無法者頭と特別な乗騎

バイクとTRPGの記録

狂える魔術師の迷宮 -24(ネタばれ注意)

2023年09月18日 | 狂える魔導士の迷宮
14次4日目
塔の最下部、マッド・ゴスの像が直立する部屋に到着した。部屋に入るとモルデンカイネンズ・ソードが襲ってきた。しかし塔内なら不可侵無敵の兜、マッド・ゴスのヘルメットを被ったメネルは気にせず部屋の中を探索した。マッド・ゴスの像が持つ呪文書にはモルデンカイネンズ・ソードの呪文が記されていた。だたそれだけだった。

「マッド・ゴスの塔、なんだか取り留めのない塔だったな」メネルはそう言った。

14次5日目
第8階層に到着。崖の上から、この階層が見渡せる。空気はじっとりと湿って不快だ。崖の下には汚らしい沼が広がっている。虫と両生類の楽園だ。修復が必要な縄梯子が崖から垂れ下がっている。良く見ると、縄梯子にはキャリオン・クローラーの粘液が塗りつけられている。不用意に触ると、麻痺して崖下へ転落してしまうという罠だ。毒を拭い去り、縄梯子を修復して下へ降りる。探索を開始すると、ブリーワグが遠巻きに追跡しているのに気付く。
「ねえ、あのカエル吹き飛ばして良い?」まぐみんの声にいつもの元気がない。
「あんな雑魚気にする必要ないだろう。いや両生類は魚じゃないな」メネルはブーツが泥にまみれるのが嫌らしく、深みに足を突っ込まないよう慎重に歩を進めている。
「彼らは両生類ではないわよ。両生人型生物ね」魔女の箒に横乗りしたロサが指摘する。
「いずれにせよ脅威ではないし、行き詰まったら交渉することになるかもしれないから、無視して進もう」
「いや、カエルと交渉なんてむりでしょ」まぐみんは後ろを振り返りながら言った。

隘路の崖の上で、ドゥエルガルの死体を発見した。その者は周囲の地図を書き留めた日誌を残していた。地図には印が描かれ、「北東にはカエル人がいる」、「おぞましい魔法を使う蛇が南東にいる」と書かれている。更に日記には「蛇たちの魔法にかかった従兄弟のアゴラを救い出すため、蛙人間と手を組むのだ」と書かれていた。私は日記のページを開いてまぐみんに見せた。
「こんなことが書いてあるぞ」
「すみません、無理です」

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食屍鬼島 -11(ネタばれ注意)

2023年09月09日 | 食屍鬼島
「なんだ、ここへきてやっとお出ましか。お前は猫・・・なのか?」グラトニーは目の前にいる白い生物を見て言った。グラトニーの疑問にネヅコが答える。
「グラトニー気をつけろ。ここでは主観が攪乱される。不用意に名付けると、相手に想定外の力を与えてしまうことがあるぞ」
『そんなに警戒しなくて良いよ。やっと会えたね。改めて自己紹介しよう。僕はノウエム。君たちを導くものさ』
「貴方はクレシダと同族なのですね」
《やめてよザロー。全然違うじゃない》
「私には同じに見えます。白猫のノウエム。そして不思議なことにセンサ船長の黒猫、ヌッキによく似ているように感じます」
『ザローには猫を見る目があるね。実のところヌッキは僕さ。でも僕は変わらないのに、ヌッキの時には黒猫に見え、ここでノウエムと名乗った僕は白猫に見えるんだね。面白いね」
「不明を演出し、それを相手に考えさせ、自分に都合の良い結論に導くのは詐欺師の手管だ。それか宗教家、あるいは神」
《そういうのに興奮する性質ではないの、ネヅコ?》
「私が興味を抱くのは言葉ではない、真の力に対してだ」


「何と言うか、そうですね。”あまりかわらない”ですね」ザローは周囲を見回しながら言った。
ノウエムは少し振り返り、何も言わずに先に進む。
《気をつけなさい。ここは幻夢境、夜に見る夢と同じ。鬼が出るか蛇が出るか》
「貴方は幸福な夢は見ない性質ですか?」
《そうね、あれ以後はね》
「私もです」
ザローとクレシダは神話的生物から逃げ延びた。しかし新たな神話的生物、ガタノソアと対決することになった。今度は対決し、悪夢を消し去るのだ。

レンの蜘蛛は地蜘蛛に属するものだ。地中に隠した巣穴に獲物を引き込み貪り食う。ノウエムは3人に警告を発せず、彼らの実力を試した。狭い巣穴の粘着性の壁に絡めとられて思うように戦えない。それでもクレシダが呪文でレンの蜘蛛を倦怠状態にしたところに、ザローの必殺の誓いの矢が突き刺さる。




ジャングルの小道は次第に岩が多くなり、散見される程度しかなかったシダや硬い低木が青々とした草木に取って代わられるにつれて、土は砂利へと変化する。林冠から、この奇妙な土地の双子の太陽にさらされた淡い紫色の空の下へと出た。時間をかけて旅をしたはずだが、天体は空の定位置から移動しているようには見えない。
ノウエムは歩みを速め、天井の低い洞窟に入っていく。洞窟の奥には、毛皮の布団の上に横たわったポンベアがいた。岩屋の闇の中で彼女を包む柔らかな光は、彼女の身体に走る網目状のひび割れや亀裂から漏れるまばゆい光によるもので、その様子はまるで内側から光を放つアンティーク磁器人形を思わる。ノウエムはゴロゴロと喉を鳴らしながら、眠っている人物に歩み寄り、夢見人を優しく起こすためにそっと鼻を擦りつける。
ボンベアは眠りから覚め、ゆっくりと目を開けた。最初は訝しげに3人を見ていたが、やがて彼女の顔に理解が広がる。
「はい到着、彼女がポンペア。僕は君たちを彼女に会わすために呼んだんだよ」
「お久しぶりです、ザローと申します。前に向こうでお会い致しました」
「ご丁寧にありがとうございます、ザローさん。皆さんを待っていました。聞きたいことがおありでしょう、可能な限りお答えいたします」ポンペアの放つ光は一層強まり、彼女がこの出会いを待ち望んでいたことが良く分る。
「ポンペア、俺は・・・」グラトニーが言いよどむ。
「良いのです。私は貴方がガタノソアとその手先を滅ぼすのを、肩越しの特等席から見させて頂くわ」
そしてポンペアは、ムー大陸の地下の牢獄から逃げ出したガタノソアがファルジーンまでやってきたこと。その崇拝者が大いなる古きものを蘇らせる試みをケイザが阻止したことを語った。ケイザはその後光の女神に姿を変え信仰を集めのに対して、ガタノソアはゴート教団という仮の姿をまとい、秘密裏に食屍鬼と同盟し、ファルジーンで勢力を拡大したことを語った。ガタノソアの復活はファルジーンの破壊を意味し、再び光の女神=ケイザの力で復活を阻止しなければならない。そのためには幻夢境にあるクトゥガの洞窟から”ケイザの書”を手に入れる必要があると言った。
ポンペアはL字型に曲がった1組の金属棒を差し出し言った。
「このダウジング・ロッドがあなた方を導くでしょう。急ぎなさい、時間はあまりありません」



ダウジング・ロッドに導かれ、這寄る混沌崇拝の利点を説くナイアルラトホテプの月の臣下追い払い、ズークを殺して食べているウルタールの守護者を横目で見ながら、一行は先を進む。やがて荒涼とした塩類平原にたどり着いた。靴をはいているにもかかわらず、信じられないほどの地熱が一歩ごとに足の裏を焼く。煙を吐き、悪臭を放つ陥没穴に足を引きずりながら入った時には、足は腫れ上がって、ひび割れていた。陥没穴は自然にできた巨大な炉の煙突のようなものだ。そこまでは100フィート、底へ行くほど周囲の温度は上昇し、皮膚はゆっくりと焼け焦げていく。おりきった先には水平に通路が伸び、円形劇場のような場所に出る。

3体の黒曜石の彫像が直立不動の姿勢で、不気味な炎が荒れ狂う穴を囲むように立っている。青く輝く目が容赦なく睨みつけ、動かない腕には巨大な盾を握っている。地獄のように燃え盛る炎から伸びた指が、まるで脱出しようとするかのように、頭上数十フィートの天井まで貪欲に伸ばされている。一行がその部屋に一歩足を踏み入れた途端、番人が動き出した。

「この熱気は、明らかに敵に地の利がありますね」ザローは敵の動きを警戒しながら言った。
「そうだな、ここは例の本だけ奪って、さっさとずらかろう。俺が切り込んで敵の注意を引き付ける」そう言うが早いが、グラトニーは俊足を生かして敵に肉薄する。
「さて、ケイザの書は部屋の中央に見える業火の中のようですね。ここは私の盗賊の技の見せ場ですね」
ケイザの書は超高温の妖炎が燃え盛る穴の中にある。黒曜石で装丁され、金属の薄板が綴じられた重厚な本は、高熱にも耐えうる頑丈な鎖で固定されている。鎖を解くにも、本を取り上げるにも盗人の腕は炎に包まれるだろう。番人がグラトニーとクレシダに気を取られている隙に、ザローは本を守る火炎の前に立った。極限まで精神を集中し、炎に手を差し入れ、神業のごとき素早さで鎖を固定していた鍵を外し、重い書物を取り出した。炎と過熱した本に焼かれる手の痛みを無視してザローは叫んだ。
「手に入れました! 逃げましょう」
クレシダは素早くザローの肩に飛び乗り、ザローに飛行の呪文をかけた。
《跳びなさい》
グラトニーはモンクの技を発揮して、しんがりを務めつつ素早く離脱する。
入り口の縦穴を、クレシダとザローは飛んで抜け出し、グラトニーはまるで水平な地面を走るかのような速度で登り切った。
ザローの背中から冷静に敵を観察していたクレシダが言った。
《あいつらはこの穴の外までは来られないみたいね》

3人はハッと目を覚ます。グラトニーにはポンペアの声が聞こえる。
「ケイザのご加護がありますように」
その声は遠く、弱い。
脱出の余韻が残り、全身にはまだアドレナリンが駆け巡っている。しかし外から聞こえる物音、誰かが激しく戦っている音を聞き、幻夢境から帰還したことを覚る。まだ温かいケイザの書を手にしたまま、ベッドから飛び出し窓の外を見る。外では町の住民が、深きものの侵略から町を守るために戦っている。
モマオとロタールがファルジーンの民を率いて戦っている。深きものどもは猛々しい町の住民の前に、浮足立ち戦列を乱し、海へと逃げ戻っている。臆病者の魚人たちを嘲笑しながら、ファルジーンの民は武器を掲げて勝鬨を上げている。
しかし3人は見た。海のうねりがファルジーンに向かって素早く押し寄せてくるのを。それはあまりにも早く巨大な何か、ファルジーンに破滅をもたらす超常的なものに違いない。そしてその何かを支配しているのは、湾に浮かぶ岩島にある灯台の最上階で、魔術的な儀式を行う人影に違いない。

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