、ストーン・オブ・ゴロアとなったアボレスから伝えられた。そして金貨の直前には魔法の扉が立ちはだかっている。その扉を開くためには特別な品物が必要だ。それはビホルダーまたはその眷属の眼柄、ドワーフの鉱夫の絵、ドワーフのエール一樽だ。なぜこのような物をキーアイテムに定めたのか、理由を聞きたいところだが、おそらく意味はないのだろう。鍵としては突拍子も無いものだが、準備するのは容易だ。

劇場の隠し扉は高度な鍵で封じられており、メネルでも解錠することができない。魔法で開けるしかない。その際生じる音も魔法でかき消した。先へ進むとアダマンティン製の立派な大扉が行く手を遮る。扉の表面にはドワーフ語で「三つの鍵を前に」と書かれている。準備した品物を扉の前に並べると、重い扉は音もなく横滑りして壁の中へと吸い込まれた。



遂に我らの前にドラゴン金貨への道が開かれた。金庫へと足を踏み入れたとたん、背後からフェアリードラゴンが現れ、分け前を要求してきた。この者はウィッシズという名で、ウォーターディープではの知れた義賊と自ら名乗った。胡散臭さを感じたが、ザナサーやゼントの手先では無さそうだ。噂通りに金貨があれば、全てを我らの懐に入れることはとうていできないし、この小さな義賊が持っていける量もたかが知れている



この広い部屋の上には3本の崩れかけた橋が架かっており、それを中央の太い柱が支えている。橋の両側には入り口が見える。部屋の奥には上へとつながる階段がある。2階へ上がったところでブラック・ブディングに襲われた。怪物は動きが鈍い。後ろへ引きながら遠隔攻撃を続ければ楽に倒せるだろう。ロサに目で合図をすると、彼女はこちらの意図を察して頷いた。先行したメネルを見ると、嬉々としてウーズにレイピアで攻撃している。しかも攻撃後、距離を保つのために、わざわざ不安定な橋の方へと移動した。その上まぐみんは強力な火炎魔法の詠唱を始めている。



蒸発して床のしみになったウーズを残して先に進む。3本の橋は別々の部屋につながっている。中央の部屋にはドワーフ用の古い鎧が置かれており、奥の壁にはドワーフ語で「いまだかつて語られざる秘密が、ドゥマイソンの口を開かれる」と記されている。他の二つの部屋には先に進む道がなかったため、この部屋の問いかけこそがドラゴン金貨へ至る道を示しているに違いない。そこで私は我が信仰についての秘密をそっと明かした。私の中では聖と邪が相争っている。人は皆、私をパラディンと呼ぶが、今の私はそうでないことを知っている。私が復讐を叫ぶとき、それは唯の虐殺なのかもしれない。

階段下った先でついにドラゴン金貨を見つけた。そこは地下深くにもかかわらず、天井から太陽の光が降り注いでおり、陽だまりの中で空中の煥がキラキラ光っている。高さ30フィートのアーチ状の天井を支える柱には、ドワーフたちが彼らの神々のそば近くにあってその力に浴するさまが匠の腕前で彫りこまれている。壁には奥行のある壁籠が並んでおり、そのうち1つの中に大量の金貨が積み上げられていた。

挨っぽい暗がりの中から、 1人の年老いたドワーフが歩み出てきた。その手に握る杖は、赤と金の2頭のドラゴンが絡みついているかのように彫刻され、色が塗ってある。彼の両目には老いを感じさせない意志の強さと鋭い知性が宿っている。彼ははっきりした口調で言った。 「ここには誰も来ないと思っていたんじゃがのう。見ての通り、ここはひどく散らかっておる。-度帰って出直してくれんかね、その間にわしは片づけを済ませておくでな」

この老ドワーフが見かけ通りでないことは一目瞭然だ。彼こそがストーン・オブ・ゴロアが言っていたドラゴン金貨の守護者、ゴールド・ドラゴンのオラーナクスなのだろう。
「承知致しました、ご老人。我らは正当な所有者に返すべく、ここにあるドラゴン金貨を探していました。我らは当局にこの場所を知らせるため、一度戻ります。しかし悪辣な者共らが、我らの探索の成功をかぎつけ、群がってくるでしょう。そちらの対処もお願いして宜しいか?」
「良い心がけだ、委細承知した」

早速引き返し、時間短縮のため2階から1階へ飛び降りた我らの目前には、階段に続く戸口にから奥を覗いている間抜けな敵の後ろ姿が見えた。驚いた敵が態勢を立て直す前に一気に片を付けた。



これがドラゴン金貨を巡る我らの冒険の顛末だ。この後、金貨は市当局が回収し、我らは英雄として称賛された。そう言えば、ドゥマイソンに語った秘密だが、あれは誰しもが抱えているものだ。ロサが清楚で知的な白魔法使いというのは間違いだし、メネルはクールな男前とは言い難い。まぐみんは、爆炎は正しいが魔術師ではない。では何かと問われれば、冒険者と答えるのが正解だ。故に、我らは1人1プレート、すなわちずた袋一袋分の金貨を担いて、金貨の部屋を出た。オラーナクスもそれを笑いながら見ていた。


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