13次探索4日目
この階の心臓部に挑む。しかし正面からではなく横から。
ここにもドェルガルがいた、それも8人。加えて2体のクローカーと共に、ドェルガルの首領がドワーフの神殿を荒らしていた。
「このドェルガルはずいぶんと立派な衣装を着ているな」武器に付いた血を拭いながら私は言った。王に相応しい宝石のついたマント、太陽の印を掲げた女エルフの黄金の像をベルトに差している。
「この像はなんだ、王錫の代わりか?」
ロサが魔力感知の儀式を行う。
「ドゥエルガルの首領の足元、祭壇の付近、そして奥の玄武岩の扉に魔力を感じるわ」
祭壇の近くでペチャンコになって死んでいるドェルガルを見てメネルが言った。
「まあ、そうだろうね」
数段高くなった床に祭壇が置かれている。その両脇には儀礼用の紫と黄金の鎧と目の無い兜をかぶった10ftのドワーフの像が立っている。奥には黒い玄武岩に彫刻を施した両開きの扉がある。扉の中央にはデュマイソンの浅浮彫りがあり、両脇には光る水晶の柱が立っている。
「なにはともあれ、ここはメネル様の出番だな」
そう言いながら、慎重に階段を進むメネルを見ながら、いつでも加勢できるよう準備をする。
メネルが最後の階段を過ぎ、上のフロアに1歩踏み出すと突然、祭壇の前にドワーフに似た体形のクレイ・ゴーレムが現れた。
「あいつは、足が遅いわ」ロサの一言で、我々は散開して遠隔魔法で攻撃を始めた。ゴーレムは一番手近にいたメネルに殴りかかるが、素早い動きでゴーレムの手の届かないところに飛び去る。広い部屋だったのは幸いだった。ゴーレムは我々にかすり傷を負わせることなく、元の土くれに戻った。
落ち着いて玄武岩の扉を調べるとドワーフ語が刻まれていることが分かった。
「王の手のみこの扉を開き得るものと、"山の下の秘密の守り手"は定め給う。これに入る者、メレアポードの心臓を見、ドワーフ族の真の力を知れ」
もしやこのドゥエルガルは堕落したメレアボードのドワーフの末裔なのか? しかし彼女はこれまでに成した悪の清算を求められた。この復讐の天使たるヴォルクマールの聖鎚によって、それは成された。今こそ彼女は生得の権利を受け取る資格を得たのだ。だが因果の理により、なす術を失った。清算の儀を執り行った者の義務として、哀れなるドゥエルガルの大願を成就させるのは私の務めだ。私は力強く宣言した。
「この無力のドゥエルガルこそ、ドワーフ王の堕落した末裔。彼女の罪の清算を行なった者として、私は彼女の大願成就を果たさねばならない。つまりこの者の手をもって玄武の扉を開き、血統の証明と名誉の回復とするのだ」
「いやいや旦那、それは違うだろ。ロサ違うと言ってやれよ」呆れたようにメネルが言う。
「さあ、どうかしら」
「すごい!ロマンチックだね」まぐみんは目を輝かせて無邪気に見つめている。
ヴォルクマールはドゥエルガルの死体を抱きかかえて扉の前へと進む。彼女の片手をそっと取り、自分の掌と扉の間に、彼女の掌を挟み込んだ。扉の表面が揺らめき、隠されていた秘密の紋様が輝くと同時に大型の揺らめく半透明の手が現れて、ヴォルクマールごとドェルガルを吹き飛ばした。
「だから言っただろ」メネルが叫ぶ。
「あれはビグビーズ・ハンドね。ちょっとした手違いということかしら。うふふ」ロサは呑気に笑っている。
「我が深紅の流出を以て、白き世界を覆さん!エクスプロージョン!」
第13次探索5日目
この部屋の壁には宝石を散りぱめたマントを纏い、オニキス(瑞噛)製の喫煙用パイプを咥え、片手に拳大のダイアモンド、逆の手には赤いクリスタル製のジョッキ、そして黒曜石の帯止めと飾り鋲のついた黄金の帯を巻いたドワーフの王の絵が描かれている。そして宝物を展示していたガラスケースの残骸と思われるガラスが床に散乱している。そうかあのドェルガルはここの宝物を略奪して、身に着けていたという訳か。身に着けた衣装は王のもの、しかし中味は唯の盗賊。またつまらぬものを成敗したということか。
お宝
ドワーフの宝物
この階の心臓部に挑む。しかし正面からではなく横から。
ここにもドェルガルがいた、それも8人。加えて2体のクローカーと共に、ドェルガルの首領がドワーフの神殿を荒らしていた。
「このドェルガルはずいぶんと立派な衣装を着ているな」武器に付いた血を拭いながら私は言った。王に相応しい宝石のついたマント、太陽の印を掲げた女エルフの黄金の像をベルトに差している。
「この像はなんだ、王錫の代わりか?」
ロサが魔力感知の儀式を行う。
「ドゥエルガルの首領の足元、祭壇の付近、そして奥の玄武岩の扉に魔力を感じるわ」
祭壇の近くでペチャンコになって死んでいるドェルガルを見てメネルが言った。
「まあ、そうだろうね」
数段高くなった床に祭壇が置かれている。その両脇には儀礼用の紫と黄金の鎧と目の無い兜をかぶった10ftのドワーフの像が立っている。奥には黒い玄武岩に彫刻を施した両開きの扉がある。扉の中央にはデュマイソンの浅浮彫りがあり、両脇には光る水晶の柱が立っている。
「なにはともあれ、ここはメネル様の出番だな」
そう言いながら、慎重に階段を進むメネルを見ながら、いつでも加勢できるよう準備をする。
メネルが最後の階段を過ぎ、上のフロアに1歩踏み出すと突然、祭壇の前にドワーフに似た体形のクレイ・ゴーレムが現れた。
「あいつは、足が遅いわ」ロサの一言で、我々は散開して遠隔魔法で攻撃を始めた。ゴーレムは一番手近にいたメネルに殴りかかるが、素早い動きでゴーレムの手の届かないところに飛び去る。広い部屋だったのは幸いだった。ゴーレムは我々にかすり傷を負わせることなく、元の土くれに戻った。
落ち着いて玄武岩の扉を調べるとドワーフ語が刻まれていることが分かった。
「王の手のみこの扉を開き得るものと、"山の下の秘密の守り手"は定め給う。これに入る者、メレアポードの心臓を見、ドワーフ族の真の力を知れ」
もしやこのドゥエルガルは堕落したメレアボードのドワーフの末裔なのか? しかし彼女はこれまでに成した悪の清算を求められた。この復讐の天使たるヴォルクマールの聖鎚によって、それは成された。今こそ彼女は生得の権利を受け取る資格を得たのだ。だが因果の理により、なす術を失った。清算の儀を執り行った者の義務として、哀れなるドゥエルガルの大願を成就させるのは私の務めだ。私は力強く宣言した。
「この無力のドゥエルガルこそ、ドワーフ王の堕落した末裔。彼女の罪の清算を行なった者として、私は彼女の大願成就を果たさねばならない。つまりこの者の手をもって玄武の扉を開き、血統の証明と名誉の回復とするのだ」
「いやいや旦那、それは違うだろ。ロサ違うと言ってやれよ」呆れたようにメネルが言う。
「さあ、どうかしら」
「すごい!ロマンチックだね」まぐみんは目を輝かせて無邪気に見つめている。
ヴォルクマールはドゥエルガルの死体を抱きかかえて扉の前へと進む。彼女の片手をそっと取り、自分の掌と扉の間に、彼女の掌を挟み込んだ。扉の表面が揺らめき、隠されていた秘密の紋様が輝くと同時に大型の揺らめく半透明の手が現れて、ヴォルクマールごとドェルガルを吹き飛ばした。
「だから言っただろ」メネルが叫ぶ。
「あれはビグビーズ・ハンドね。ちょっとした手違いということかしら。うふふ」ロサは呑気に笑っている。
「我が深紅の流出を以て、白き世界を覆さん!エクスプロージョン!」
第13次探索5日目
この部屋の壁には宝石を散りぱめたマントを纏い、オニキス(瑞噛)製の喫煙用パイプを咥え、片手に拳大のダイアモンド、逆の手には赤いクリスタル製のジョッキ、そして黒曜石の帯止めと飾り鋲のついた黄金の帯を巻いたドワーフの王の絵が描かれている。そして宝物を展示していたガラスケースの残骸と思われるガラスが床に散乱している。そうかあのドェルガルはここの宝物を略奪して、身に着けていたという訳か。身に着けた衣装は王のもの、しかし中味は唯の盗賊。またつまらぬものを成敗したということか。
お宝
ドワーフの宝物